のほほん村村長日記

あみぐるみと菜園と二胡のある暮らし。

動く箱が恐い。

2006年06月12日 | 世間ばなし
田舎町に育ったせいで、中学に上がるまでエレベーターとエスカレーター
の区別がつかなかった。まるで数式や歴史上の人物を覚えるように、「エ
レベーターは箱のほうで、エスカレーターが階段のほう」と繰り返し繰り
返し頭に叩き込んでやっとこれらの単語を安心して人前で使えるようにな
った。

いつぞや、当時県下一高層の(といっても9階建てだが)マンションが建
ったときにはその話で持ちきりになり、私の母が「おっとろしー(恐ろし
い)。火事になったらどうするがやろ、エレベーターに閉じ込められたら
どうするがやろ、ベランダから足を踏み外して落ちたら生きて還れんやい
か」と自分のことのように心配していたのを今でも覚えている。

田舎のデパートにも一応、エレベーターはあったのだが、母は上まで昇る
のにいつもエスカレーターを使っていた。その母の買い物にお伴していた
私もいまだにエレベーターに乗り慣れない。都心でもエスカレーターがあ
ればなるべくそちらを利用する。10階以上になればさすがに観念してエレ
ベーターに乗るが、いつも「このまま閉じ込められたらどうしよう」と気
もそぞろである。

私がエレベーターが苦手なのは、
・密室である
・見ず知らずの人と狭い空間を共にせねばならぬ
・ぐーんと上昇するときに味わう乗り物酔いや耳鳴りが苦手
・万が一閉じ込められたら自力で脱出できる可能性は極めて小さい
などの理由による。あるとき友人(毎日高層ビルのオフィスで働いている)
とデパートの上層階に食事に行こうとしたとき、エレベーターを使うかエ
スカレーターを使うかで口論となった。私が、エレベーター嫌いな理由を
述べると、友人はその理由を、機械を信じなさすぎる、原始的すぎる、取
り越し苦労、などといって鼻で笑って一蹴した。

けれど、万が一つにも事故は起こるのである。

身の丈を超えるものをつくって、それにベッタリ甘えていると、ときに手
痛いしっぺ返しを食らうことがある。都会生活にエレベーターが欠かせな
いのは認めるとしても、設計者、点検・修理者、そして利用する人々も、
機械の万能性を信じきるのではなく、もっと原始的な勘を働かせていたな
らば、犠牲者が出ることは防げたのではないかと、残念に思う。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
心の隅に・・・ (つんでこ)
2006-06-14 09:43:19
すぐに忘れてしまうけど、災害や事故はいつ起きても不思議じゃないんだよね。

心の隅にその可能性を常に意識して行動しないといけないと、再確認しました。
返信する
たまたまではない (村長)
2006-06-14 22:23:42
つんでこさん>

今になってエレベーターに閉じ込められた

話が次々出てくるけど、今回の事故がなけ

れば、メーカーも点検業者も、利用者も、

「たまたま起きただけ」ですませてたんじ

ゃないかな。大きなほころびになってから

では取りかえしがつかないので、穴が開く

前か、せめて小さい穴のうちに対策を取る

必要があったのでは、と思います。
返信する

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