Flour of Life

煩悩のおもむくままな日々を、だらだらと綴っております。

三都のうちの二都物語 神戸編 その1

2014-05-27 23:02:48 | 

先週末、友人たちと神戸・大阪を旅行しました。

金曜日は、浜松から来た友人と2人で神戸の異人館と南京町を散策。
異人館ははるか昔の20代に行ったことがあったのですが、その当時も急な坂道にヒーハーした記憶があるので、少々不安でした。

そして予感は的中。最寄りのバス停を下りた後、まずはレストランが併設されたプラトン装飾美術館(別名イタリア館)に行こうと坂道を上ったら…あまりの急勾配そしてちらちらと視界に入るブライダル関連の施設に心身ともに打ちのめされ、目的地のプラトン装飾美術館に着いた頃には、入り口にいたオーナー夫人に「大丈夫?」と心配されるまでダークサイドに堕ちていました。

プラトン装飾美術館とは、もとは企業や個人の借家として利用していた建物に、オーナー夫妻が海外で買い付けた美術品や調度品を飾って一般に開放している、一風変わった美術館です。他の美術館と違って、実際にオーナーご一家が住んでいる建物なので、そこかしこに人の気配が感じられる、独特の温かい雰囲気がありました。いつもは執事さんがガイドしてくださるそうなのですが、この日はたまたま公休でいなかったので、オーナー夫人が案内してくれました。



入り口にあったモザイク画。「P」はプラトンのPですね。このロゴはレストランで使われている食器にも入ってました。



玄関ホールにある、マリー・アントワネットの胸像。その上には、



ワーグナー家(どのワーグナーなのかは失念)の紋章だそうです。白鳥が我が子に自らの血を与えているところなんだとか。

入ってすぐの応接間は少し暗かったので写真を撮りませんでしたが、ミレーからコクトーまで、オーナー夫妻が海外で購入した美術品が飾ってありました。
由緒正しき庶民の私には、この部屋にあるものだけでいったいどれだけお金がかかったんだろう…と俗っぽいことしか思いつきませんでしたが、優れた美術品を間近で見ることができる、貴重な体験でした。

隣りの部屋はダイニングルーム。予約をすれば、実際にここで会食することができるそうです。もちろん誰でもできるってわけではないでしょうが…。



燭台、シャンデリア、豪華な彫刻が施された食器棚…お貴族様の世界や!!



一生に一度でいいから、こんなテーブルで食事をしてみたいものです。庶民の私には、一度で充分ですが。

家具には、人の顔や体が彫刻されているものが多くありました。



クラウン。



こんなふうに首をにょきっと出されると、ギロチン台みたい…。



いったいこの人は何がしたいんだろう。



ダイニングの奥には、厨房がありました。レストランで出す料理のために、実際に今も使っている厨房です。
その厨房には、



オーナー夫妻が世界各国で集めたデミタスカップのコレクション(の一部)がありました。
夫人の話によれば、これらの多くは非売品で、ホテルのルームサービスとかで使用して、気に入ったものを特別に譲ってもらったものだそうです。
中には私でも知ってる(でも止まったことはない)超有名ホテルのものもあって、「あのホテルでルームサービスが頼めるなんて、どんだけハイソなんだ!?」と、正直びびりました。

お次は2階です。2階は1階よりも、あたかも人が住んでいるような演出が濃かったです。



化粧室。無造作に置かれた香水の瓶がやたら巨大なのにびっくり。あれは本物…なんだろうな。中身は違うかもしれないけど。



衣裳部屋。積んであるトランクはヴィトンのもの。オーナー夫妻が実際使っていたものなのかも。



居間。「くつろぐための部屋」だそうですが、いろいろありすぎて貧乏性な私は逆に落ち着かなくなりそう。



一部屋だけ、東洋の美術品を集めた部屋がありました。書斎だそうです。



最後に寝室。テディベアがあるので子供用かと思いきや、夫婦の寝室でした。こりゃ失礼。
しかしこの幅の狭さ、私ならぜったい床に落ちるな…。(オーナー夫妻のベッドはもう少し大きいそうです)

母屋を見た後、もとは使用人棟だった別棟を見に行きました。別棟は地下だけ開放されています。



母屋と別棟の間にある、狭い階段を通って地下へ下りて行きます。雰囲気満点!



元は礼拝堂だった地下室。部屋の隅にロダンの彫刻がありました。ロダンが部屋の隅って!私なら床の間に飾りますよどんなロダンでも!!



かわいらしいステンドグラスと一緒に、小磯良平など神戸ゆかりの画家の作品が飾ってありました。
地下室の奥にはワインカーブもあって、ガラス越しにたくさんのワインが一本一本袋にしまって保管してあるのが見えました。これって、飲むために蒐集してるんじゃないんだろうな…。そもそも何百年も昔のワインなんて、飲めはしないんだろうけど。

見学の後は、待ちに待ったランチタイム。テラスからお庭(プール付き!)を眺めながらいただきます。



サラダとスープ、パスタにデザートとコーヒーがついたセットを頼みました。



デザートのケーキには、プラトンのPが。凝ってますね~。

私たちはレストランオープン直後に席に着いたので、見晴らしのいい席を楽に取ることができましたが、その後わらわらとお客さんが押し寄せてきて、あっという間に満席になりました。オーナー夫人は「うちはあまりガイドブックに載ってないから…」と謙遜されていましたが、なかなか評判がよいようです。実際、私たちが食べた料理は美味しかったし。次に来るときは週末限定のランチコースか、焼きたてのミートパイをいただきたいです。できればビールかグラスワイン付きで!

館内を案内してもらっているときにオーナー夫人がおっしゃっていましたが、阪神淡路大震災の時はこの美術館も甚大な被害を受けたそうです。その後、建物を修理したり美術品を集め直したりして、また展示を再開されたとか。少しずつ買い集めたお気に入りの品々を、震災で失ってしまわれたのはさぞやつらかったことと思いますが、それでもくじけずに今日まで続けてこられているのは、同じコレクターとして(レベルは天と地ほど差があるけどな!)尊敬します。もし私が、天災なり人災なりで今まで集めてきた北欧食器を全部失ったら…考えるだけで眠れなくなりそうです。

ゆっくりランチを楽しんだ後は、次の異人館へ向かいます。長くなったので続きはまた明日…。


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