テクノスケープを初めて意識したのは10年以上前に観た
岩井俊二監督のスワロテイルとい映画のオープニングの映像だったと思います。
確か白黒で空撮のコンビナート群の映像でした。
そのコンビナートとの映像は廃退的で近未来ぽい不思議な映像で
本編はあまり印象に残らなかったのですが、このオープニングの映像だけは
とても印象に残りました。
その後、横浜からの帰り高速道路から見た川崎のコンビナートの風景は
まさにあのとき観た映画のオープニングのシーンと同じ感覚でした。
いつかこのコンビナートを撮影したいなと思いながら数年が経ち
2000年に入った頃、何気なくインターネットで観たコンビナートの
写真の美しさに惹かれました。産業人工物とは何か、芸術作品の様に
作者の意識や人に鑑賞してもらうために創ったものではなく
ただ機能性たけを追求した結果として現れたメガ・マシーンは
現在の人間そのもののような気がしました。
どこか危うさと儚さを感じながら巨大な建築物を目の当たりにすると
自然の風景とはまた違った感動を覚えます。
アメーバーの様に膨れ上がっていく工場地帯は、人間の限りない欲望と
エネルギーを感じながら、これから1000年後に果たしてこれらの建築物が
どれだけ残っているだろうか。コンビナートは水中に没し、ダムや高速道路、
高層ビル群は、マヤ文明の遺跡の様にジャングルの中に呑込まれているかも
しれません。もちろんそこに人類が居るとは限りません。