大会は勿論の事、練習中の熱中症にも十分注意しましょう。
しっかり対策=パフォーマンス
JTUからです。
【はじめに】
暑いさなかに、トライスロン参加選手が快適で安全に競技し、ベストパフォーマンスを発揮するために注意しなければならないことをメディカル面からまとめました。日頃から、選手自身の身体のリズムや機能を知るために、次の内容をよく理解し大会に備えてください。
1.ポイント
1)体温が上がりすぎると、身体能力(パフォーマンス)が低下し、同時に判断能力が低下する。暑熱環境下で運動機能を維持するには、体温を下げる努力が効果を発揮する。
2)体温を下げるには、①定期的な水分補給、②カラダに水をかけ直接冷やすことが重要。③帽子を被れば、頭部への輻射熱をさえぎることができる。
3)エイドステーションを一つ飛ばせば、数秒は早くなる。しかし、それで脱水ぎみとなれば、1分以上のペースダウンにつながるかもしれない。
4)バイクでは、ボトル2本(ノーマルサイズ)=1リットルは準備したい競技用アイテムである!
5)バイク終了時にボトルに水が残っていると、「給水が不足気味」の目印といえる。
6)保冷ボトルを活用すれば、冷えた水が、身体の中から体温を低下させる効率が上がる。
7)レース前、レース前日からの給水が大切。レース前から、身体は水分を発散している。
2.レース中に補給すべきもの
1. まずは水分。
1)レース中の体重減少は、大部分が汗によって水分を失ったことによるもの。
2)体重の2%以上の水分を失うと血液濃縮が始まり、3%以上で運動機能が低下する。そのため、体重減少が2~3%以内に収まるように水分を補給しなければならない。
*スタンダードディスタンス(51.5km)での自分自身の体重の減り具合と必要補給量を知る。異なる気象条件と運動強度で、体重減少を実際に測定しレースに生かす。
*例)気温25℃、湿度60%で体重70kgの選手が、補給なしで10kmを60分で走ると、体重1kgが減る。2時間30分で完走する間に体重2.5kgが減少すると仮定する。体重減少を2%(=1.4kg)以内に収めるには、2.5-1.4=1.1(kg)の水分補給が必要。バイクボトル2本分+αの水分補給が必要となる。
2. スタンダードディスタンス(51.5km)以上であれば、塩分補給が欠かせない。
1)汗と一緒に塩分も体の外へ出る。汗に含まれる塩分は、1リットル中平均1.75~3g。
2)水分を補給しても塩分が足らないと、浸透圧を一定に保つため、水分が血管の外へ出てしまう。これにより、脚がつりやすくなる。
3)塩分が足らないまま、水分だけを採れば、水分が血管外へ逃げてしまう(以下模式図)。
4)2時間以上の運動、急激に大量の発汗をした時には、塩分補給が必要となる。
5)補給量は、汗と一緒に失った量よりも少ないくらいでOK。体の中にも塩分は含まれているので、少々の塩分喪失には対応できる。
6)一般的なスポーツドリンクの、ペットボトル500mlに含まれる食塩は0.4~0.6g。
※ スポーツドリンクの塩分計算方法:成分表示「Na」を2.5倍したら食塩の重さとなる。
7)薬局で売っている飲む点滴(経口補水液)には、ペットボトル500mlに食塩が約1.4g含まれる。
8)自分で「飲む点滴」を作るときは、ペットボトルの水かスポーツドリンクに食塩を入れる。目安は、2本の指でしっかりつまんで約0.5g。
9)塩分を摂りすぎると、血管外に水分を貯め込み、身体がむくんでしまう。塩分摂取は大事だが、摂りすぎにも注意しなければならない。
10)意識して塩分を摂る必要があるのは、レースの時のように、急激に大量の発汗をして汗とともに塩分を失ったとき。日常生活で常に塩分を多量に摂るのは控えたほうがよい。
11)心臓や腎臓に持病があり、医師から、塩分制限を指示されていたら、特に注意が必要。不安があれば、救護所の医師に相談してください。
12)塩分補給も含め日常のバランスよい食事が大事。レース当日の朝食に梅干し(中くらいで食塩0.6g)のおにぎりと味噌汁(1杯で食塩1~2g)を食べれば、しっかりと塩分補給できる。
これで熱中症を防ぐだけでなく、レース中のパフォーマンスアップも期待できます。ぜひ、参考にしてください。大切なことは、自分の体調を感じながらレースを続けることです。一休みすることが、何より効果があることを忘れないでください。(以上)
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暑いさなかに、トライスロン参加選手が快適で安全に競技し、ベストパフォーマンスを発揮するために注意しなければならないことをメディカル面からまとめました。日頃から、選手自身の身体のリズムや機能を知るために、次の内容をよく理解し大会に備えてください。
1.ポイント
1)体温が上がりすぎると、身体能力(パフォーマンス)が低下し、同時に判断能力が低下する。暑熱環境下で運動機能を維持するには、体温を下げる努力が効果を発揮する。
2)体温を下げるには、①定期的な水分補給、②カラダに水をかけ直接冷やすことが重要。③帽子を被れば、頭部への輻射熱をさえぎることができる。
3)エイドステーションを一つ飛ばせば、数秒は早くなる。しかし、それで脱水ぎみとなれば、1分以上のペースダウンにつながるかもしれない。
4)バイクでは、ボトル2本(ノーマルサイズ)=1リットルは準備したい競技用アイテムである!
5)バイク終了時にボトルに水が残っていると、「給水が不足気味」の目印といえる。
6)保冷ボトルを活用すれば、冷えた水が、身体の中から体温を低下させる効率が上がる。
7)レース前、レース前日からの給水が大切。レース前から、身体は水分を発散している。
2.レース中に補給すべきもの
1. まずは水分。
1)レース中の体重減少は、大部分が汗によって水分を失ったことによるもの。
2)体重の2%以上の水分を失うと血液濃縮が始まり、3%以上で運動機能が低下する。そのため、体重減少が2~3%以内に収まるように水分を補給しなければならない。
*スタンダードディスタンス(51.5km)での自分自身の体重の減り具合と必要補給量を知る。異なる気象条件と運動強度で、体重減少を実際に測定しレースに生かす。
*例)気温25℃、湿度60%で体重70kgの選手が、補給なしで10kmを60分で走ると、体重1kgが減る。2時間30分で完走する間に体重2.5kgが減少すると仮定する。体重減少を2%(=1.4kg)以内に収めるには、2.5-1.4=1.1(kg)の水分補給が必要。バイクボトル2本分+αの水分補給が必要となる。
2. スタンダードディスタンス(51.5km)以上であれば、塩分補給が欠かせない。
1)汗と一緒に塩分も体の外へ出る。汗に含まれる塩分は、1リットル中平均1.75~3g。
2)水分を補給しても塩分が足らないと、浸透圧を一定に保つため、水分が血管の外へ出てしまう。これにより、脚がつりやすくなる。
3)塩分が足らないまま、水分だけを採れば、水分が血管外へ逃げてしまう(以下模式図)。
4)2時間以上の運動、急激に大量の発汗をした時には、塩分補給が必要となる。
5)補給量は、汗と一緒に失った量よりも少ないくらいでOK。体の中にも塩分は含まれているので、少々の塩分喪失には対応できる。
6)一般的なスポーツドリンクの、ペットボトル500mlに含まれる食塩は0.4~0.6g。
※ スポーツドリンクの塩分計算方法:成分表示「Na」を2.5倍したら食塩の重さとなる。
7)薬局で売っている飲む点滴(経口補水液)には、ペットボトル500mlに食塩が約1.4g含まれる。
8)自分で「飲む点滴」を作るときは、ペットボトルの水かスポーツドリンクに食塩を入れる。目安は、2本の指でしっかりつまんで約0.5g。
9)塩分を摂りすぎると、血管外に水分を貯め込み、身体がむくんでしまう。塩分摂取は大事だが、摂りすぎにも注意しなければならない。
10)意識して塩分を摂る必要があるのは、レースの時のように、急激に大量の発汗をして汗とともに塩分を失ったとき。日常生活で常に塩分を多量に摂るのは控えたほうがよい。
11)心臓や腎臓に持病があり、医師から、塩分制限を指示されていたら、特に注意が必要。不安があれば、救護所の医師に相談してください。
12)塩分補給も含め日常のバランスよい食事が大事。レース当日の朝食に梅干し(中くらいで食塩0.6g)のおにぎりと味噌汁(1杯で食塩1~2g)を食べれば、しっかりと塩分補給できる。
これで熱中症を防ぐだけでなく、レース中のパフォーマンスアップも期待できます。ぜひ、参考にしてください。大切なことは、自分の体調を感じながらレースを続けることです。一休みすることが、何より効果があることを忘れないでください。(以上)
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