あれは、1年少し前の平成23年9月13日頃からでした。
日に日に悪化する背骨の激痛と、日に日に遠のく意識、日に日に低下する記憶力、判断力...。
それは、まさに死後に地上を彷徨うゾンビの様な状態でした。
9月13日夜:腰から下がグニャグニャ二に解けて地面に同化してまるで腐葉土の様な感覚。意識も30秒おき位にフワフワと消えそうになった。と言うより、魂が出たり入ったりしている感じ。今日は死ねると思った。しかし、生きていた。
9月14日夜:胸から下が前日と同じ様に解けてしまった感覚。実際に触ってみると腐敗物を触っているようだった。今日こそはもう死んだと思った。でも、また生きていた。
9月15日夜:とうとう魂が抜けたり出たりと言う感覚と、全身が腐敗して解けた感覚と、背骨の激痛で耐えきれず翌早朝に救急車を呼んだ。本心はどうせなら病院で...と思っていた。その方が後々面倒は無いだろうと。
運ばれたのは特別地区にある精神病棟。救急車のなかで独房になるかもしれないと言う声が聞こえている。
搬送後、入院するかどうか決断を迫られるが、脳が全く機能しておらす判断も記憶も出来ない。私の返事はひたすら「分からない」何を聞かれても「分からない」。
完全に精神異常で痴呆扱い。
妻が、実家の母に電話して入院が決まったようだ。独り部屋に1週間ほど入院させられたが。最初ベッドに乗せられた時、胸から下は完全に麻痺。足から徐々に胸迄腐っていき内蔵が全て解けてドロドロになっている様な感覚だった。頭も耳より上は泥水でも入っている様な状態。
全身の血管を腐敗した内蔵が流れているようで、点滴の針を刺されると全てが流れ出しそうに感じた。
それで、点滴も拒否していた。
胸から下には布団が掛かっていたから、体が腐敗している事はばれていないと思っていた。
嗅覚が異常に過敏になっていた為、病室内は悪臭が漂っていた。
腐敗しているはずの胸から下は、何故か足だけは激痛が走っていた。全く動けない。
トイレに行きたくなり体を起こしてくれる様に妻に頼んだ。先日迄妻は、介護の資格をとり老人介護の仕事を行っていた。
これはただ事じゃないからと、妻の仕事を8月末頃に私が止めさせていた矢先の出来事だった。
その妻に、体を起こしてもらった。首から腰に掛けてゴリゴリと音がした。
その途端、奇跡が起こった。体の麻痺が回復したのです。両足のかかとの激痛と薄れた意識はそのままだったがとにかく動く様になった。
一言妻へ、
あの時はありがとう、そして今もありがとう。