正体不明の謎スピーカーとなってしまった魁1a型を抱えて、私は途方に暮れました······なんて事にはなりませんでした。
目の前に、新方式の高音質スピーカーがあるのです。
例え原理が不明でも、それがどうした、と改良を進めていきました。
時系列的にはこうなります。
でも、現在では謎スピーカーではなく、分析ができています。
順を追うよりも、先に高音質の理由を書いておいた方が良いかと思いました。
その方が話を進めやすいかと思ったからです。
高音質の理由① 箱内定在波が存在しない
まず、物理の法則のおさらいをしておきます。
この世の質量があり、かつ自由振動できる全てのものには、それぞれ固有の共振周波数があります。
最低共振周波数(fο)と言われているものです。
そしてその上に2次、3次、4次······と高次共振が重なります。
なお、最低共振周波数以下では共振は起きません。
この物理法則を、箱内定在波にも適用できるでしょうか?
定在波は、ユニットの放射音(箱から見れば入射音)と箱内部の反射音の干渉で発生します。
そして箱の大きさによって周波数が決まります。
ユニットの大小は関係ありません。
大型の箱に小口径フルレンジを付けても定在波は低くなりますし、逆もしかりです。
定在波の周波数をユニットの低音再生限界付近に設定して、うまく低音を伸ばすというチューニングもあるようです。
では、定在波の発生周波数以下でも定在波が存在しているのでしょうか?
逆に高い周波数では発生しています。
リスニングルームの定在波がその代表例です。
では低い方は?
思考実験として、次の様な例を考えてみましょう。
例えば20㎝ウーファーを、1リットルくらいの極端に小さな箱に入れたと想定します。
(物理的に無理です、なんて答えたらダメですよ。想定ですからね。)
その場合、例えば100㎐くらいの箱内定在波が発生すると思いますか?
答えはNOです。
定在波は数千㎐の高い周波数で発生し、箱内では100㎐は音ではなく、単なる空気の揺らぎでしかありません。
つまり、空気が1秒に100回圧縮されるだけです。
当然、定在波の発生のしようがない。
結論として、箱内定在波にも自由振動の物理法則が適用できる、となります。
最低共振定在波数(?)以下では定在波は発生しないのです。
さて、本題の魁スピーカーです。
これは元々はプラスチック製の丼です。
その上、コンクリートの充填で壁が肉厚になっているため、内容積が非常に小さくなっています。
一般的な8㎝フルレンジユニットでは内容積3リットル程度の推奨が多いようですが、魁スピーカーでは750㏄くらいしかありません。
(実際に水を入れて量りました。)
もうわかりましたね。
魁スピーカーは内容積が極端に小さいため、内部定在波の周波数が非常に高い。
よって実質的に定在波が存在しなくなっているのです。
一般的なエンクロージャーでここまで内容積を小さくすると、まず低音が出ません。
さらに影響は中高音にも及び、押さえつけられたような窮屈な音になります。
ユニットのすぐ裏がゴム板である魁スピーカーではそんな事はなく、実に伸び伸びと鳴ります。
フォーカスがぴったり合った、純度の高い音、そんなイメージでしょうか。
定在波が無い、という事は他にも大きなメリットをもたらします。
次回 高音質の理由② 吸音材の不使用
(余談)
定在波が無い、と少し大袈裟に書きましたが、実は魁スピーカーの高域の癖が定在波の影響なのではないかと睨んでいます。
これについての対策は······(以下同文。)
(おまけのアイデア)
定在波の周波数が高い。
これが高音質の理由ならば、箱の中に窒素ガスを充填したらどうなる?
さらに周波数が上がって、音がピュアになる?
もしかしたら友人が来た時だけ注入して、よそ行きの音にする、なんて事になるかもしれません。
誰か実験してくれないかなあ。(完全に人任せ。)
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