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NPO法人運営講座

NPO法人に関する各種情報を掲載しております。毎月1回、不定期に更新致します。

NPO法人の組織体制について

2010-04-09 18:52:09 | 日記
今回は、NPO法人の組織体制についてお話致します。

NPO法人を効果的に機能させるためには、
まず、NPO法人の各機関の権限を明確にする必要があります。
機関各々の権限が明確にならなければ、
それぞれの義務や権利、責任が明確にならず、
組織そのものが曖昧なものになってしまうからです。

さて、法律上におけるNPO法人の組織体制については、
大まかに下記のような機関に分けることができます。

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①社員総会・・・・法人の最高意思決定機関

②理事会 ・・・・法人の事業の執行に係る事項を決定する機関

③事務局 ・・・・法人の事業の実務を行う機関
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総会は法人の使命など、構成員の総意が必要となる
意思決定を行う機関であり、
理事会は法人の目標・戦略・戦術など、
業務執行における重要事項を決定する機関であり、
事務局は、法人の事業の実務的な執行をする機関であると言えます。

前回までにお話したMOSTECフローに
それぞれにあるべき権限を当てはめますと、
Mission(使命)は社員総会で決定し、
Objective(目標)、Strategy(戦略)は理事会が決定し、
Tactics(戦術)は理事会・事務局が
連携して決定するのが理想的です。
また、Execution(遂行)は事務局が行うものですが、
そのControl(評価)は事務局の報告を基に
理事会にて行うのが望ましい形です。

まとめますと、下記のような割り当てが理想的です。

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・Mission(使命)→①で決定

・Objective(目標)→②で決定

・Strategy(戦略)→②で決定

・Tactics(戦術)→②③で決定

・Execution(遂行)→③で行う

・Control(評価)→②で行う
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ここで一点ポイントとなるのは、
総会、理事会、事務局それぞれに
「連結部分となる人員」を置くことです。


総会、理事会、事務局それぞれが
バラバラの人員で構成されておりますと、
互いが互いの機関での決定事項のみを
他の機関に伝達する形となってしまいますので、
意思の乖離や意思決定に対する不満が生じる可能性があります。

例えば、総会は受益対象者のニーズに
そぐわないミッションを提示するかもしれませんし、
理事会はミッションや事業の実態とかけ離れた
目標・戦略等を決定するかもしれませんし、
事務局は実務に追われるあまり、
ミッションを無視した事業の遂行を行ってしまうかもしれません。

これを防ぐためには、各機関それぞれの意思決定までのプロセスに参加し、
各機関それぞれと考え方を共有できる人材が必要となります。
それが「連結部分となる人員」、
つまり、社員総会・理事会・事務局全てに参加でき、
それぞれの状況を理解できる人員です。
特に長く運営を行っている団体にとっては、
このような人員を配置することが、法人の分裂を防ぎ、
円滑な意思決定・業務遂行を行うポイントであると言えます。

理想は社員、理事、事務局長の3つを兼ねる人員がいることですが、
それが難しい場合、例えば社員と理事、理事と事務局員というように、
上記のいずれか2つを兼務できる人員を複数配置するなどで
対応いただいても宜しいかもしれません。


さて、組織体制も勿論ですが、
それを構成する「人材」はそれ以上に重要です。
次回は、理事や社員など、法人の根幹となる人材の選任する上での
ポイントを詳しくお話してまいります。