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密室殺人 探偵 槇原隆法(まきはら)の手帳

2022-01-21 10:07:45 | 縄奥小説

2話

 

 

 槇原が目を覚ましたのは朝の8時と前夜の酒も手伝い料理も全て食い、槇原にしてはその寝相の悪さは一見の価値があるだろうか。そして目を覚ました槇原は折角とばかりに朝ぶろと言う贅沢にひかれて風呂に移動すると、誰も居ない大きな湯船で足を延ばしてその効果のありそうな湯で全身に汗をかいた。

そして槇原が風呂から出たのは一時間半であったが部屋に戻ると布団は片付けられ食事の用意も終わっていて、槇原はその豪華な朝飯に喉をならして飯に喰らいついた。そして窓の外に見える雪化粧に目を奪われながら膨れた腹を「ぽんっ!」と、叩いてお茶で喉を潤した。そしてそんな優雅な朝を迎えるもテーブルに置いてあった新聞に目を通した。

今日も日本は平和だなと地方紙を見て行きながら、白黒のテレビを付けてテレビの音を聞きながら新聞を一通り見終え今度は身体の向きを変えてテレビに見入った。そして天気予報や東京では見れない地方の番組に目を奪われ槇原が宿泊している地域のニュースを見ていた。するとテレビから殺人事件のニュースが槇原の耳に飛び込んで来た。

槇原はそのニュースに釘付けになって画面を見ていると、どうやら現場は槇原が宿泊している旅館から近くであることが解った。だが槇原は今は温泉を楽しもうとテレビを消すと、娯楽室に降りていき部屋にあるテレビより二回りほど大きなテレビにソファーに腰かけて見入った。すると客の一人が掃除に来た着物姿の女性に「この事件て近いのかい」と、聞くと女性は馬車で一時間ほどの別荘地だと教えていた。

槇原はそんな近いのかと、聞き耳を立てていたが「俺には関係のないことだな」と、タバコに火を点けると大きく吸い込んで白い煙を吐いた。だが数日後に槇原がこの事件に関与することになるとは槇原本人も気づいてはいなかった。だが田舎の温泉旅館に一週間も缶詰にされることを考えた槇原は探偵と言う職業柄、事件のことが気になっていた。

 それは、後日の新聞で初めて知った「密室殺人」と、言う一つの文字だったことで槇原は居ても立っても居られずに畳の上でテーブルの周りをグルグルと回っては事件の詳細が解らない地方の新聞やテレビのニュースだけでは情報が少なく、それでも槇原は「いやいや… 俺は今仕事に来たんじゃない」と、自分を抑え込んでいた。

槇原は何度も「これは俺の事件じゃない」と、何度も自分に言い聞かせテーブルを前にしてお茶を飲んで気を紛らわしていた。そして「俺はここに癒されるために来たんだ…」と、東京から持ってきた一冊の文庫本を手に畳の上に仰向けになって読み始めた。そう槇原が読んでいるのは推理小説で有名な作家が書いていた本だった。

槇原は実際の事件と小説の事件の違いを熟知していて好きな作家の一人でもあったが、槇原が持ってきた文庫本の数は数冊もあったことで「のんびり本でも読もうか」と、作品の中に引き摺りこまれていった。そして時間はドンドン過ぎていき昼食を取るのも忘れて本の中に居る主人公と自分を重ねて楽しんで居た。

だが槇原は今の時点では実際に起きた事件に関与するはめになるとは考えてはいなかった。そして遅めの昼食を食べながらテレビのニュースを聞くと東京の警視庁が地元の警察署に捜査本部を設置したことをを知らせていた。そして夕飯前に風呂を楽しみに降りてくると地元の警察官が旅館の女将に聞き込みをしていたところに出くわしたが、槇原は無関係とばかりに風呂場に向かった。

そして風呂に浸かっていても事件のことが気になっていて槇原は心の中で「俺には関係ない…」と、何度も自分に言い聞かせて風呂で温まった身体を一旦、風呂から出て身体を冷ましていた。そしてこの日の風呂は二時間も風呂場で出たり入ったりを繰り返し、露天風呂で温まった身体を雪が積もった平らな場所に大の字になってその心地よさに槇原は癒されていた。

 そして槇原が温泉旅館に来て二日が経過した頃、地元の警察官が宿泊している客達にも話を聞いていることを知ると「どうか警視庁の人間が来ませんように」と、半ば祈るくらいの状態だった。それは警視庁が来ているだけで知り合いの刑事には絶対に会いたくはなかったからである。そして旅館に泊まっている客達は次々と話を聞かれいよいよ槇原の番が回ってきたが幸い地元の警察官で槇原は安堵していた。

そして槇原も他の客同様に話を聞かれ15分くらいで話も終わり警察官が部屋から出て行ったことで槇原は「ホッ!」として、夕飯迄の間に文庫本の中に引き込まれて行った。そして槇原は本の中で「コイツが怪しい! いやもしかしたらアイツかも!」と、すっかり小説の中に入っていた。

だがその頃、地元警察に来ている警視庁の刑事達は旅館の人別帳に目を通して、目を丸くする警視庁刑事で警視正と言う肩書を持った一人の人物は「まさか? いやそんなはずはないだろう?」と、人別帳の中にあった槇原の住所と職業を見た瞬間。警視正は一瞬、頭の中を真っ白にした。

ま、まさか「先生が!」と、槇原を唯一「先生」と、呼ぶのは丹波重一郎と言う幹部であって「先生がここにきているのか!?」と、槇原を遂につき止めてしまったから大変だった。そして槇原が丁度、夕食を楽しんで居る時に警視正を乗せた地元警察のジープが旅館に向かって居たが、そんなこととは知らずに槇原は旅を楽しんで居た。

そして猛吹雪の中を走るジープはさすがは四輪駆動であってちょっとやそっとの雪には負けずに旅館に向かって居たが、槇原は既に酒も飲んでいて料理も食べつくし「ゴロンッ!」と、畳の上に仰向けで郷土料理と酒でしっかりとリラックスしていた。そして着物の女性達が食器を片付けようと部屋に入ると同時に雪崩れ込むように丹波重一郎と数名の刑事達がやってきて「先生!! 先生!!」と、大声を槇原に浴びせた。

 丹波重一郎は槇原を見るやいなや吹雪の中を歩いて来たかのように容姿で「先生!! ご無沙汰しております!!」と、半ば眠そうな槇原を抱きかかえ「先生!! お願いします!! ご協力願えませんでしょうか!!」と、ついて来た地元の刑事達は槇原を見て無言のまま両手を膝の上に乗せ槇原を見つめていた。すると地元の刑事達は丹波重一郎に「この人は誰ですか?」と、尋ねると丹波重一郎は「このお方は東京、いや全国で難事件を解決して来た探偵である」と、説明した。

すると地元の刑事達は半目状態の槇原を見て「そんなに凄い方が何でこんなところに?」と、互いの顔を見合わせた。すると槇原は「またきやがった!」と、ばかりに憮然として起き上がると「丹波さんも一緒に飲みましょう♪」と、丹波にコップを手渡すと他の刑事達にも酒をふるまい、槇原は温泉に来てまで丹波に見つかったことを不運と半分… いや正直、全てが神様に仕組まれたのかと思うほど神様を憎んだ。

そしてこの夜は槇原と丹波と部下たちは大盛り上がりで歌ったり踊ったりして夜遅くまで大騒ぎだった。そして翌朝、9時に目を覚ました槇原はゆっくりと起き上がると部屋の様々な場所で寝ている刑事達と丹波を見て「せっかくの旅行が台無しじゃないか!!」と、心の中で怒りを覚えた。だが丹波に見つかったいじょうは仕方ないと諦め朝風呂に出かけ一汗かいて身体から酒を汗と一緒に流した。

そして難波たちが目を覚ます頃に部屋へ戻った槇原は大きなあくびをして目を擦りながら起き上がる丹波に「俺はあと数日の予定だから大した成果は上げられないかも知れない」と、続けると丹波は「先生… 大丈夫です!! この部屋は事件解決まで警視庁で旅館代は払いますから!」と、槇原を見つめるとまだ寝ていた部下の刑事達を起こして槇原に頭を下げると丹波は部屋を出て行った。

そして翌日、さっそくとばかりに赤色灯を付けたジープが槇原を迎えに来たのは朝の9時だった。そして現場に到着したが、現場は高台にある大きな別荘であって中にはそこへ、パーティーに呼ばれ複数の男女が居て建物が建ってからオーナーが最初から変わる度に仕えている老人の執事が居て、この別荘のことなら何でも知っていると言う。そして槇原はさっそく現場となった密室殺人が行われた部屋へと、とうされた。

 そしてさっそく槇原が通された密室殺人が起こった部屋へ槇原が入ると確かにパーティーをしていた状態で、なんとこの別荘で密室状態で起こった殺人事件は6人にも及びそま度に警察は犯人を逮捕出来ないまま事件を打ちきって対応して来たと言う事実に槇原は左手でアゴを支えながら部屋の中を歩きながら「ぼんやり」と、歩き回った。そしてそれを見ていた丹波は槇原の顔を見て槇原が「犯人逮捕の切っ掛けを探し始めた」と、目を凝らした。

そして槇原はパーティーに来ていた複数の男女から死亡推定時刻に何処で何をしていたのかを、丹波から聞かされたものの、それを聞くと「まぁ、皆さんは犯人では無い」と、槇原が言うと丹波は槇原に再び視線を向けて事件当夜は窓には鍵が掛かっていてドアも全てが鍵の掛かった状態だと丹波から説明を受け、そこへ執事が入って来てこの別荘ではオーナーが変わる度に密室殺人が起きていると話すと、丹波が槇原を前に執事と口調を重ねた。

だが、ここは近所では有名なオバケ屋敷と呼ばれていて、深夜にバスルームから音がしたり台所では冷蔵庫のドアが開く音がしたりとと執事が話すと槇原は天井を見上げて何かを探して居るようだった。そして丹波に槇原が「天井は調べましたか?」と、聞くと丹波は首を横に振って答えると、槇原は丹波にハシゴの用意を頼んだ。すると執事が割り込むように近くに来て「ハシゴなら物置にありますじゃ…」と、丹波達警察の顔を見ると数人の刑事が執事の後を追うように部屋から出て行った。

そして数分後にハシゴを持ってきた刑事が「これで足りますか?」と、槇原に聞くと槇原は指定した場所にハシゴを起たせて全員でハシゴを支えてもらい、ロウソクに火を灯しハシゴを登ると天井の隙間に手を入れ上半身を天井裏の中をグルリと見回したが、ホコリが数センチもあって人間が通った様子は無かった。そして何も無いことを確認するとハシゴを降りて来て何やら手帳に書き込んでいた。そして槇原はハシゴを立ててくれた人たちに一礼をすると、今度は丹波だけを残して全員に部屋から出るように頼んだ。

槇原は丹波と二人になった時に再び室内を見て回り、両腕を組んで室内を回り始めた。そして丹波に「死因は何ですか?」と、聞くと青酸カリによる服毒殺人ですと答えた。すると槇原は「そうですか~」と、再び両腕を組んで室内を回り始め、丹波が「先生… 何か解りましたか?」と、聞くと槇原は丹波に部屋を明るく保って居るロウソクを全てけして下さいと言い、自分がさっき使ったロウソクに火を灯してゆっくりと室内をゆっくり歩き回った。すると槇原はロウソクの炎が隙間風で揺れるのを見て、その場所に近づいた。

 

 


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