現代忍術バトルRPG シノビガミ -忍神- で「GMやりたい。でもシナリオとかどうすればいいの? 考えるのめんどい」とかいう人向けに、簡単かつRPGっぽい要素を含んだシナリオテンプレートを少しまとめて公開。これは自分も実際にやっています。
テンプレだけ見たい! って人はページの下に載せているのでマウスホイールを動かすのこと。
1.どういうシナリオなの?
以前採用した例では、「とあるアイテムを作成するためにはある妖魔から採れる~というアイテムが必要だ、倒してきてくれ」という依頼型シナリオ。ゲームなんかでもよくあるお使いモノである。
依頼主のパターンは様々にある。工房の主人、弟子の実力を試そうとする師匠、それがなくては困る市井の人々。
要は自分の知っているRPGを思い浮かべてサブイベントを思い出していただければ一発で想像できるであろう。
誰にでも想像できるということは、PL間の【情報共有】も容易だということだ。
「つまりあのゲームのアレなわけよ」「あー、じゃああのキャラ元ネタにしたキャラ作ろう」などとキャラメイクの指針にもつながる。
先ほどの依頼人のパターンにしても、
工房の主人→アトリエシリーズ
実力を試す師匠→(わかりにくいが)ブレスシリーズの師匠たち
市井の人々→DQシリーズ
などなど、キャラの元ネタは容易に出てくるはずである。
余談になるが、シノビガミのキャラメイクで一番の悩みどころは「この設定で他のPCと合うの?」というところであると筆者は考えている。実際自由度は高いだけに、どんなキャラでも世界観とは合致する、が、他のキャラの雰囲気と合うのかは分からない。
無論ギャップを楽しむという考え方もあるが、他の人と合わせて同業者の積もる話を演出したい方もおられよう。
そうした方にもこのシナリオは勧められる。仮に「マジックアイテムを採取してくる」ような話なら、忍者(という体の魔法使いキャラ)同士でパーティを組ませるといったことも可能なのだ。
キャラメイクについても多少踏み込んでしまったが、次はシナリオパターン。
前述したのは「依頼型」だが、他にもシナリオパターンはある。
同じく、妖魔を倒すのは変わらないものの、誰が先に倒すのかを競い合うタイプの対立型シナリオがあったりする。前述の依頼型は協力型でもある。PLがどういうことをしたいかによって、まずはこの二つをメインにしてゆくのがいいだろう。
どちらもある意味では「シノビガミ」らしくはないが、「スタンダードなTRPG」の雰囲気は感じられる。
とにかく「ゲームをやっている」雰囲気は十分に味わえると思うので、手軽にやれるはずである。
2.NPCについて
この記事はGMをやってみたい、という人向けに書く記事であるので、NPCの概要については省略する。
さて「どんなNPCがいいのか」ということだが、依頼型をベースにして考えてみよう。
まず一番考えられるパターンは、依頼人がNPCというものだ。
「あのアイテムが欲しいけど一人じゃ無理だ」という適当な理由付けのもと、PCに協力を申し込むのだ。
この場合、GMはプレイヤーに協力するNPCとボスNPCの二体を操らなくてはならない。味方NPCが強すぎるとボスNPCで他のPLが活躍できる機会が少なくなってしまうため、大抵はサポートタイプキャラになるだろう。
指針としては【かばう】でダメージを代替わりしたり、【矢止めの術】でボスの射撃戦攻撃を妨害したりなどである。
無論、他のPLがサポートしまくりたいというキャラであるなら、「足りない手数を補える」なキャラがいいだろう。
PC全員が「あまり攻撃向きではない」のはめったにないだろうが、もしそのような場合、限定条件下でだけダメージを出せる【北斗】等で削って後はPCに任せたり、味方の忍法を確実に通したりするために【叱咤】【作戦指揮】等の判定に補正がかかる系の忍法がいい。
PC数が十分であると判断したなら、NPCはボスだけでも十分だ。
メインフェイズにおける説明役はハンドアウトやデータを持たない「エキストラ」キャラでも十分こなせるし、GM自体への負担も少ない。筆者の「妖魔退治」では、メインフェイズ中にやれることを説明する・PCの演出の補助・ストーリーの説明を行うキャラとしてデータを持たないキャラを登場させた。エキストラはキャラさえ考えておけば後はPCと会話するだけで事足りるので楽である。
次に考えられるNPCパターンは実は依頼人がボスというもの。
アイテムが手に入った瞬間正体を現して襲いかかってくる……というどんでん返しを含ませることができる。
この場合、データはPCの数によって変化させたほうがよい。例えば1:1の構図ならNPCデータはそのまま、同じ中忍同士で戦わせればいい勝負になる。1:2ならばボスデータに切り替えるといった具合だ。
こちらも場合にもよるが、1:1ならばデータの作成量が少なくて済むという利点もあるため、データの作り方に自信がないというのならばこちらを採用してもいいだろう。
3.ボスデータについて
PCと共に行動するNPCは中忍データで作成してしまえばいいが、ボスは常に一対複数の戦いを強いられるため、手数の少なさも相まって押されがちである。どうすればバランスはよくなるか?
これについては、「上忍相当クラスのキャラ」をベースにすればよい。
上忍のデータを作成するのが難しい、というのならばシノビガミ1巻のエネミーデータを引っ張ってくるのもおすすめである。
筆者は実際、1巻のエネミーデータに「怪」の妖魔忍法を1種、奥義を1種付け加えただけのデータをボスにした。
他の巻にもエネミーデータはあるから、ここからそのまま引っ張ってくるのもいい。
要は、エネミーデータ+妖魔忍法+奥義一種でもバランスはよくなるのだ。
エネミーデータは公式のデータであるので、戦いやすさについては信頼できる。
妖魔忍法と奥義を非公開情報にしてしまえばPL側も対策は立てにくいので緊張感もでてくるはずだ。
なにより、最小限の設定だけでそれなりに戦えるという利便性もある。無論万事が上手くいくとは限らないので、PCデータ如何によってはカスタマイズを加えるのもいいだろう。
ボスの戦い方そのものについてだが、基本的にはデータによって違ってしまうのであまり言及はできない。
ただし、指針としてはこのようなものがある。
高プロット、低プロットでも戦ってみせるというもの。
例えば、高プロット時は火力の高い忍法で攻め立て、低プロット時には【返し技】でカウンターしたり【誘導】で布石を作るなど。
プロットを固めてしまい、PC側にプロットを決め打ちされるのが一番不利だ。それは常に最大火力を叩きこまれかねないことでもある。元々ボスは数で不利なのだから、黙って殴られるだけの簡単なRPGにするのは面白くはないだろう。ボスデータは「いかにPCを困らせるか」がキモだ。1~2ラウンドほど困らせてドヤ顔した後に倒されればいいのである。
4.シナリオギミックについて
「妖魔退治」は基本的に1サイクルを想定している。【居所】はPC間で知っていてもいいし、【秘密】はなくしてしまって構わない。
ただ、そうするとメインフェイズでやれることが【感情判定】だけになりかねないため、GMは多少のギミックを仕込むのもいいだろう。
例えば【秘密】を探る代わりにボスのデータを探ってくるというようなものがある。
前述の例ならば「判定に成功すれば妖魔忍法が公開情報となり、ボスがその忍法を使ってきたら○○を基準に判定を行い、成功すると発動そのものを無効化できる」といった具合にだ。
他にも「仕掛けを解かないとPC側に不利になる」ようなギミックがあってもいい。効果としては、成功しないとボス戦時にボスに援軍がやってくるとか、ランダムに変調を与えられるでもいいだろう。
要はプレイヤーに悩むだけの選択肢を与えてしまえばいい。どうしようと相談している姿を見てGMはにやにやするのだ。
5.テンプレート一例
【シナリオスペック】
【タイプ】:協力型 【リミット】:1サイクル
【プレイヤー人数】:2 【NPC人数】:1(ボス) 【使用シーン表】:通常
【使用ルール(基本)】:壱・弐、または怪 【プライズ】:任意
【レギュレーション(アレンジ可)】
・PCは功績点ゼロ、階級:中忍で作成。
・PC人数によってボスNPCは階級を変動することを推奨。
1:2=ボス:PCならば、ボスは上忍相当の強さで作成する。エネミーデータを引っ張っても可。
詳しくは「3.ボスデータについて」を参照。
【使命】
PC:妖魔を退治する。
NPC:PCたちを撃退する。
【秘密】
基本的になくても可。
ただし、GMは【秘密】の代わりに「判定に成功するとPCに利益をもたらす」ものを設定してよい。
例:「判定に成功すれば妖魔忍法が公開情報となり、ボスがその忍法を使ってきたら○○を基準に判定を行い、成功すると発動そのものを無効化できる」など。詳しくは「4.シナリオギミックについて」を参照。
【その他】
基本的にこのシナリオは協力型らしくRPG風味である。
それっぽい雰囲気になるシナリオが望ましいので、GMは即興のアドリブを入れるのもいい。
テンプレだけ見たい! って人はページの下に載せているのでマウスホイールを動かすのこと。
1.どういうシナリオなの?
以前採用した例では、「とあるアイテムを作成するためにはある妖魔から採れる~というアイテムが必要だ、倒してきてくれ」という依頼型シナリオ。ゲームなんかでもよくあるお使いモノである。
依頼主のパターンは様々にある。工房の主人、弟子の実力を試そうとする師匠、それがなくては困る市井の人々。
要は自分の知っているRPGを思い浮かべてサブイベントを思い出していただければ一発で想像できるであろう。
誰にでも想像できるということは、PL間の【情報共有】も容易だということだ。
「つまりあのゲームのアレなわけよ」「あー、じゃああのキャラ元ネタにしたキャラ作ろう」などとキャラメイクの指針にもつながる。
先ほどの依頼人のパターンにしても、
工房の主人→アトリエシリーズ
実力を試す師匠→(わかりにくいが)ブレスシリーズの師匠たち
市井の人々→DQシリーズ
などなど、キャラの元ネタは容易に出てくるはずである。
余談になるが、シノビガミのキャラメイクで一番の悩みどころは「この設定で他のPCと合うの?」というところであると筆者は考えている。実際自由度は高いだけに、どんなキャラでも世界観とは合致する、が、他のキャラの雰囲気と合うのかは分からない。
無論ギャップを楽しむという考え方もあるが、他の人と合わせて同業者の積もる話を演出したい方もおられよう。
そうした方にもこのシナリオは勧められる。仮に「マジックアイテムを採取してくる」ような話なら、忍者(という体の魔法使いキャラ)同士でパーティを組ませるといったことも可能なのだ。
キャラメイクについても多少踏み込んでしまったが、次はシナリオパターン。
前述したのは「依頼型」だが、他にもシナリオパターンはある。
同じく、妖魔を倒すのは変わらないものの、誰が先に倒すのかを競い合うタイプの対立型シナリオがあったりする。前述の依頼型は協力型でもある。PLがどういうことをしたいかによって、まずはこの二つをメインにしてゆくのがいいだろう。
どちらもある意味では「シノビガミ」らしくはないが、「スタンダードなTRPG」の雰囲気は感じられる。
とにかく「ゲームをやっている」雰囲気は十分に味わえると思うので、手軽にやれるはずである。
2.NPCについて
この記事はGMをやってみたい、という人向けに書く記事であるので、NPCの概要については省略する。
さて「どんなNPCがいいのか」ということだが、依頼型をベースにして考えてみよう。
まず一番考えられるパターンは、依頼人がNPCというものだ。
「あのアイテムが欲しいけど一人じゃ無理だ」という適当な理由付けのもと、PCに協力を申し込むのだ。
この場合、GMはプレイヤーに協力するNPCとボスNPCの二体を操らなくてはならない。味方NPCが強すぎるとボスNPCで他のPLが活躍できる機会が少なくなってしまうため、大抵はサポートタイプキャラになるだろう。
指針としては【かばう】でダメージを代替わりしたり、【矢止めの術】でボスの射撃戦攻撃を妨害したりなどである。
無論、他のPLがサポートしまくりたいというキャラであるなら、「足りない手数を補える」なキャラがいいだろう。
PC全員が「あまり攻撃向きではない」のはめったにないだろうが、もしそのような場合、限定条件下でだけダメージを出せる【北斗】等で削って後はPCに任せたり、味方の忍法を確実に通したりするために【叱咤】【作戦指揮】等の判定に補正がかかる系の忍法がいい。
PC数が十分であると判断したなら、NPCはボスだけでも十分だ。
メインフェイズにおける説明役はハンドアウトやデータを持たない「エキストラ」キャラでも十分こなせるし、GM自体への負担も少ない。筆者の「妖魔退治」では、メインフェイズ中にやれることを説明する・PCの演出の補助・ストーリーの説明を行うキャラとしてデータを持たないキャラを登場させた。エキストラはキャラさえ考えておけば後はPCと会話するだけで事足りるので楽である。
次に考えられるNPCパターンは実は依頼人がボスというもの。
アイテムが手に入った瞬間正体を現して襲いかかってくる……というどんでん返しを含ませることができる。
この場合、データはPCの数によって変化させたほうがよい。例えば1:1の構図ならNPCデータはそのまま、同じ中忍同士で戦わせればいい勝負になる。1:2ならばボスデータに切り替えるといった具合だ。
こちらも場合にもよるが、1:1ならばデータの作成量が少なくて済むという利点もあるため、データの作り方に自信がないというのならばこちらを採用してもいいだろう。
3.ボスデータについて
PCと共に行動するNPCは中忍データで作成してしまえばいいが、ボスは常に一対複数の戦いを強いられるため、手数の少なさも相まって押されがちである。どうすればバランスはよくなるか?
これについては、「上忍相当クラスのキャラ」をベースにすればよい。
上忍のデータを作成するのが難しい、というのならばシノビガミ1巻のエネミーデータを引っ張ってくるのもおすすめである。
筆者は実際、1巻のエネミーデータに「怪」の妖魔忍法を1種、奥義を1種付け加えただけのデータをボスにした。
他の巻にもエネミーデータはあるから、ここからそのまま引っ張ってくるのもいい。
要は、エネミーデータ+妖魔忍法+奥義一種でもバランスはよくなるのだ。
エネミーデータは公式のデータであるので、戦いやすさについては信頼できる。
妖魔忍法と奥義を非公開情報にしてしまえばPL側も対策は立てにくいので緊張感もでてくるはずだ。
なにより、最小限の設定だけでそれなりに戦えるという利便性もある。無論万事が上手くいくとは限らないので、PCデータ如何によってはカスタマイズを加えるのもいいだろう。
ボスの戦い方そのものについてだが、基本的にはデータによって違ってしまうのであまり言及はできない。
ただし、指針としてはこのようなものがある。
高プロット、低プロットでも戦ってみせるというもの。
例えば、高プロット時は火力の高い忍法で攻め立て、低プロット時には【返し技】でカウンターしたり【誘導】で布石を作るなど。
プロットを固めてしまい、PC側にプロットを決め打ちされるのが一番不利だ。それは常に最大火力を叩きこまれかねないことでもある。元々ボスは数で不利なのだから、黙って殴られるだけの簡単なRPGにするのは面白くはないだろう。ボスデータは「いかにPCを困らせるか」がキモだ。1~2ラウンドほど困らせてドヤ顔した後に倒されればいいのである。
4.シナリオギミックについて
「妖魔退治」は基本的に1サイクルを想定している。【居所】はPC間で知っていてもいいし、【秘密】はなくしてしまって構わない。
ただ、そうするとメインフェイズでやれることが【感情判定】だけになりかねないため、GMは多少のギミックを仕込むのもいいだろう。
例えば【秘密】を探る代わりにボスのデータを探ってくるというようなものがある。
前述の例ならば「判定に成功すれば妖魔忍法が公開情報となり、ボスがその忍法を使ってきたら○○を基準に判定を行い、成功すると発動そのものを無効化できる」といった具合にだ。
他にも「仕掛けを解かないとPC側に不利になる」ようなギミックがあってもいい。効果としては、成功しないとボス戦時にボスに援軍がやってくるとか、ランダムに変調を与えられるでもいいだろう。
要はプレイヤーに悩むだけの選択肢を与えてしまえばいい。どうしようと相談している姿を見てGMはにやにやするのだ。
5.テンプレート一例
【シナリオスペック】
【タイプ】:協力型 【リミット】:1サイクル
【プレイヤー人数】:2 【NPC人数】:1(ボス) 【使用シーン表】:通常
【使用ルール(基本)】:壱・弐、または怪 【プライズ】:任意
【レギュレーション(アレンジ可)】
・PCは功績点ゼロ、階級:中忍で作成。
・PC人数によってボスNPCは階級を変動することを推奨。
1:2=ボス:PCならば、ボスは上忍相当の強さで作成する。エネミーデータを引っ張っても可。
詳しくは「3.ボスデータについて」を参照。
【使命】
PC:妖魔を退治する。
NPC:PCたちを撃退する。
【秘密】
基本的になくても可。
ただし、GMは【秘密】の代わりに「判定に成功するとPCに利益をもたらす」ものを設定してよい。
例:「判定に成功すれば妖魔忍法が公開情報となり、ボスがその忍法を使ってきたら○○を基準に判定を行い、成功すると発動そのものを無効化できる」など。詳しくは「4.シナリオギミックについて」を参照。
【その他】
基本的にこのシナリオは協力型らしくRPG風味である。
それっぽい雰囲気になるシナリオが望ましいので、GMは即興のアドリブを入れるのもいい。