■入賞句/4月15日―22日

2007-04-26 11:33:45 | 入賞発表
■高橋正子選

【最優秀】
★海遠き峠のさくら爛漫と/河野渓太
峠の桜は、遅い。今爛漫と咲いて、遠く海が見える。その景色と思いがいい。(高橋正子)

【特選5句】
★葉桜となりて山の色となる/池田多津子
山に桜が咲くと、山の緑にはっきりと桜の色が見える。花が散り、葉桜となると、山の緑に入り混じり、静かな山の緑の一部となる。その変化を平常のなかに見つけたよさ。(高橋正子)

★セロハンを濡らして包むチューリップ/松本和代
チューリップが咲く頃は、晴れの日もあるが、雨の日も多い。だれかに持たせるチューリップであろう。庭に咲く雨の雫の残るチューリップがいきいきとしている。(高橋正子)

★遅桜遥かより風届きけり/中村光声
遠山から遙かに吹いてくる風の心地よさと遠山に遅い桜があることのうれしさ。日本人の好むところ。(高橋正子)

★水満たす一面の田の輝けり/笠間淳子
無駄のない表現で、素直に詠んで好感が持てる。田水を張って、一面にかがやく水の光が穏やか。(高橋正子)

★残雪の山に溶け込むハ-モニカ/宮島千生
残雪の山は故郷の山であろう。その山に向かって吹くハーモニカのリード音が、哀愁を帯びて聞こえる。「溶け込む」は、故郷を感じさせる。(高橋正子)

【入選Ⅰ/20句】
★風も陽も透ける薄さに初蝶来/かわな ますみ
初々しい蝶の様子がよくわかります。(松本豊香)

★藤の花うすむらさきの風となり/平田 弘
「むらさきの風」に惹かれました。風となりが好きな表現です。(渋谷洋介)

★採りおきし袋の花の種いろいろ/あみもとひろこ
美しかった花の種を春に蒔こうと取り出して色々と思い出されて、花の種も色々有り今年も美しく咲いてくれる事でしょう。(堀佐夜子)

★春の蕗きみどり透けし白き皿/藤田裕子
瑞々しい春の蕗のみどりが白い皿に盛られている皿より透けて緑が見えるいかにも春らしい感じです。(大給圭泉)

★地方紙に包まれ春の蕗届く/臼井虹玉
何気なく新聞紙に包まれた春の暖かさと人の温もりが感じられました。(滑川けいこ)

★田の道を選び歩けば初つばめ/祝恵子
★柿若葉目に染む色に煌めきぬ/渋谷洋介
★代掻きの濁りも澄みて夕焼ける/安藤かじか
★整然と春の水待つ田のありて/多田有花
★橋いくつ潜り落花の流れゆく/黒谷光子
★今はもう確り垂れて若柳/碇英一
★しゃぼん玉虹色のまゝはじけけり/尾弦
★桜散るまっすぐ風の吹く方へ/松本豊香
★みずいろの空に揺れつつ辛夷咲く/丸山草子(正子添削)
★青空から剥がし楤の芽を摘めり/古田けいじ
★木の芽風木々を抱きて揺れやまず/井上治代
★菜の花をよそおう川の大らかに/藤田荘二
★白薔薇の咲き初む垣根挨拶す/岩本康子
★母子像に桜蘂降る一頻り/小川美和
★若葉風オルガンの音の厳かに/大山 凉

【入選Ⅱ/32句】
★幼子の手をひき残花の中にあり/上島笑子
人影も少なくなった残花の中に幼子と佇む不思議な魅力のある好きな句です。(前川鳰波)

★揚羽生る照葉の裏に羽伸ばし/堀佐夜子
新しい命の誕生の瞬間を細やかな目でとらえられています。アゲハの羽がゆっくり伸びていくのが目に見えるようです。(多田有花)

★葉桜となりて不思議に落着けり/安丸てつじ
桜の満開の華やかさも素晴らしいですが葉桜の透き通るようなさみどりは心がとても落ち着きなんともいえない安らぎを感じます。(大山 凉)

★朝の日を返す畝々豆の花/野田ゆたか
★ほぐれては平らに眩し花水木/藤田洋子
★げんげ咲き一枚きりの田に子らが/甲斐ひさこ
★虻ひとつ去っては戻る風日和/矢野文彦
★雲切れて七千坪の躑躅燃ゆ/池田加代子
★水芭蕉の芽に春水の触れており/志賀たいじ
★赤土に木漏れ日ゆらぎ竹の秋/かつらたろう
★ジレットの刃錆びてありぬ花馬酔木/齋藤良一
★花冷えや曳山傾ぎ軋みけり/前川鳰波
★囀りの林に沼は膨らんで/松澤龍子
★深呼吸胸の奥まで木の芽風/大山由紀
★欅の芽茜の空を拡げけり/大給圭泉
★お遍路を親子で巡る睦まじさ/辻 保宏
★咲き初めし忘れな草は風の中/吉川豊子
★花びらの吹き溜りしが土まみれ/おくだみのる
★蒲公英を四清同にて佛に活け/下地鉄
★桃咲くやまた雲かかる白き富士/小口泰與
★花片栗わずかに聞こえる水の音/清水清正
★葉桜のまだ幼くて白帽子/竹内よよぎ
★サーファーの彩り映えて夏近し/篠木 睦
★足元の石を迫り上げ草萌える/ /湯澤まさえ
★朝の陽に躑躅の花が炎えはじめ /おおにしひろし
★寝ては起き繰り返し咲くチューリップ/滑川けい子
★石畳下り若夏と思う風/松原恵美子
★藤浪の紫香るさらさらと/国武光雄
★長堤の蒲公英群れて黄の帯に/飯島治蝶
★青空に飛行機過ぎるチューリップ/小河原銑二
★えんどう豆白きご飯の緑なり/小河原宏子
★芝桜ふわっと丘を包み込み/黒沼風鈴子

■好きな句(互選)/4月16日~22日

2007-04-23 02:25:47 | 選句箱
■58名の方から174句の投句があり、締め切りまでに52名の方が互選に参加されました。4月16日-22日の互選高得点句は次のとおりです。同点句の場合は作者名五十音順で表記しております。投句されていない方の選は集計対象となっておりませんことをご了承ください。

【最高点12点】
◎青走る穀雨の麦に穂のいきおい/おおにし ひろし

【次点11点】
○芹を摘む流れに白き根を洗い/古田けいじ

【10点】
○せりせりと湖氷の解けて流れだす/志賀たいじ

【8点】
代掻きの濁りも澄みて夕焼ける/安藤かじか

【7点/同点2句】
○かなの書の墨継ぐ跡の春意かな/志賀たいじ
○春光を広げてつなぎ縫製工/野田ゆたか

【6点/同点6句】
○葉桜となりて山の色となる/池田多津子
○こいのぼり己が高さの風を得し/池田多津子
○どの子にも追い風そっと一年生/大給圭泉
○ほぐれては平らに眩し花水木/藤田洋子
○風来れば白き光へ森若葉/古田けいじ
○春の陽と並びて座るバスの席/松本豊香

【5点/同点3句】
○採りおきし袋の花の種いろいろ/あみもと ひろこ
○初燕まろきましろき胸をはる/かわな ますみ
○春の蕗きみどり透けし白き皿/藤田裕子

(集計:多田有花)

■好きな句(互選)を下の<コメント>にお書き込みください。
①<投句箱/4月16日-22日>の<コメント>の投句の中から選んでください。
②好きな句(互選)を5句選んでください。もっとも好きな句1句にコメントも付けてください。
③互選は、4月28日(土)まで許されますが、互選集計の対象は、4月23日(月)~25日(水)の三日間に書き込まれた<好きな句(互選)>に限ります。
④投句をされていない方も互選に積極的に参加してください。選をいただくと、作者は喜ばれます。ただし、投句されていない方の選は集計の対象にはならないことをご了承ください。

■投句箱/4月16日~22日

2007-04-23 02:25:32 | 投句箱
■投句要領

①4月16日~22日の間に、今週の投句を済ませてください。23日から選句が始まります。

②週1回当季雑詠3句です。

③<投句>は、下記の<コメント>の数字をクリックし、「名前欄」にご自分のお名前、「タイトル欄」に<投句>、「コメント欄」に<当季雑詠3句>をお書きください。

④訂正は、「タイトル欄」に<訂正>と書き、訂正された句を含み、当季雑詠3句全てをお書き込みください。失敗した投句は、そのままにし、管理者が削除します。

■ご案内■

2007-04-22 00:18:30 | Weblog
■ブログ句会は、一昨年の10月から始め、1年6ヶ月が経過しました。多くの方々のご支援をいただき、予想以上の結果を得たことを喜んでいます。ありがとうございました。この機会に更なる前進を願って、4月の新年度から句会の要領を新しくしました。ご協力をお願いします。(主宰 高橋信之)

①ブログ句会は、第1部と第2部の2部に分かれます。

②第1部は、デイリー句会で、それぞれの<俳句ブログ>内で<投句>と<互選/コメント>を今までと同じように自由に書き込みます。選者の選はありません。

③第2部は、ウィクリー句会で、ブログ句会②のブログを使用します。<投句>は、<投句箱>で、<互選>は、<互選箱>で行いますので、そこでの指示に従ってください。

■入賞句/4月9日-15日

2007-04-16 00:22:38 | 入賞発表
■高橋正子選

【最優秀】
★鳥雲に遠き山までつづく空/矢野文彦
鳥が雲に入るように、遠く帰ってゆく。それを見送りながら見る空は、遠い山まで続いている。鳥の消え入った空に奥深い広がりがある。(高橋正子)

【特選/5句】
★耕を終えて田水に山写す/松本和代
山を写す「田水」は、正直に「写す」ので、二つの山の姿は、どちらも嘘がない。作者の心にも嘘がない。季語「耕」があれば、句がいきいきとして、なおリアルだ。(高橋信之)

★吹き抜ける風あおあおと鯉のぼり/池田加代子
「風あおあおと」吹き抜けて、「鯉のぼり」が泳いだ。命を与えたのである。詩である。(高橋信之)

★蒲公英の種ふと浮び空の詩/河野渓太
作者は、「蒲公英」に詩を見た。いい時を得た。(高橋信之)

★花吹雪風の重みを感じ取る/松本豊香
「風の重み」を感じ取ったのは、「花吹雪」に出会ったからであって、これも「一期一会」である。(高橋信之)

★一年生只真っ直ぐに横断す/篠木 睦
入学したての一年生は、先生の言うことをしっかり聞いて、行動する。「よそ見をしないで、渡るのですよ。」と言えば、それをしっかりと守る。ぴかぴかの一年生らしい行動をうまく捉えている。(高橋正子)

【入選Ⅰ/20句】
★チューリップ雨の滴のままに切る/祝恵子
そのままが伝わり素敵です。雨に濡れたチューリップを切る鋏の音が聞えてます。(甲斐ひさこ)

★水音に沿って桜の道つづく/野仁志水音
春を満喫している作者が見えます。また、桜から更けゆく春の状態も伺えて好きな句です。(野田ゆたか)

★水切りの石真っ直ぐに春の海/大山 由紀
穏やかな春の海、水切りの抛った石が勢いよく真っ直ぐ進んで行った。水切りを競う子らの遊びにも勢いの見えてくる北国の春です。(志賀たいじ)

★青麦の穂に燦々と光濃し/おおにし ひろし
太陽に向かう青麦の勢いを感じます。光が濃いという表現が好きです。(安藤かじか)

★谷風にもみじ若葉の浮き上がる/安藤かじか
山や谷に吹く春の風、若葉が一層あおあおと芽吹く様子が風と共に感じます。(丸山草子)

★支えられここに来て見る山桜/大給圭泉
吉野の山桜を思い出し共感を覚えます。(河野渓太)

★春日燦々からくり時計鳴り始む/藤田洋子
穏やかな春の光景を思い浮かべます。「からくり時計」が長閑でいいですね。(藤田裕子)

★見下ろせば古刹の甍花の中/黒谷光子
遠くから見れば、古刹の甍も桜の古木の中では、それほど目立たないが、古刹に近づけば、いろいろな歴史や文化そして人の情愛まで見えると理解したい。(清水清正)

★高きより降りくる黄蝶ときに浮き/かわな ますみ
青空の中とび来る蝶々、眼でおっているとふと光の中に見失ってしまうことがあります。 浮きに余韻を感じます。(松原恵美子)

★木漏れ日を集めかたくり満開に/丸山草子
★一列の無垢なる子らへ桜降る/中村光声
★飛沫浴び岩場の苔や風光り/滑川けいこ
★苗代に小さき足跡つけし日よ/かつらたろう
★桜散るチャペルの響きのその中へ/藤田荘二
★里山の空高々と山桜/渋谷洋介
★春落葉踏み締め下る切通し/大山 凉
★花万朶青空に溶け輝けり/藤田裕子
★朝もやに柔らかくあり竹の秋/笠間淳子
★春落葉真緑の葉も混じりいて/碇 英一
★復活祭白き花咲くより白く/小川美和

【入選Ⅱ/24句】
★花筏岩瀬に早し貴船川/野田ゆたか
岩の間をぬって流れていく花筏の様子が良く表現されていると思います。花筏と貴船川の組み合わせに情緒を感じます。(黒沼風鈴子)

★春耕の鍬高々と振り下ろす/池田多津子
春の喜び、勢いが一つの動作に凝縮されている(おくだみのる)

★あわあわと音無き里の星おぼろ/松原恵美子
★高遠の名峰かくす花曇り/清水清正
★猫の子が路上でこちらを眺めたり/辻 保宏
★咲きはじむ桜古木に夕茜/吉川豊子
★春霞みビルのほのかな窓明かり/下地鉄
★すみれ呼ぶ女の声消え闇のくる/齋藤良一
★振りむけば下に沸き立つ花や花/おくだみのる
★発掘を終えし遺跡に木の芽風/前川鳰波
★芽柳や水切り石を探しおり/小口泰與
★蒲公英や路地裏に咲く黄の香り/平田 弘
★子を送り酒酌み交わす残花かな/國武 光雄
★春雨に石の雪垢洗われる/志賀たいじ
★桜散る庭駆け回る一年生/飯島治蝶
★椿落つ古刹の庭に絵の具溶く/高橋正道
★ふんわりと軽きを選び春ごろも/臼井虹玉
★磯遊び小さき世界の中に生き/黒沼風鈴子
★蘂降りて桜絨毯敷き替わる/宮島 千生
★ポピーひらくオレンジ強くきらめかせ/あみもとひろこ
★菜の花が囲むグランド草野球/多田有花
★夕暮れて乗り継ぐ市バス日脚伸ぶ/高橋秀之
★一山の明るさ増せり山つつじ/甲斐ひさこ
★パンジーは揺れてうつつの花になり/井上治代

■好きな句(互選)/4月9日~15日

2007-04-16 00:19:58 | 選句箱
■50名の方から150句の投句があり、締め切りまでに45名の方が互選に参加されました。4月9日-15日の互選高得点句は次のとおりです。同点句の場合は作者名五十音順で表記しております。投句されていない方の選は集計対象となっておりませんことをご了承ください。

【最高点21点】
◎吹き抜ける風あおあおと鯉のぼり/池田加代子

【次点12点】
○チューリップ雨の滴のままに切る/祝恵子

【11点】
○一年生只真っ直ぐに横断す/篠木 睦

【9点】
○ふんわりと軽きを選び春ごろも/臼井虹玉

【8点】
○耕を終えて田水に山写す/松本和代

【7点/同点5句】
○初燕朝の冷気を切って翔ぶ/おおにし ひろし
○水切りの石真っ直ぐに春の海/大山 由紀
○見下ろせば古刹の甍花の中/黒谷光子
○椿落つ古刹の庭に絵の具溶く/高橋正道
○支えられここに来て見る山桜/大給圭泉

【6点/同点5句】
○青麦の穂に燦々と光濃し/おおにし ひろし
○蒲公英の種ふと浮び空の詩/河野渓太
○花筏岩瀬に早し貴船川/野田ゆたか
○花吹雪風の重みを感じ取る/松本豊香
○鳥雲に遠き山までつづく空/矢野文彦

【5点/同点2句】
○里山の空高々と山桜/渋谷洋介
○水音に沿って桜の道つづく/野仁志水音

(集計:多田有花)

■好きな句(互選)を下の<コメント>にお書き込みください。
①<投句箱/4月9日-15日>の<コメント>の投句の中から選んでください。
②好きな句(互選)を5句選んでください。もっとも好きな句1句にコメントも付けてください。
③互選は、4月21日(土)まで許されますが、互選集計の対象は、4月19日の午前0時までに書き込まれた<好きな句(互選)>に限ります。
④投句をされていない方も互選に積極的に参加してください。選をいただくと、作者は喜ばれます。ただし、投句されていない方の選は集計の対象にはならないことをご了承ください。

■投句箱/4月9日~15日

2007-04-16 00:19:32 | 投句箱
■投句要領

①4月9日~15日の間に、今週の投句を済ませてください。16日から選句が始まります。

②週1回当季雑詠3句です。

③<投句>は、下記の<コメント>の数字をクリックし、「名前欄」にご自分のお名前、「タイトル欄」に<投句>、「コメント欄」に<当季雑詠3句>をお書きください。

④訂正は、「タイトル欄」に<訂正>と書き、訂正された句を含み、当季雑詠3句全てをお書き込みください。失敗した投句は、そのままにし、管理者が削除します。

■入賞句/4月1日-8日

2007-04-09 03:14:05 | 入賞発表
■高橋正子選

【最優秀】
★日を選び桶にもみ種かしおきぬ/松本和代(添削)
種もみは、発芽を促すために、苗代に播くまで1週間ぐらい汲み水や井戸に浸しておく。それを「種かし」、「種浸し」という。種かしの日を選ぶとは、うまく発芽できるよう、稲籾を播く日を選んだこと。稲作の第一歩がはじまる祈るような気持が表されている。(高橋正子)

【特選/5句】
★花冷えも土黒々と力満つ/藤田荘二
花冷えのしらしらとした日も、畑の土は、黒々として、太陽の熱を溜め、風を含んで、よく肥えて見える。作物を育てる力に満ちているのだ。(高橋正子)

★花林檎咲き満ち空をかがやかす/矢野文彦
ほのかなピンク色の混じる林檎の花が咲き満ちると、空が一度に明るく感じられる。明るいどころか、空はかがやいている。林檎の花によって輝く空があることに心膨らむ。(高橋正子)

★白蝶の谷より吐かれ忽然と/臼井虹玉
白蝶が谷にふいに現れたおどろき、蝶はそのように生まれてくるものだという不思議さがある。(高橋正子)

★佇めば花の光りに包まれぬ /渋谷洋介
満開を少し過ぎた桜は、色をやや失い始め、光りと同化したようになる。そういった桜の中に佇むと、花の光りに包まれて、清らかな思いになる。(高橋正子)

★春空の深く駅舎に旅ひとり/野仁志水音
春の空を「深く」感じるのは、旅にいるからであろう。小さな駅にひとり列車を待つ少しの不安と、なにか、はるかを見る気持が重なっている。(高橋正子)

【入選Ⅰ/20句】
★春キャベツをきしきし剥がす水弾き/小川美和
春キャベツのみずみずしさが伝わってきます。柔らかく歯ざわりのよいキャベツは朝の食卓に似合います。(大山由紀)

★しきりなる飛花を追ってる小さな手/堀佐夜子
両手を上げくるくるまわっているのか、小さな手を広げて花びらを受け止めようとしているのか、小さな子の、いろいろなしぐさが、目に浮かびます(松原恵美子)

★満開の桜黙せる夜の冷え/碇 英一
花冷えで夜桜見物をする人は少ないが、桜は冷えに耐えている。それは人のためでなく、桜自身のためである。(清水清正)

★万蕾の開きて朝の桜清し/おおにしひろし
枝いっぱいの蕾がその朝は満開に咲き誇っている、桜の初々しさ清さ見事さを詠んで好きな句です。 (丸山草子)

★滑り台桜の影に包まれて/祝 恵子
穏やかな春の日、滑り台には子供たちが群がり、遊びに夢中になっている、そんな光景の中、我々が待ちわび、もっとも愛すべき桜が満開になっている光景を素晴らしい表現であらわしていると思います。(小口泰與)

★新たなる木の勢いに春落葉/池田多津子
常緑の木々も、新しい葉を開き、そして散ってゆく葉がある。「木の勢いに」という言葉に、木々の新しい命が溢れてきていることを実感いたしました。(あみもとひろこ)

★送り出て朝の鶯聞きとめし/藤田洋子
穏やかな暮らしが垣間見える素敵な句だと思います。(甲斐ひさこ)

★清明や竹の触れ合う音のする/多田有花
清明という時期と、清々しさを漂わせる竹の音が相応しく、穢れのない感じが漂っています。(臼井虹玉)

★花の下園児服の児手を母と/藤田裕子
入園式に赴く母と新入生でしょうか。新しい生活に向かう子供の様子が見えてきます。 (高橋秀之)

★風強き夜の続きけりヒアシンス/黒沼風鈴子
★干す釜の中にも散りぬ花海棠/齋藤良一
★けぶり立つ火の山斑雪なりにけり/小口泰與
★初恋を遠くに想い土筆摘む/中村光声
★童らの縄の電車の桜に入る/松原恵美子
★真二つに春を巻き込むキャベツ切る/黒谷光子
★春塵や隊列を変え行進す/安藤かじか
★母の手の温度を握る花ぐもり/かわなますみ
★中州には菜の花土手に桜かな/友田 修
★名残雪明けて連山近くあり/尾 弦
★伸ばす手へ枝垂れ桜の応えけり/池田加代子

【入選Ⅱ/31句】
★アルプスの嶺に対峙の花孤高/おくだみのる
険しい山の峰々に対峙する一本桜。大きさは比べようもないのに、山に匹敵する風格が感じられます。(笠間淳子)

★川からの風やわらかく燕来る/あみもとひろこ
御地ではもう燕がきましたか。やわらかな川風にのって燕の登場。いい季節です! (宮島千生)

★暁けてゆく空清明の月残す/志賀たいじ
生き生きとした春先の清らかさを明け方に残月に見る清清しい好きな句です。(平田 弘)

★たんぽぽの真直ぐの畦はみだせり/甲斐ひさこ
畦をはみ出すかのように、元気に咲くたんぽぽ、明るい力強い春の景です。(小川美和)

★本堂にボサノバ響く花祭/國武光雄
花祭りでにぎわうお寺に突然ボサノバの響き。本堂で演奏しているところが何とも現代的で意外感の面白さがある。(安丸てつじ)

★不意に来てさっさと帰る春の雷/大山 凉
「さっさと帰る」をいただきました。まるで近所の人みたいな雷がユーモラスで笑ってしまいました。(多田有花)

★群青の空を残せり春の星/かつらたろう
★鳥渡る春の岬の一日かな/岩本康子
★花冷えや朝のコーヒー温かし/河野渓太
★野良人の見え隠れして桃の里/大給圭泉
★夜桜の大樹枝垂るる七日月/野田ゆたか
★犬吠の魚干す庭風光り/滑川けいこ
★ひこばえの柔らかき葉に朝日射す/丸山草子
★つくし摘む子の歓声や日の溢れ/吉川豊子
★海棠の開くにつれて紅淡し/平田 弘
★まず喰ってゆっくり休め初燕/前川鳰波
★朝掘りの筍湯がく白さかな/中山重孝
★花冷えに妻の淹れ来し葛湯かな/安丸てつじ
★髪切って春風の子のボーイッシュ/石田高志
★絵凧上げ山野の緑見上げたり/辻 保宏
★伸びすれば朗(ほがら)に紅き楠若葉/小西 宏
★しの字描き河口へ返す蜆舟/宮島千生
★花の雨江ノ島遠し葉山浦/小河原銑二
★暁は匂い立ちたる花霞/笠間淳子
★提灯に薄墨色の桜かな/小河原宏子
★清明や鳥鳴く声にあるリズム/飯島治蝶
★花吹雪陶製の河馬口開けて/古田けいじ
★サーカスの発ちし青空つばくらめ/松澤龍子
★街路樹の剪定空を広げおり/大山由紀
★登山道の木道のどか巣立ち鳥/湯澤まさえ
★一目散に桜小路を走り抜け/高橋秀之

■好きな句(互選)/4月1日~8日

2007-04-09 02:43:41 | 選句箱
■57名の方から171句の投句があり、締め切りまでに49名の方が互選に参加されました。4月1日-8日の互選高得点句は次のとおりです。同点句の場合は作者名五十音順で表記しております。投句されていない方の選は集計対象となっておりませんことをご了承ください。

【最高点18点】
◎花冷えも土黒々と力満つ/藤田荘二

【次点14点】
○満開の桜黙せる夜の冷え/碇 英一

【13点】
○白蝶の谷より吐かれ忽然と/臼井虹玉

【11点/同点2句】
○春キャベツをきしきし剥がす水弾き/小川美和
○花林檎咲き満ち空をかがやかす/矢野文彦

【10点】
○清明や竹の触れ合う音のする/多田有花

【8点/同点2句】
○万蕾の開きて朝の桜清し/おおにしひろし
○暁けてゆく空清明の月残す/志賀たいじ

【7点/同点2句】
○川からの風やわらかく燕来る/あみもとひろこ
○新たなる木の勢いに春落葉/池田多津子

【6点/同点2句】
○滑り台桜の影に包まれて/祝 恵子
○日を選び桶にもみ種かしおりぬ/松本和代

【5点/同点2句】
○真二つに春を巻き込むキャベツ切る/黒谷光子
○童らの縄の電車の桜に入る/松原恵美子

(集計:多田有花)

■好きな句(互選)を下の<コメント>にお書き込みください。
①<投句箱/4月1日-8日>の<コメント>の投句の中から選んでください。
②好きな句(互選)を5句選んでください。もっとも好きな句1句にコメントも付けてください。
③互選は、4月14日(土)まで許されますが、互選集計の対象は、4月12日の午前0時までに書き込まれた<好きな句(互選)>に限ります。
④投句をされていない方も互選に積極的に参加してください。選をいただくと、作者は喜ばれます。ただし、投句されていない方の選は集計の対象にはならないことをご了承ください。