goo blog サービス終了のお知らせ 

ROAD TAKEN

ギリシア・ローマ古典と日々のこと。

私のコルキス人

2006-12-29 | 古典・雑記

 たまには古典の話を。
 フラットメイトの一人、ティナはグルジア出身。初めて会ったとき、「自分の国はGeorgia」と自己紹介してくれたがジョージアという英語名を私はその時知らなかったから、辞書で調べて理解した。
 黒海沿岸の国、グルジア。古典学生の私にとってグルジアはかつてアイエテスの王国コルキスのあった場所だ。そして彼女によれば、彼女は本物のコルキス(コルキダ)人。グルジアではイアソンとメデイアの話は有名だし、アイエテスの王国は今のグルジアだと皆に認識されているらしい。そしてティナともう一人のグルジア人の友人ウナナの出身地域、古コルキダの人はグルジアの他の地域の人と外見的特徴がちょっと違うのだそうだ。
 古代のコルキス人と現在のコルキダ地方の人が民族的にどれほど近いのか、分からないけど、ティナを見てふとメデイアってこんな感じの見た目なのかな、と考えたりする。それまでの私の勝手な想像ではメデイアはもっとアジアっぽい外見かなと思っていたけど、どうなのだろう。私の目の前にいる現在の「コルキス人」2人はブルー・グレーの瞳で明るい髪色、細身で背はとても高い。ただし黒海周辺は民族や異なる文化や宗教が複雑に入り組んだ地域。単一民族という概念はあまり通用しない。実際、写真やビデオで見るティナの家族の中にも、肌が浅黒くて、黒い目、黒髪の少し中東風の風貌をしている人もいる。とても興味深い。いつかグルジアにも行きたいなと思う。この国にも牧歌の伝統があるようだし。ティナはとても明るくて人懐こい性格、ウナナはもう少し大人しくて芥川龍之介なども愛読する文学少女。2人は私をナオキトと呼んでいる。「直ちゃん」くらいのつもりらしい。
 ちなみにグルジアでは古典ギリシア語が読めたらとても尊敬されるそうだ。古典学生、Tharseite!

(写真はアイルランド旅行中、ダブリンのCollage Greenにて、急に雨が降り出したところ。パッラーディオ様式のアイルランド銀行、旧アイルランド自治議会議事堂。1739年完成。ウォリック大に限ったことではないけど、古典古代史学科の学生の中には古典文献学そのものより、Receptionと呼ばれる分野、ルネサンス期やその後のヨーロッパにおける古典文化の受容に関する研究の方が人気のようだ。その中にはこうした近代の古典風建築を研究している院生も。都市部ではテーマになりそうな建築物も多いし、面白そう。これからはこんな写真も載せていこうと思います。)


コメントを投稿