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“ 嵐が吹き消した 恵みのろうそくを 再び取り上げ、それに新しい明かりを灯さなければならぬ。” 教皇ヨハネ二十三世

file.no-73 『Deutschland lied』

2007-05-29 22:56:41 | 音楽
Einigkeit und Recht und Freiheit
Für das deutsche Vaterland...

“団結と正義と自由とは、祖国ドイツの為にあれかし…。”
これは、現ドイツの国歌(Deutschland lied)です。
と同時に、かつてのDeutsches Reich、いわゆるナチス・ドイツの国歌でもあります。
久しぶりのレヴューは、そう、このドイツ国歌について。

なぜ、これか、と言うことですが、私はもともとアドルフ・ヒトラーについて興味を抱いています。
世間には、彼を狂人、変人と酷評する向きもありますが、ナチス・ドイツの初期、第一次欧州大戦後、破綻させられた国家財政を再建したあの手腕をみるにつけ、ヒトラーの才覚を認めざるを得ない、と。
もちろん、続くユダヤ人ホロコースト、大戦突入、ドイツ破綻の経過は、ナチスが国家の舵取りを誤ったことを明らかにしています。
ですが、祖国ドイツを一時期にしろ復興させたヒトラーは、やはり大変に興味深い人物であり、当時人間的に魅力ある人物であったのだと認めざるを得ない。

また、私はドイツ文学界の、ミヒャエル・エンデ氏の作品が好きということもあり、ドイツの濃厚味のソーセージも好きであり、もともとあの国には関心があった。さらには国歌については、以前、日本で『君が代』の国旗国歌法制定闘争があった折に、興味が湧いて調べて以来、案外好きな歌なのです。

どうして、こう日本のスポーツ選手連は、ワールドカップなど世界が注目するような場面で、国歌を歌いたがらないのでしょう。他国の選手達が厳粛に歌う中で、日本のみがエッライたるそうにモゴモゴやってる姿はもう数年来変わりませんねぇ・・・。
歌詞が悪いのか、曲が悪いのか、それとも歌い手の資質によるのか。私は最後のものが原因とは思いますが。

さて、ドイツ国歌の曲は、もともとフランツ・ヨーゼフ・ハイドンの作曲によるものです。ハイドンはオーストリアを代表する作曲家ですが、彼の手になるだけあって、曲調はなかなかに重厚。クラシックの定番と言ってもよいのでは。
実は、この曲が最近、店舗の有線で流れていたのです。
早朝から、あの重厚にして勇壮な曲を聴かされてはノリが良くなるのか、逆に疲れるのか・・・。
まぁ、それでせっかくなので、「アイニッヒカイトォ~おぉおぉん♪」と毎日歌っていたのですが。

歌詞を訳すと、以下のように…、
“団結と正義と自由とは、祖国ドイツの為にあれかし。
我々は、力を尽くさん。兄弟のごとく、手を取りあわん。
団結と正義と自由とは、幸福の証左とならん。
この幸福のもと、栄えよや。祖国ドイツよ、栄えよや。”
(ドイツ語なんか齧ったくらいなので、大意ですが)

ナチス・ドイツの頃は、この歌詞の前に1番2番の歌があり、そちらは、
「ドイツは世界で最強!」
「ドイツ女、固い操に美味い酒にカッコイイ歌、これがあるからドイツは栄える!」

・・・みたいな意味合いの歌詞が続きます。
聴いていると、ふつふつと愛国心が沸き立ってくるよう。
国歌というのは不思議なもの。合衆国国歌だとて、ヤンキースタジアムなどで、歌手がアレンジしたものをソロで歌ったりしますが、あれを聴いてもやはり心震えます。
もっとも歌詞の意味は、「凄まじい砲撃のあとでも、我々の星条旗はまだ雄雄しくひるがえっていますか~?」であり、最後まで聴くととても汗臭い内容なのですが。

ナチス・ドイツは、国民の士気高揚の為に、いろいろなプロパガンダを駆使したことでも有名です。
音楽は有効であったみたいです。国歌もそうですが、『Heil Deutschland(ドイツ万歳)』もなかなかユニーク。
“ドイツは目覚めた。訪れた光は闇夜よりも永く、ドイツの兄弟はみな歓呼する。”ときて、いきなり“さぁ、鉤十字に忠誠を誓い、戦おうじゃないか!”と続くところは、なかなか。
Deutsches Reichが、あそこまで拡大したのも、この士気高揚の成果であったのか。
Deutsches Reichが、なぜ一千年続いたRes Publica(ローマ)とならなかったのか。

ドイツ国歌を聴きながら、そんなことを考えてしまいます。
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