リネンと風の日々

オカリナと詩吟、バンド、手芸やガーデニングなどの日々を綴ります。

二代目のファンタンラトゥール

2020-05-28 17:22:00 | 植物
バラを収集し始めたのは、十数年前でした。

その頃はホームページビルダーでホームページを作るのが流行ってて、娘が学割で買ったソフトで、勢いでホームページを作ったはいいけど、発信する内容もないまま、何をどうしていいか悩んでるうちに、バラを育てるサイトがたくさんあることを知りました。

ちょうど仕事も行き詰まり、体調も最悪で、八方塞がりの時でした。


私が就職したての頃は、まだバブル前夜でした。
キャリアウーマンという言葉が流行り、結婚した後も、その時代にはまだ珍しかったフルタイムのワーキングマザーの道を選んだのはよかったのですが、バブルが弾けてから、自分のいく末が全く見えなくなっていました。


そんな時、出会ったバラ作りの人々はとても生き生きしていて、私はそれまでの仕事への情熱を、バラの収集に向けたのです。
その時には、自分がバラを育てることに夢中になっていた気がしてましたが、本当のところ、集めることだけが目的だったように思います。

何かに憑かれたみたいにバラを集め始め、気がついたら100本近くになっていました。

そんなことを続ける中で、私はついに仕事を辞める決心がつきました。
そして、今の仕事を始め、今度はそれにのめり込みました。その上、子どもたちの進学もあったので、庭はほったらかしになりました。

集めたバラは次々枯れていきました。

私が買ったバラの中で、たった一つ残ったのはファンタンラトゥールでした。


一昨年、二人の娘が巣立ったので、庭の手入れをしようと思いたち、唯一残ったファンタンラトゥールの世話をしました。
すでにこのバラも弱り始めていました。

施肥をして、きつめに剪定をしました。
その時、剪定枝が飛んでいたようです。
ちょっと離れた場所だったので、気づかずにそのままになっていました。

いろいろ頑張ったのだけど、次の春、バラはすっかり枯れてしまっていました。
しかし、飛んでいった剪定枝から、新しい枝が出ていました。

挿木は何度もトライしたけど、一回も成功しなかったので、あまりあてにしてなかったのですが、強めのシュートが出ていて「もしかしたら…」と期待していたら、今年、立派な花を咲かせてくれました。

たった一つのバラ。

星の王子さまのエピソードを思い出します。