上高地清水屋ホテルの自家発電設備

2015年05月03日 | 松本市
松本市安曇資料館(道の駅”風穴の里”隣り)に展示されています。




上高地の自家発電設備


この発電設備は、昭和40年代まで上高地清水やホテルの自家発電所で使われていたものです。

平成14年(2002年)11月、自家発電所の撤去にあたって発電設備の一部をここへ移し、保存しました。

上高地温泉株式会社では、大正末期、善六沢の水を利用した自家発電を計画しました。

正確な発電開始時期はわかりませんが、上高地にともなった最初の電灯であったことはまちがいないでしょう。

上高地に電気が引かれたのは、上高地帝国ホテルが昭和8年(1933年)の創業時、その他の旅館などが昭和15年のことでした。

これらに先だつ昭和3年には、大正池の水を利用した梓川電力株式会社(現東京電力株式会社)の霞沢発電所が運転を開始していますが、

この自家発電所はそれよりもさらに古いことになります。

しかも、清水屋は、上高地に電気が着てからもその供給を受けることなく、

長いあいだここで発電した電気だけを使っていたということです。



しかし、昭和40年代の大雨で善六沢の流れが変わり、十分な水を得ることができなくなったのをきっかけに、

中部電力株式会社の電気を使うようになり、この自家発電所はその役割を終えました。


古い記録によると、ここに展示した発電設備は発電所建設当初のものではなく、建屋も当初のものとはちがうようです。


発電機は発電所建設とほぼ同じ時期の製品で、大正14年(1925年)、米国ウエスチングハウス社製です。

水車(フランシス水車)は昭和16年製、大理石製の制御盤や、屋外の頑丈な黒い避雷器(昭和10年製)にもご注目ください。

水圧鉄管の落差は約27mでした。






























(上高地、清水屋ホテル、水力発電、善六沢、松本市安曇資料館、道の駅風穴の里)