東京電力福島第一原発事故で福島県から横浜市に自主避難した中学一年の男子生徒(13)が、市立小学生時代に避難者であることを理由にいじめを受けていた問題で、生徒の父親が九日、本紙の取材に応じた。いじめは避難直後から少なくとも四年に及んでおり、「学校がちゃんと対応してくれず、卒業式にも出られなかった。時間を返してほしい」と訴えた。 (志村彰太)
父親によると、一家は放射能の影響を恐れて避難。生徒は小学二年の二〇一一年八月、市立小に転入した。直後から同級生から「菌」や「放射能」と呼ばれたり、蹴られたりした。支援物資として提供された文房具を取られたこともあり、三年のころから休みがちになった。
さらに五年になると、「(原発事故の)賠償金をもらっているだろ」と言われ、ゲームセンターや観光地の同市みなとみらい地区で遊ぶ金をせがまれた。多い時には十人に十万円を支払い、一カ月半の間に計約百五十万円に上った。
生徒は父親のお金を内緒で持ち出していた。自主避難のため賠償金は数十万にとどまり、親族から当面の生活費を借りて家に置いていた。生徒がそのお金を使い果たし、財布のお金を持ち出したときに、父親が気付いた。生徒は「お金を持って行けば、いじめられなかった」と話したという。
父親が学校に相談すると、学校側は「お金が絡んでいるので警察に相談してください」と言うだけで同級生への指導はしてくれなかったという。生徒は六年になると、一度も登校しなかった。
父親は学校に不信感を抱き、弁護士に相談。学校側やいじめたとされる同級生の保護者らと話し合ったが、改善せず、昨年十二月に第三者委に調査を申し入れた。
父親は「避難者ということで少しのいじめは覚悟していた。しかし、学校が対応してくれず、いじめがエスカレートしていった」と振り返り、「子どもには、修学旅行も行かせてあげたかったのに、できなかった」と無念を語った。
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