Flour of Life

煩悩のおもむくままな日々を、だらだらと綴っております。

永井するみ「秘密は日記に隠すもの」

2014-06-26 23:50:00 | 読書感想文(国内ミステリー)


みなさんこんにちは。40歳の小太りおばさん、もちきちです。

最近、自分が客観的に見てどういう人物なのか忘れがちなので、ちょっと言ってみました。

それはさておき、永井するみの「秘密は日記に隠すもの」を図書館で借りて読みました。永井するみの本が図書館に置いてあるとは思わなかったので、読めてラッキーでした。
これ以外にも数冊、まだ読んでない永井作品があったので、これから少しずつ借りて読もうと思います。一気にまとめて借りて読むともったいないので。もう新刊は出ないから…。

本の感想ですが、今回は珍しくネタバレなしでいかせていただきます。
ネタバレしたほうが感想は書きやすいけど、なるだけたくさんの人にこの本を読んでほしいので。


タイトルに「日記」とあるように、この本には日記の形式で描かれた4つの短編小説が収められています。話自体はそれぞれ独立しているのですが、ちょっとだけつながってもいて、そのつながりを見つけるのも楽しかったです。

では、4編それぞれの感想を。

「トロフィー」
女子高生の百合絵が、日記に綴った“家族のある秘密”とは…?
“秘密”の正体が、私が一番受け付けない類の者だったので、読みながら「うげぇ」と顔をしかめてしまいました。
百合絵の日記の中で起きる展開に「どうなるどうなる?」とハラハラドキドキしましたが、結末には「えぇ~?それでほんとにいいわけ?」と、少々納得できない気分に。
まあ、ここで本気になってイライラするもの、また作者の術中にはまっていることだと思いますが。

「道化師」
山形にある旧家の長男の、日常を綴った話。
1話目の「トロフィー」と同様、あっと驚く展開があるものの、読後感はまったく逆。読み終わった直後私の目から塩分を含んだ水が水芸のようにぴゅーっと、あとからあとから飛び出しました。その後、もう一度「道化師」を頭から読み直すと、いろんなところが涙腺を刺激して、嗚咽もあげられなくなるくらい、胸にこみ上げるものがありました。
ここまで泣かせるものを、なぜ2話目に持ってきたのだろうと不思議にも思いましたが、この話が最後に来るといかにも読者を泣かせようと画策している感じがするので、2話目がちょうどよかったのかもしれません。

あと、この「道化師」を読んで、アンパンマンの主題歌を思い出しました。何が君の幸せ、何をして喜ぶ、わからないまま終わる、そんなのは…嫌な事なのかな?

「サムシング・ブルー」
世話好きなエステティシャンの妹と二人暮らしの女性の日記。彼女が綴る“秘密の恋”とは…。
“秘密の恋”に舞い上がっている主人公の日記は、読んでて「おいもうやめろ」と突っ込みたくなる気持ちと「そうなのよねー、うんわかるわかる」と納得する気持ちが交互にわいてきたので、結末には「なんだよおい!」とつっこみたくなりました。途中、主人公の恋人ってもしや他の話に出てきているあの人なのでは?と思ったけれど、つながりはそこではありませんでした。
最後まで読んで、中島京子の「さようなら、コタツ」を裏返したような話だな、と思いました。あっちは感動したんだけどな~。

「夫婦」
定年退職したばかりの男性が、これからの人生について綴った、自分探し日記。
途中、男性の妻が〇〇中だったことがわかったときはくすりと笑いましたが、その後はどん引きするほどブラックな展開に。最初は最後にこれかい!と拍子抜けしましたが、こういったブラックユーモアのある話が、彼女の絶筆となったこの本の最後に来るのは、永井するみの作品を象徴しているような感じもして、これでよかったのかもしれないと思えるようになりました。
(小説の並び順が、作者ではなく編集者に決められたものならあちゃーですが)

4つの話はどれも短く、あっという間に読めるのもでしたが、その短い小説隊の中に泣いたり笑ったりぞっとしたり、読み手を惹きつけるたくさんの要素が凝縮されていて、とても濃密に感じました。「世にも奇妙な物語」とかで映像化してもよさそう、と思ったけれど、日記形式だからこその魅力もあるから、ちょっと難しいかな?


ところで、小説の内容と刃関係ありませんが、「道化師」と「サムシング・ブルー」に出てくるツィッターのユーザー名が

ちきりん

っていうのは、やっぱりあの人がモデルなんでしょうかねぇ…?あまりにどストレートに名前が使われているから、戸惑いましたよ私は。モデルじゃないなら、なぜこの名前に?と思うし、モデルならモデルで、名前以外に共通点が無さすぎだし。なにがどうしてこういうことになったのかしら…。




2 コメント

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ごっちゃになる (SFurrow)
2014-06-29 21:55:25
永井するみさんって、亡くなられてたんですか~
なんか謎の死みたいで…気になります。
私もさっそく、図書館で借りて一気読みしてしまいました。4編ともサプライズな展開(後味が悪かったり良かったりバラバラ)で、前の話を読んで「これも、こういう展開か?」と予想すると、そのたびに裏切られるという、完全に作者(と編集者?)の術中にハマる結果となりました。
そう!「サムシング・ブルー」のミスリードは絶対みんな引っかかっちゃいますよね~
尻取り方式でつながっている4編ですが、もしかして、最後の話が、最初の話につながるのかな?と思って、最初の話を読みなおしてみたんですがわからなくて。もし、つながってるのだったらコッソリ教えて~~

ところで、「長野まゆみ」と「永井するみ」と「新津きよみ」が、ごっちゃになるのって私だけ?
最近まで「荻原浩」と「有川浩」も混同してて、「あ、この人ヒロシじゃなくてヒロなのよね」「あれ、この人ヒロだと思ってたけど、やっぱりヒロシでよかったのか?」とか、そのたびに混乱してました。ようやく、区別がついたけど…だって作風もカブってると思いません?
Wikiが無かったらきっと今でも同一人物だと思っていると思う。
最近、紛らわしい作家が多くて困る…というのは、単に自分がボケて来てるだけの話だろうけど(-_-)
私もよく混乱します (もちきち)
2014-06-29 23:20:25
>SFurrowさん
こんばんは~。コメントありがとうございます。永井さん、死因を公表されてないんですよね。
これから先、新作を発表されることがないと思うと残念です。

>完全に作者(と編集者?)の術中にハマる結果となりました。
そうそう!私もいろいろ推理しては、そのたび外れてガッカリしました。

第1話と第4話はつながってるところ、見つかりませんね~私も見落としてるのかな?

>「荻原浩」と「有川浩」
私の中では「リア充のハッピーエンド」を書くのが有川浩で、後味悪い話も書くのが荻原浩、ということになっています。
それ以前に私はしょっちゅう「荻原浩」なのか「萩原浩」なのか忘れて混乱してます(-_-)

あと、私は作家の野沢尚と脚本家の野島伸司の区別が最近までついてませんでした。「この人脚本だけじゃなくて小説も書くんだな~」って勝手に感心したりして(汗)

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