NEP 中島エレクトロニクスプランニング イプロスに紹介されています。

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アメリカビザ所有

2016年7月アメリカバーミンガムHMAビジョンシステム移設実験について。

2016-07-09 17:01:27 | 自己紹介

10) バーミンガム向けビジョンシステムにて、ロボガイドPCビジョンシミュレーションプログラム実験中、技術開発

   (1)PCビジョンシュミレーションにて画像検出実施実験、および補正動作実験

   (2)現物キャリブレーションによる配置変更後の再現テスト実験中、、、まもなく

   (3)ロボガイドによるフルテスト、および座標変換テスト実施中!!

、、、、についての結果報告。現地アメリカより最新情報。

 

結論 : 移設実験成功 ビジョンの検出画像およびツールを作成し直す事なく、以前の状態の復元に成功。

状況 : 移設に関しては、実働作業2日にてほぼ完了。以前の検出エリアに入るように微調整するも、

      検出画像およびツールはすべて移設前を変更する事なく再現出来た。

実作業における問題点と、考慮するべき点について。

     復元検出ツールに関して、大きな問題を抱えていた事が判明。補正に使う座標系をユーザー0に

     設定してあった事によるもので、これが原因となって、以降のターゲット座標変換作業で著しく

     困難な状況となった。

     通常FANUCロボットでは、ユーザー0と言う座標系を使用する事はない。この座標系はロボットの

     ワールド座標系に一致しており、ユーザーで座標設定出来ないものとされている。従って、座標設定を

     しないデフォルトの座標状態を取得する場合には、この座標系に設定する事で、ロボットワールド座標

     の状態が取得出来る。

     これはプログラムで記述可能となっている。今回のケースでは、この座標系にビジョン補正値を使用して

     いたために、様々な弊害が生じた。

    (1) ロボガイドのキャリブレーションが影響を受け、正しく座標変換出来ない。

    (2) ロボットペンダントで出来る、座標変換に関わるユーティリティに影響が出てしまい、ユーティリテ

       の変換が正しく出来ない。

問題の解決に当たって : 

    上記のような理由で、ほぼ再現は不可能な状況に陥った。 --->>> あらゆる手段を検討。

    まず、変換ミスを起こすロジックを解明する必要があった。変換ミスの理由が判明しない限り、的確な

    手段を講じる事が出来なくなるため。

    1) 何が原因となって、変換ミスを生じるのか。

       ① 3POINTキャリブをやり直す。 --->> ダメ

       ② ドットキャリブレーションをやり直す。 --->> ダメ

       ③ ターゲット座標を作成し直し、再度キャリブレーションをやり直す。 --->> ダメ

       ④ ほかに見逃している、設定などはないか、、、、??

       結局、④ を検討中に、検出ツールで疑問があった事に気がつく。

       カメラドットキャリブレーションで、使用する座標系に、たしかユーザー0 が設定されていたはず!!

   2) 仮に、ユーザー0 に、補正データが入ってしまっていた場合に、このような弊害が、発生するのか!?

      ① これをクリアする方法はないか。?

      ② 検出ツールを、ユーザー0 から、別の座標系に移動する方法はないか。?

      ③ どれを検討しても、現状の復元に関わる事なので、断行すれば復元前のデータを失いかねない。

 

   3)結果、上記2)の手法では、うまくゆかない事が判明したために、原因に対応する方法を試行錯誤する。

      まず、(1)ユーザー0に入ってしまった補正情報はクリアする事は出来ない。

         (2)検出ツールの座標系を移動すると、以前の検出が成り立たなくなる。

         (3)ロボガイドにて3ポイントキャリブレーションを実施するも、変換がゆがんでしまう。

     以上を受け、現状のゆがんだユーザー座標系上で、変換作業を断行することにした。いわゆる、現物キャリブ

     である。これはゆがんだ座標上で、現物キャリブする事で最小限度の補正誤差にすることが出来ると、推測し

     その効果を確認するため。

   4)ロボガイド現物キャリブレーション

     (1)ロボガイドで3ポイントをタッチアップする。→ 実機ロボットへプログラム転送

     (2)実機ロボットにて、3ポイントを教示する。→ ロボガイドへプログラム転送

     (3)ロボガイドによりキャリブレーションする。→ ロボットの配置が変更される。

     (4)この位置で、ターゲット座標を教示する。→ 実機へ転送する。

     (5)実機にて教示位置確認。

  5)上記4)の作業により、ビジョン検出位置にて、5mm以下、ピン挿入位置にて2mm以下の変換誤差にとどまった。

    しかし、離れたコンベア取り付け位置での再現は、誤差が大きく影響を受け、200mm程度まである。これは、

    ロボットの設置位置と、旋回角度の変化によるゆがんだ座標系の変換誤差と認識。教示ポイント数も、10ポイント以下

    なので、この部分については、現物教示する事とした。

    検出位置の再現はどうかと言うと、ほぼ復元に成功。見事にど真ん中で検出出来ている事が判明。これは、検出ツールの

    位置を3ポイントの基準にしたためであり、この基準位置を中心にデータ変換が出来ている為である。

 

    最後に、

   締めくくりとしては、今回の工事において新たな技術の開発が出来た事は、大きな意味があると思われる。

   これまで、ティーチングペンダントを使用した、プログラムシフトによる変換作業及び、簡単な移設であっても

   その旧プログラムをまともに変換で来たためしがない。いろいろな方法が言われているが、どれも精度を欠くもので

   実用的ではなかった。元となる座標の取り方が、変換先のプログラムに大きく影響する事が、良くわかる。

   ペンダントでできる範囲はおおよそのシフトであり、再度教示しないと使えないと考えて良いと思われる。

    だが、今回の手法を使えば、今までできなかった精度の良いプログラムシフトも可能であることがわかる。

   これは、より短納期でティーチングを終了させるうえで、とても重要なことで、ここ20年以上変化していない、

   教示作業のあり方を変えるかもしれない。

   今回の実績を報告。

   1) 移設前にシュミレーションで要した工数・・・・・93時間

   2) 現地での移設後の教示作業・・・・・・・・・・・12時間(1日半分ぐらい)

   3) 残りの、半日は、試運転確認に使用。

   

   なお、2)については、もし次回があれば、より短縮できるものと確信する。

   最後に、ご協力いただいた企業です。

   愛知県三洋機工株式会社

   アメリカ・Honda Manufacturing Of ALABAMA

        ロボットメーカー FANUCアメリカ

   技術協力 三洋機工株式会社

   以上ご協力ありがとうございました。

   今後も、常に、新しい技術の開発及び、ティーチング技術の開発に慢心してゆきたいと思います。