待てる?
咲子が、そう云い残してから、すでに一月以上過ぎていた。
彼女を信用していないわけじゃない。
ただ少し、外へ出たくなっただけ。
ほんの少し、外の空気を吸いたくなっただけ。
そしてネオン煌びやかな、この街へやってきた。
ホストが、キャッチしている場所を掻い潜る。
何処の店にいるのか、皆目見当もつかない。
咲子の彼氏が、どの店にいるのか。探しようがないからだ。
顔写真が飾られる店。
そこに何を捜しているのか。
でも私は、誰かを捜してる。
ホストじゃない、誰かを。。。
「魅子?!」
名を呼ばれ、声のした方へ向き直る。
そこには学生時代の友人で、卒業してから音信不通だった稲葉悦子が立っていた。
「何してるの。ホスト遊び?!」
「いえ。咲子を捜してるの」
思わず、違う名を出していた。
「咲子なら、二軒先の店だよ」
悦子は、あっさりと答えてくれた。
「う・・そ」
「嘘じゃないよ。あそこ、二階にネオンついてるでしょ。あそこ」
見上げると、アルファベットの並ぶ看板が見える。
「悦子は、どうしてそんなこと知ってるの?!」
すると彼女は、美しく微笑んで答えた。
「一本隣の道沿いに店持ってる。ただ私は、ホステスの方だけどね」
店。。。
此処で。。。
「凄いじゃん」
「咲子には叶わないよ。彼奴は女で、ホスト倶楽部だもん」
悦子の言葉を理解した時、彼女は私の前から姿を消した後だった。
咲子がホスト倶楽部。。。
って、どういうこと
何だか騙された気になってきた。
咲子が何を考えて、私の前に現れたのか。
よく考えたら、私は何も知らなかった。
初めてって、わけじゃない。
結婚資金にと貯めたお金も、もう要らない。
私は三百万の現金を手に、咲子の店と云われた‘candlelight’へと入っていった――。
To be continued
咲子が、そう云い残してから、すでに一月以上過ぎていた。
彼女を信用していないわけじゃない。
ただ少し、外へ出たくなっただけ。
ほんの少し、外の空気を吸いたくなっただけ。
そしてネオン煌びやかな、この街へやってきた。
ホストが、キャッチしている場所を掻い潜る。
何処の店にいるのか、皆目見当もつかない。
咲子の彼氏が、どの店にいるのか。探しようがないからだ。
顔写真が飾られる店。
そこに何を捜しているのか。
でも私は、誰かを捜してる。
ホストじゃない、誰かを。。。
「魅子?!」
名を呼ばれ、声のした方へ向き直る。
そこには学生時代の友人で、卒業してから音信不通だった稲葉悦子が立っていた。
「何してるの。ホスト遊び?!」
「いえ。咲子を捜してるの」
思わず、違う名を出していた。
「咲子なら、二軒先の店だよ」
悦子は、あっさりと答えてくれた。
「う・・そ」
「嘘じゃないよ。あそこ、二階にネオンついてるでしょ。あそこ」
見上げると、アルファベットの並ぶ看板が見える。
「悦子は、どうしてそんなこと知ってるの?!」
すると彼女は、美しく微笑んで答えた。
「一本隣の道沿いに店持ってる。ただ私は、ホステスの方だけどね」
店。。。
此処で。。。
「凄いじゃん」
「咲子には叶わないよ。彼奴は女で、ホスト倶楽部だもん」
悦子の言葉を理解した時、彼女は私の前から姿を消した後だった。
咲子がホスト倶楽部。。。
って、どういうこと

何だか騙された気になってきた。
咲子が何を考えて、私の前に現れたのか。
よく考えたら、私は何も知らなかった。
初めてって、わけじゃない。
結婚資金にと貯めたお金も、もう要らない。
私は三百万の現金を手に、咲子の店と云われた‘candlelight’へと入っていった――。
To be continued