まずは大阪城へ。三連休の真ん中とあって、いつもより多くの観光客がいた。でもこの秘密の庭園はそれほど混んでいなくていい写真を撮ってあげれた。このあたりでゲストの人柄やツアーに対する期待が少しわかってきた。ブレンダさんは好奇心旺盛で説明をすると喜ばれる。ステファンさんは膝の痛みを抱えておられるがとても前向き。ピーターさんは写真撮影に専念。スーさんにはいきなり“I don’t feel well.”と言われて困った。よくよく聞くと、昨夜の難波でのフードツアーで長時間並んだり、遅い時間にすき焼きを食べたりで、お疲れになったようだった。でもだんだん、元気になってこられた。
このあと、少し歩くと教育勅語が書かれた記念碑がある。よく質問されるがあまり答えたくない話になってしまう。この写真は天守閣前にある美しい石。華道の池坊が何かの記念に寄付した石だったと思うが、はっきり覚えていない。きれいな石だと思う。
一日周遊券を買っていたので、チケット売り場で並ばずにすぐに天守閣に入れたが、エレベーターで上がれるのは5階まで。8階の展望台には階段を上がっていただくことを事前にお話しした。エレベーターで5階に到着すると、ステファンさん、階段は辛いので5階で待つとおっしゃった。そしてあとの方たちと展望台まで上がったが、ここで失敗。降りる時はミュージアムの展示を見ながら、一階ずつ降りることになっている。それを先にお伝えするのを忘れていた。ステファンさんの膝、そんなに痛むと思っていなかった。展望階に着くと私は下りのエレベーターを使わせてもらうために奔走。ゲストにはご自分たちで展望台からの眺望を楽しんでいただいた。ステファンさんが気になるので、展示は見ずにみんなで5階まで降りた。彼はベンチに座っておられた。5階からエレベーターを使わせてもらい全員で1階まで降りた。1階からグラウンドまでは、あとで作った外付けのエレベーターに乗り換えなければならない。入り口を開けてもらい全員でエレベーターに乗った。若い西洋人の女性がなぜか紛れていた。おぬし、やるな〜。
そんなこんなで、大阪城の説明はあまりできなかったが、ゲストたち旅行疲れをされているようで、これで良かったのかとも思う。日本に到着して3週間。主な観光地にはほとんど行かれている。北海道の洞爺湖にも。天守閣の裏から極楽橋を渡り、このお堀と天守閣の景色を眺めながら、しばらくくつろいだ。こういう時間が大切だと思う。ステファンさんは日本の歴史を少し勉強されたそうだ。鎖国のことも黒船のこともよくご存じだった。高校は4年生の男子校に通われ、ラテン語も勉強されたそうだ。映画『今を生きる』みたいな学校でしたか?と言おうとしたが、英語のタイトルが思い出せない。ネットで調べた。この頃、思い出せない時はネットで調べるし、花の名前がわからないときはグーグルレンズさんに尋ねることにしている。映画のタイトルは“Dead Poets Society” だった。私の好きな映画の一つだった。ブレンダさん「ああ、ロビン・ウィリアムズね」とおっしゃった。私は彼の顔は思い出したものの、名前が出てこなかった。私の頭にはfog(霧)がかかっているようだ。
待ち合わせていた場所でハイヤーに乗り、『大阪くらしの今昔館』に入った。ビルの8階から10階までを使って1830年の大阪の町が精巧に復元されている。女性2名は興味を持って、色々質問してくれた。昨日、ボランティアガイドさんに詳しく案内してもらったので、どんな質問でも答えられた。昨日のガイドさんに感謝。この写真では2枚、まな板が見える。奥に見えるかまぼこ型のまな板についてブレンダさんが質問された。待ってました〜。「魚を捌くためのまな板なんですよ。魚の血などが流れるようにできています。」
いつの間にか、ピーターさんが行方不明になった。Wifiがないので電話もできない。スーさんが心配されていないので、まあいいっか。3人で昭和の大阪を楽しんでいただいた。戦後すぐの大阪が八千草薫さんのナレーションで紹介されていた。ホッとする声だ。英語の字幕もあり、熱心にご覧になっていた。戦後すぐにできた古市のバス住宅のスライドもあった。
すぐ横にジオラマも展示されている。だんだん今昔館が好きになってきた。
ビルの1階に降りて外に出ると、ピーターさんがいらっしゃった。室内がお好きでなかったようだ。全長2キロある日本一長い商店街を歩きながら、昼食のお店を探すことにした。ブレンダさん、このお店を見つけ、お孫さんに半纏を買われた。
スーさんが揚げ物は食べたくないとおっしゃるので、『がんこ』にお連れした。がんこはメニューの種類が豊富なので、好きなものが見つかることが多い。私はお寿司と赤だしにした。エージェントから1500円の予算が出ている。ゲストの予算は一人当たり2000円だったが、いっぱい頼まれた。上にぎり、お寿司セット、温野菜サラダなど。男性は日本酒も頼まれた。予算をオーバーした分は払っていただいた。満足していただけたようだった。サラダにナスビやさつまいもが入っていたので、スーさん、大喜びだった。
そしてまたハイヤーに乗り、梅田スカイビルに行った。二つのビルを展望台と3階にある廊下でつないでいる。地上から見上げて少しだけ説明したところで、ゲストが3階の廊下に長蛇の列ができているのに気がつかれた。ビルに入るのはヤンピ。ピーターさんご夫妻は心斎橋をブラブラしてからタクシーで帰る、ステファンさんご夫妻はホテルに直行するとおっしゃった。ツアー終了! ラッキーと思う反面、高いお金を払ってくださっているので、申し訳ない気もした。ステファンさんご夫妻は明日、沖縄に向かわれる。なんと朝7時に空港に向かう車が迎えに来るそうだ。ピーターさんご夫妻はフィリピンに向かわれる。今夜が4人で過ごす最後の晩になる。コンラッドホテルのレストランで『最後の晩餐』をとられるそうだ。
また車に戻り、ピーターさんご夫妻のために、心斎橋の簡単な地図を書いて渡した。お二人が車を降りられて自分のシートに戻って少し車が進んだ時、悲劇が起こった。急ブレーキがかかり、私はシートから投げ出されて、膝と腰をぶつけた。道頓堀の裏道を走ってた。歩行者がすぐそばにいた。センサーで自動ブレーキがかかってしまったそうだ。ドライバー「自動ブレーキ、切ります」と。シートベルトをすぐにしなかった私が悪いのだが、なんとも後味が悪い。でもたいしたことはなくて普通に歩ける。
車の中では、ステファンさんがスマホに入っている大量の写真を見せてくれた。特にアフリカの写真はびっくりするものばかりだった。梅田スカイビルの前で、ゲストにこの写真をお見せした。世界を代表する20の建造物にスカイビルも入っているんです、というための資料だ。4人ともこの20の建造物のほとんど全部を訪問されていた。さもありなん。
揺れる車の中でステファンさんにサイン帳を書いていただいた。彼はリタイアされているが、地域の交響楽団のお世話をされているそうだ。高齢者が元気に前向きに生活されているのをお聞きすると元気が出てくる。沖縄旅行も楽しんでください。