某大ロースクールに通う、大学の親友かつゼミ仲間のごんちゃんから質問が来ました
本当は、仲間うちの専用掲示板があったのですが、年末のアクセス急増でサーバー自体が吹っ飛んじゃって消滅
したので、このブログで僕の意見を書いちゃいましょう
さて、お題は論文の答案を書くときに、判例はどのように書くべきかでございます。
前提問題から、項目を立てて考えていきましょう
(1)判例は答案に書いた方がよいのか
完全に基本的な前提ですね。
答えはもちろん「書いた方がよい」でいいと思います。
理由としては、「法学は先例の積み重ねを基礎としている。したがって、先例である判例は賛同するにせよ、批判するにせよ、言及したほうが望ましい。」とか、「現行・新試験ともに、『法律家になれるだけの力量があるか』を試す試験である。そして、裁判官はもちろん、弁護士等も判例に沿って自分の理論を組み立てることが多い(判例中に他の判例が引用されるなど)。よって、自分が『法律家に向いている』ということをアピールするためには、なるべく判例に言及すべきだ。」
こんな感じでいかがでしょう。
ただ、ここで注意しておかなければならないのは(当然のことで申し訳ないのですが)、無理やり判例を書く必要もない、ということです。問題と全く事案が違うのに判例を書いたとしても、論理がずれるおそれがあるというマイナス面しかないですからね。
判例を書いた方がよいということを確認したので、次にどう書いていくのかを考えてみましょう。
(2)どのような形式で判例を書くか
受験予備校の参考答案を見たことのある人ならわかると思いますが、判例の引用の仕方は、答案によって様々です。
それぞれの方法を個別的に検討してみましょう。
①判例「同旨」
これはかなり多いですね。No.1シェアかな?
ちなみに、この記載方法に関しては、(くだらない?)論争があります。
それは「判例同旨」なのか、「判例に同旨」なのかというもの。
前者は判例(が)同旨と言っているのと同じような意味に取られる可能性があります。とすると、(裁判官が決定した)判例が、自分の考えに従っている、というような雰囲気が出てきて、「勘違いしてるんじゃないか」という印象を与えかねない、と言われているみたいですね。
まあ、どちらかと言われたら、「判例に同旨」の方が若干いいと思いますが、これは重大な欠点があります。
それは、「判例のどの部分と『同旨』なのか」ということです。
判例は主文、事実、理由と、それぞれのまとまりに分かれています(民事訴訟法253条等)。ここで、単に「判例に同旨」と書かれても、(事実はないにせよ)主文に拠ったのか、理由に拠ったのか、あいまいな説明にしかなりません。
そこで、改良版として「理由は判例に同旨」や、「結論判例に同旨」なんて記載がされたりもするのですが、もうわけわかりません(笑)
そもそも、判例を引用するならば、どのような事件(番号)で、いつ、どの審級の裁判所が下したものか、まで書かないと、丁寧な説明になりません。
そんなわけで、①のような記載をするなら、書いても書かなくても、同じじゃないか、という考えに至るわけです。
②「判例は~、だが・・・」
これは主に反対説として判例を挙げる時に用いられますね。
俺としては、①のようなことを書くよりも、数段あっさりしていてわかりやすいので、自分でもたまに使ったりもする、おすすめの方法です。
しかし、これを使うのはごくたまにしかありません。
理由は、③を書く上で述べていきます。
③「判例」という言葉を書かずに、内容を引用する
はっきり言って、これが最上だと思います。
まず、理由の1つめは、「積極ミスを避けられる」ということです。
自分が引用した判例が、もし勘違いで内容にズレがあったら・・・すでに「判例」という表記が誤っていることになり、「正確に理解していない」と評価され、減点を免れません。また、勘違いでなくとも、時間制限などの影響で、表現がうまくいかず、結果的に判例の内容とズレが生じてしまうおそれもあります。
点が上がらないことより、積極ミスの方がダメージが大きいので、これはなんとしても避けなければなりません。
もちろん、引用した内容に誤りがないと確信できれば何の問題もないのですが、それは個々人で判断すればよいことだと思います。
次は積極的理由。
思うに、「判例は」なんてわざわざ答案に書く必要は全くないと思います。
なぜなら、答案を採点する人は、法学者や実務家など、法律に精通した方ばかりです。とすれば、わざわざ「判例は・・・」などと書かなくても、判例の内容の引用がしてあれば、「ああ、判例をちゃんと理解しているな」という感想を抱くはずです。受験生は、どんなに逆立ちをしても法律家の知識に敵うわけないのだから、わざわざ丁寧に教えるがごとく、「判例は」なんて言及する必要はないと思います。
また、俺の勝手な考えですが、試験で判例と全く同じ事案が出るわけないので(そんなことしたらただの暗記テストになってしまうから)、逆に判例に振り回されると、判例の事案との違いを見抜けず、結論まで誤ってしまうおそれもあります。
基本的な論点や、規範において判例を引用することはもちろんよいのですが、それ以上に判例を表現すると思わぬ落とし穴が待っている可能性があるような気がします。
そんなわけで、「判例」と書く必要がなく、また逆にデメリットも生じるおそれもあるのではないかと考えます。
結局、自分的には③がおすすめです。
(3)どのくらいの分量で判例の内容を書くか
これは完全に蛇足ですね
各自、答案を書くにあたって適宜判断すればよいと思います。
以上をまとめると、判例はできるだけ言及した方が望ましいが、無理にする必要はなく、また、引用は内容だけ書けばよいというのが俺のスタンスです。
このような結論はなにも俺一人の経験から導きだしたわけではなく、俺の司法試験の先生である柴田先生も言っていることです。詳しくはこの本等を参照してみればよいと思います。
Sクラス出身の方、わかりきったことを書いてしまってすいませんでした
ただ、最後に注意しておくと、このような考えは新司法試験に当てはまるかは自信がないです
新司法試験については「真の実力があれば普通に合格できる」とか、わけのわからないことを運営者が言っているので、それがどのようなことか現時点では全くわからないからです。
もしかしたら、「判例」としっかり表記することが、採点官に要求されるかもしれません。
一方、俺はロースクール内部のテストを受けたことがないので全くわからないのですが、そのテストが理解よりも知識を試すためのものなら、「判例は・・・」とか書いた方が教授の意向に沿うのでしょうね。それが実務家になるために必要なことかはわかりませんが。
以上、参考にされるかされないかは別として、俺はこのように考えていて、これからもこの方法で答案を書き続けていくつもりです

本当は、仲間うちの専用掲示板があったのですが、年末のアクセス急増でサーバー自体が吹っ飛んじゃって消滅


さて、お題は論文の答案を書くときに、判例はどのように書くべきかでございます。
前提問題から、項目を立てて考えていきましょう

(1)判例は答案に書いた方がよいのか
完全に基本的な前提ですね。
答えはもちろん「書いた方がよい」でいいと思います。
理由としては、「法学は先例の積み重ねを基礎としている。したがって、先例である判例は賛同するにせよ、批判するにせよ、言及したほうが望ましい。」とか、「現行・新試験ともに、『法律家になれるだけの力量があるか』を試す試験である。そして、裁判官はもちろん、弁護士等も判例に沿って自分の理論を組み立てることが多い(判例中に他の判例が引用されるなど)。よって、自分が『法律家に向いている』ということをアピールするためには、なるべく判例に言及すべきだ。」
こんな感じでいかがでしょう。
ただ、ここで注意しておかなければならないのは(当然のことで申し訳ないのですが)、無理やり判例を書く必要もない、ということです。問題と全く事案が違うのに判例を書いたとしても、論理がずれるおそれがあるというマイナス面しかないですからね。
判例を書いた方がよいということを確認したので、次にどう書いていくのかを考えてみましょう。
(2)どのような形式で判例を書くか
受験予備校の参考答案を見たことのある人ならわかると思いますが、判例の引用の仕方は、答案によって様々です。
それぞれの方法を個別的に検討してみましょう。
①判例「同旨」
これはかなり多いですね。No.1シェアかな?
ちなみに、この記載方法に関しては、(くだらない?)論争があります。
それは「判例同旨」なのか、「判例に同旨」なのかというもの。
前者は判例(が)同旨と言っているのと同じような意味に取られる可能性があります。とすると、(裁判官が決定した)判例が、自分の考えに従っている、というような雰囲気が出てきて、「勘違いしてるんじゃないか」という印象を与えかねない、と言われているみたいですね。
まあ、どちらかと言われたら、「判例に同旨」の方が若干いいと思いますが、これは重大な欠点があります。
それは、「判例のどの部分と『同旨』なのか」ということです。
判例は主文、事実、理由と、それぞれのまとまりに分かれています(民事訴訟法253条等)。ここで、単に「判例に同旨」と書かれても、(事実はないにせよ)主文に拠ったのか、理由に拠ったのか、あいまいな説明にしかなりません。
そこで、改良版として「理由は判例に同旨」や、「結論判例に同旨」なんて記載がされたりもするのですが、もうわけわかりません(笑)
そもそも、判例を引用するならば、どのような事件(番号)で、いつ、どの審級の裁判所が下したものか、まで書かないと、丁寧な説明になりません。
そんなわけで、①のような記載をするなら、書いても書かなくても、同じじゃないか、という考えに至るわけです。
②「判例は~、だが・・・」
これは主に反対説として判例を挙げる時に用いられますね。
俺としては、①のようなことを書くよりも、数段あっさりしていてわかりやすいので、自分でもたまに使ったりもする、おすすめの方法です。
しかし、これを使うのはごくたまにしかありません。
理由は、③を書く上で述べていきます。
③「判例」という言葉を書かずに、内容を引用する
はっきり言って、これが最上だと思います。
まず、理由の1つめは、「積極ミスを避けられる」ということです。
自分が引用した判例が、もし勘違いで内容にズレがあったら・・・すでに「判例」という表記が誤っていることになり、「正確に理解していない」と評価され、減点を免れません。また、勘違いでなくとも、時間制限などの影響で、表現がうまくいかず、結果的に判例の内容とズレが生じてしまうおそれもあります。
点が上がらないことより、積極ミスの方がダメージが大きいので、これはなんとしても避けなければなりません。
もちろん、引用した内容に誤りがないと確信できれば何の問題もないのですが、それは個々人で判断すればよいことだと思います。
次は積極的理由。
思うに、「判例は」なんてわざわざ答案に書く必要は全くないと思います。
なぜなら、答案を採点する人は、法学者や実務家など、法律に精通した方ばかりです。とすれば、わざわざ「判例は・・・」などと書かなくても、判例の内容の引用がしてあれば、「ああ、判例をちゃんと理解しているな」という感想を抱くはずです。受験生は、どんなに逆立ちをしても法律家の知識に敵うわけないのだから、わざわざ丁寧に教えるがごとく、「判例は」なんて言及する必要はないと思います。
また、俺の勝手な考えですが、試験で判例と全く同じ事案が出るわけないので(そんなことしたらただの暗記テストになってしまうから)、逆に判例に振り回されると、判例の事案との違いを見抜けず、結論まで誤ってしまうおそれもあります。
基本的な論点や、規範において判例を引用することはもちろんよいのですが、それ以上に判例を表現すると思わぬ落とし穴が待っている可能性があるような気がします。
そんなわけで、「判例」と書く必要がなく、また逆にデメリットも生じるおそれもあるのではないかと考えます。
結局、自分的には③がおすすめです。
(3)どのくらいの分量で判例の内容を書くか
これは完全に蛇足ですね

各自、答案を書くにあたって適宜判断すればよいと思います。
以上をまとめると、判例はできるだけ言及した方が望ましいが、無理にする必要はなく、また、引用は内容だけ書けばよいというのが俺のスタンスです。
このような結論はなにも俺一人の経験から導きだしたわけではなく、俺の司法試験の先生である柴田先生も言っていることです。詳しくはこの本等を参照してみればよいと思います。
Sクラス出身の方、わかりきったことを書いてしまってすいませんでした

ただ、最後に注意しておくと、このような考えは新司法試験に当てはまるかは自信がないです

新司法試験については「真の実力があれば普通に合格できる」とか、わけのわからないことを運営者が言っているので、それがどのようなことか現時点では全くわからないからです。
もしかしたら、「判例」としっかり表記することが、採点官に要求されるかもしれません。
一方、俺はロースクール内部のテストを受けたことがないので全くわからないのですが、そのテストが理解よりも知識を試すためのものなら、「判例は・・・」とか書いた方が教授の意向に沿うのでしょうね。それが実務家になるために必要なことかはわかりませんが。
以上、参考にされるかされないかは別として、俺はこのように考えていて、これからもこの方法で答案を書き続けていくつもりです

「結論のみペンギン氏見解に同旨」
しかし、「結論のみ」ですか。もっとお互いの考えを掘り下げたいとこですね
では、これからも楽しみに拝見させていただきますので。
後から思うと、結論さえ合っていれば大して影響ないですね
これからもお互い頑張りましょう