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バイアス

2016-05-31 | 日記
毎年の運動会ではいつもビリをノタノタと走ってくる長女を見てそれも個性だと思っていた。
いやむしろ、トラックを懸命に走るその姿が可愛いいとさえも思っていた。
しかし僕が心の底で思っていたのはそれだけではなかったのだ。
中学校に進学して長女が剣道部に入ると言った時
僕は特に何も考えずに「無理じゃない? 大丈夫?」と答えていた。
部長をやると言った時も「運動部の部長?ホントに?」と言っていた。
団体戦で大将をやると聞いた時も
「大将っていうのは一番強い奴がやるもんだよ?」と不安を隠さなかった。
いよいよ先週末に地区中学校の剣道大会を前にしても
「一回戦ぐらいは勝てるといいね」と無神経に声をかけていた。
一番近くにいるはずなのに僕には長女の能力も思いも何も見えていなかったのだ。
僕は長女を運動の苦手な子として捉えてしまい
自分自身がその偏見の呪縛にがんじがらめになっていて
あるいはもう少しで誤ってその偏見の中に長女を閉じ込めてしまっていたのかもしれない。
もっと強い口調で長女の成長を完全に潰してしまっていたかもしれない。

最後の表彰式で部長として団体戦3位の賞状を受け取る長女は僕の想像を超えた長女だった。
20人余りの部員たちの中心に座り賞状を手に記念撮影に応じる長女は威風堂々とした別の長女だった。
彼女自身の選択が、彼女自身の努力がそこにいる長女へと導いたのだ。
僕は彼女のこれまでの選択にことごとく的外れなことを言ってきた自分を恥じた。
どんなに近くにいても、いや、近くにいるからこそ親には子供の全景が見えないのだ。
子供の夢や将来の選択に対して僕の偏見など決して押し付けることのないよう僕は心がけねばいけない。
長女の選択をただ信じ、見守っていける親にならなければいけない。
僕の子育てなど未熟な進行形で自分にもまだまだ学びがあることを忘れないでおこう。

それにしても、指導の先生はほんとうにすごい。
「三ヶ月で子供達は変わりますよ」という言葉通りに長女たちは本当に変わった。
その先生は個人一般の部に出られて見事な優勝を決められたのだが、
その構え岩のごとく静かにして、その巨岩動く時、晴天を切り裂く雷のごとくに閃光が走り
身を震わす地響きのなか、審判たちの「イッポン!」の旗がサッと上がる、圧巻の試合だった。
指導者の器次第で子供の才能は無限に広がるものなのだ。
このことも深く胸にとどめておこう。