笠島町並保存地区には江戸時代の後期から昭和の初期までに塩飽大工の船作りの技術を活かして建てられた家や倉が100棟ほど残っています。町並保存のため、改修されてきれいな状態なのですが、住んでいる人は少なく、空家が多い状態です。歩くとタイムスリップしたようです。またほとんど人気がないのでゴーストタウンの印象を受けます。
保存センターもその民家の一つです。スタッフの石井さんは昔の本島のことや家屋について丁寧に説明してくれました。資料館には塩飽廻船の小型模型が置かれていました。優秀な船乗りは勝海舟の咸臨丸の乗船員として活躍したそうです。「この井戸の水は口を湿らす程度なら飲めますよ」石井さんはつるべで水を汲んでくれました。
その日は保存地区にある築100年は超える民家大倉邸に宿泊、保存センターが管理する宿泊施設です。食事提供はなく素泊まり1人4000円です。私たちは前日に食材を購入して夕食にしました。島ではめぼしい食材を購入することはできません。玄関からして風格があります。表の庭は趣があり、裏庭には井戸がありました。これだけで惹き込まれます。
宿泊用なので中もゆったりとしています。私たちはこたつに入って鍋を食べました。調理用具は揃っています。玄関から奥に入ると昔のかまどがありました。風呂、トイレのある廊下に出ると大きな梁が目につきます。梁に比べて柱が細いのがこの辺りの建物の特徴です。
あまりに居心地がいいのでバイオリンを弾いてみました。心地よい音色が響きます。最後は床の間で記念撮影をしました。
保存地区の近くにもアート作品が置かれていました。海に臨む3艘の船。「水の下の空」というタイトルがつけられています。この船の下で眺めた夕暮れの景色。
朝には眺望のよい遠見尾根の展望台に行きました。朝焼けの瀬戸大橋と背後の島陰が美しい。ここでも記念撮影をして帰途につきました。またここでゆっくりできればと思っています。