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県政報告:島根県議会での質疑について
活動報告:政治活動についての報告
コラム:日々の思いを綴る

平成25年6月定例県議会

2013-07-13 16:33:20 | 県政報告

 平成25年6月定例県議会では、海岸漂着ごみ対策の推進、社会福祉施設でのスプリンクラー等の整備促進、宍道湖における回収装置の試験的導入、などを主な補正項目とする総額5.6億円の一般会計補正予算のほか、国からの要請を踏まえ、平成25年7月1日から平成26年3月31日までの間、医療職を除く一般職の職員の給料を職位によって3~10%減額する「職員の給料の臨時特例に関する条例」、また同じ期間知事等の常勤の特別職の職員の給与をさらに5%減額する条例の一部を改正する条例など条例12件、県債、地方交付税等の額の確定に伴う平成24年度一般会計補正予算の補正などの一般事件5件、出雲工業高校建設工事費の増額による変更契約の締結などの報告9件が提案されいずれも承認、可決されました。このほか議員提出議案では「環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉に関する意見書」、「日本軍[慰安婦]問題への誠実な対応を求める意見書]、など5件の意見書が採択されました

 「慰安婦問題の意見書」は問題となった橋下徹大阪市長発言に端を発して民主党、共産党などの会派議員が提出元となり自民党議員連盟も相乗りした結果です。私一人が「反対」、自民党議員一人が通告していた反対討論を採決当日取り下げた上に退出(棄権)という予期せぬ状況が起こりました(この議員は党議拘束がかかっていたか、何らかのプレッシャーを掛けられたために意見が封じられ、やむなく退出したと思われる)。伝えられるところでは6月定例松江市議会では、提案された同趣旨の意見書について「歴史的経緯などを研究する必要がある」として継続審査になったといいます。県議会よりこちらはきわめて妥当な判断だったと思います。

 我が国が犯した戦時中の数々の蛮行、非道な行為は反省し、あるいは慰安婦に身を投じなければならなかった方々には心から同情し気の毒であったとだれしも思うでありましょう。しかしこの意見書は、日本政府は1993年「河野談話」によって「慰安婦」への旧日本軍の関与を認めた...2007年7月アメリカ議会下院が「旧日本軍が女性を強制的に性奴隷にした」として「謝罪」を求める決議を全会一致で採択した...国連機関から繰り返し「慰安婦問題の解決」を促す勧告を受けている...だから日本政府は河野談話を踏まえその内容(官憲等が直接慰安婦募集に加担し強制した事実を直視し、歴史研究、歴史教育を通じて長く記憶にとどめ同じ過ちを繰り返さないと決意すること)を忠実に実行せよ、そして被害女性に二次被害が及ばないよう真摯な対応を行え、と求めております。

 本来歴史は、事実を実証的に積み上げて歴史学者が追及すべき問題です。先進諸国を中心に、戦争や人種問題などの紛争の元となる歴史問題は政治的に掘り起こさないよう努められているといいます。中国や韓国があえて歴史と政治を混同させて日本に揺さぶりをかけているのは私心があるからでしょう。県議会は見識をもって議論に臨んだとは到底言い難く、実際不見識な決議を行ったと思います。

 総務委員会の審査の中で私は次のような理由を述べて反対する旨を述べました。                                           「河野談話」について有識者や専門家は強制連行について公文書が見つかっておらず、客観的資料もない。当時の石原官房副長官の証言によれば、政治状況として韓国政府は慰安婦の名誉を尊重する為に「強制」を認めてほしいと強く要請していた。韓国の要求を受け入れ慰安婦だったという16名の女性の証言を聞きとったが、日本軍による強制連行が証明されたわけではなく、証言に客観合理性があるわけでもなかった。納得できなかったが政治的に「強制」を認めざるを得ない空気が出来上がってしまった。「強制」を認めさえすれば韓国側は慰安婦問題を未来永劫持ち出さない、経済的な賠償も起さないという暗黙の了解があったと考えたと表明している。 それまで上程されては否決されてきた「対日非難決議」は、日系米下院議員のマイク・ホンダ氏の手によって再上程され可決されてしまったが、決議全文を読めば事実の歪曲と捏造ではないかと思われるほどひどい中身だ。しかも決議を正当化する最大の根拠は、史実の証明ではなく「河野談話」がなされた事だという。閣議決定でもなく国会決議でもない、官房長官のコメントが独り歩きを始めている。米国の地方議会にとどまらずオランダ、カナダなどにも飛び火しているという。マイク・ホンダ議員の地元選挙区(カリフォルニア州サンノゼ)には著名な中国系反日団体「世界抗日戦争史実維護連合会」の本部があり、ホンダ議員は政治資金を含め中国系反日団体の全面支援を受けているという。ジャーナリスト桜井よしこ氏によれば、同連合会には中国共産党政府の資金が注入され、慰安婦問題をはじめとする歴史問題は長年にわたる中国政府の反日活動の一環だとしている。私達は、国が組織的に関与して若年の少女(13歳)を含む20万人にも及ぶ女性を強制連行し、性奴隷として虐待したと非難されている。「河野談話」を根拠とするこうした主張を県議会として安易に追認してよいのか(私もそうだったが、こうした背景をよく知らない議員がほとんどだと思われる)、今度は県議会が追認したことが独り歩きをして歴史上の事実として厚塗りされていく。従って我が国、われわれ国民の尊厳を失わせ、汚辱的評価となる「意見書」を安易に受け入れてはならない。