本日の午前中(9時〜11時半)衆議院厚生労働委員会「地域包括ケアシステム強化推進法」に関する参考人質疑の傍聴に行ってきました。
参考人は、以下の5名の方です。
公益社団法人日本医師会常任理事 鈴木邦彦さん
公益社団法人認知症の人と家族の会副代表 田部井康夫さん
国立社会保障・人口問題研究所所長 遠藤久雄さん
社会医療法人社団健友会理事長
全日本民主医療機関連合会副会長山田智さん
日本慢性期医療協会会長
医療法人平成博愛会博愛記念病院理事長 武久洋三さん
■参考人に対する質疑を行なったのは、以下の5名の議員です。
白須賀貴樹(自民)
初鹿明博(民進)
桝屋敬吾(公明)
堀内照文(共産)
河野正美(維新)
以下、メモできた参考人発言の主な内容。
※日本医師会 鈴木さん
・医師会は、地域包括ケアシステムの構築に積極的に推進しており、「かかりつけ医」の役割が重要と認識している。また、医療と行政が連携して行くことが大事である。
・介護医療院は慢性期への対応として期待している
・少子高齢化の中で後20年、今の高齢者に頑張ってもらいその間に様々に整備を進めることが大事。
※認知症の人と家族の会 田部井さん
・2015年の改定は大変厳しく、会で調査したら5~10万円の負担増になっていた。
・2016年4月に要望書(①要支援の給付外し反対②2割負担撤回③特養利用を原則要介護3以上とすることの撤回④補足給付を元に戻すこと)を出したが、この立場は今も変わっていない
・利用負担増による利用控えは起こらないと政府は説明するが、受給者数だけでなく利用時間数なども見ることが必要ではないか。
・要支援1、2の総合事業への移行についても、それ自身も問題があるが、影響や実態もまだわからないのに要介護1、2の方も同様の扱いにしていく議論には納得できない。自立支援・重度化防止が打ち出される中、介護状態からの「卒業」が強調され適切な支援が行われない可能性もある。今回の法案は、要介護者を抱える家庭以外に不安を与えていく
※国立社会保障・人口問題研究所所長 遠藤さん
・介護保険部会・医療保険部会の部会長という立場で、部会での議論を取りまとめてきた。
・持続可能性や公正かつ公平なものにすること視点を重視してきた。
・3割負担の導入について、現役並み所得の方に負担を求めることについては、部会でも概ね賛同を得ている
※全日本民医連 山田さん
・2015年改訂の影響は非常に大きい。特養の待機者が減ったのも基準が変わったから。「21世紀老福連」の調査結果から要介護者への影響は明らか。事業者の梼Yが増加していることも改訂の影響が大きい
・自立支援・重度化防止というが、さらに困難な状態になっていくのではないか。さらに家族の負担増につながる
・障害者の支援は介護保険だけではまかえない。また応益負担を課すことは、障害者の自立阻害につながる。
・本来の地域共生社会は多様性を認めあうものであるとするなら、この内容では実現されるのか。
※日本慢性期医療協会 武久さん(あまり聞き取れず)
・慢性期の患者が非常に多い原因は何かをきちんと踏まえた対応が必要。
・急性期の段階からリハビリなどをしっかりやっていくことが重要。
質疑した議員の発言
※白須賀貴樹(自民)
・今の日本経済の状況等も踏まえ、これ以上の税金はかけられないし、保険料のアップも難しくなっていく。だとすると、利用者負担を増やすしかない。団塊世代ジュニアと言われる人たちの支え手はいない
※初鹿明博(民進)
・対案を提出している。(安易な切り捨ては×、根拠のない利用者負担増は×、処遇改善を進める〇、介護休業を促進する〇)。負担増について所得だけで測ることには無理があるのではないか。政府は「利用抑制はない」というが、判断できる段階ではない。
※桝屋敬吾(公明)
・重点化と効率化、負担の公平化は必要。財源の確保もしなければならない。
※堀内照文(共産)
・安易な人員基準の緩和や変更はやるべきではない。共生型サービスが位置づけられようとしているが、専門性が保てるのか。我が事・丸ごとの文章を見ていると兼務などが強調されているが果たしてどうか。
※河野正美(維新)
・マイナンバー制度などが創設されて、今後所得だけでなく資産などもみて判断するようにしていくことが必要ではないか
傍聴者は20名ほどだったと思います。
参考人それぞれに立場や意見の違いがあるのは前提ですが、先の改訂に関する検証もきちんとなされないままに「持続可能性」や「給付の重点化・効率化」「公平・公正」を強調される方の発言はいかがなものかと思いました。地域包括ケアシステムについても十分に議論されていないのに、前提としている意見もどうかなのかと思います。「現在の高齢者にあと20年頑張ってもらってその間にさらなる検討をすべき」との意見には、ビックリしました。
また、介護保険法改訂に関する内容が多く、他の分野や同時に改訂される法律に関する言及がすくなかったのは残念です。障害分野でいえば「共生型サービス」について、イメージしか出されていないのでわからない点が多すぎる訳ですが、今後の委員会で十分に議論してほしいと思います。
与党議員の質問は、政府の方針を進める方向になる訳ですが、「税は投入できない。保険料は増やせない。さらなる利用者負担増しかない」(自民)との発言には、強い憤りを持ちました。また、マイナンバー制度の活用に言及する野党議員(維新)の趣獅ノも賛同はできませんでした。
まだまだ審議が足りません。特に国が考える地域共生社会の方向、そのための仕組みなどについてもっと明らかにさせる必要があります。
特に、社会福祉法第4条の(地域福祉の推進)「地域住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動を行う者は、相互に協力し、福祉サービスを必要とする地域住民が地域社会を構成する一員として日常生活を営み、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が与えられるように、地域福祉の推進に努めなければならない」に関わる議論をもっとすべきではないかと思います。
今週中にも採決に入りたいと政府与党は考えているようですが、断じて認めるわけにはいきません。
引き続き奮闘していきたいと思います。
追伸…
①衆院本会議の傍聴をしたことはありましたが、委員会傍聴は初めてでした。いろいろ制限があるのですね。後ろから見ていると、ずっと携帯を触っている・寝ている・他の議員と話している・途中なのに退席して帰ってこない等、改めてみて「ちゃんと仕事して」と思わず叫びたくなりました。
②参考人の方の発言もとれる分だけ頑張ってメモしましたが、長くなるので省略します。
本日の会議の様子は、以下から見ることができます。
〈2017年4月11日 (火) 会議名 : 厚生労働委員会〉
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=47016&media_type=
