菊地直子容疑者と高橋克也容疑者について考える/オウム真理教の起こした地下鉄サリン事件など

2012年06月06日 18時00分00秒 | 社会
地下鉄サリン事件など一連のオウム真理教事件を起こしたオウム真理教の元信者で容疑者の菊地直子が先日2012年6月3日逮捕されました。目撃情報に基づく逮捕のようです。

オウム:特別手配の菊地容疑者逮捕 「地下鉄サリン」関与

毎日新聞 2012年06月03日 23時38分(最終更新 06月04日 03時37分)

 地下鉄サリン事件などで警察庁から特別手配されていたオウム真理教(アレフに改称)の元信者、菊地直子容疑者(40)を警視庁捜査1課は3日、相模原市緑区内の自宅で身柄を確保し、地下鉄サリン事件についての殺人と殺人未遂容疑で逮捕した。昨年12月末に平田信被告(47)が出頭・逮捕されており、オウム真理教関連で特別手配者のうち行方が分かっていないのは元信者、高橋克也容疑者(54)だけとなった。

 警視庁によると、菊地容疑者は逮捕後、「私がサリン生成に関わったことは間違いありません。当時、何を作っているのか知らない状態でした」と供述しているという。警視庁は4日、築地署に捜査本部を設置。サリン事件の解明とともに、逃走期間中に教団の組織的支援がなかったか確認を急ぐ。

 警視庁によると、本部に3日朝、「相模原市内の一戸建てに菊地容疑者に似た女性が男性と暮らしている」との情報が寄せられ、捜査員が相模原市緑区の現場に急行。同日午後8時前、徒歩で1人で帰宅した菊地容疑者に捜査員が「菊地か?」と聞くと「はい」と答え、素直に捜査車両に乗り込んだという。調べに対し「男と一緒に生活し、会社員として働いていた」とも説明している。

 一緒に生活していた40代の男は3日午後10時過ぎ、神奈川県警大和署に出頭した。身柄を警視庁に移送し、犯人蔵匿容疑などで調べる。

 菊地容疑者の逮捕容疑は、95年3月20日朝、旧営団地下鉄(東京メトロ)千代田線などの車内でサリンがまかれ、乗客ら12人が死亡、5500人以上が重軽傷を負った事件で、サリン製造に関わったとしている。

 菊地容疑者は教団「化学班」キャップ、土谷正実死刑囚(47)が中心となった製造プロジェクトに関わり、サリンの試薬や実験器具の購入を担当し、サリンの実験工程をノートにまとめる役割を果たしたとされる。また同事件のほか、95年5月に起きた東京都知事宛ての郵便物爆弾事件でも殺人未遂などの容疑で逮捕状が出ている。

 菊地容疑者は95年6月ごろ、千葉県市川市内のアパートや、同年10月ごろには名古屋市内で生活していたことが分かっていた。また、96年11月に北村浩一受刑者(44)らが逮捕される直前まで、埼玉県所沢市内のマンションに、高橋容疑者や当時逃走中の北村受刑者ら4人とともに暮らしていたことも判明している。

 菊地容疑者は90年5月に出家、教団の「厚生省」に所属していた。

引用元: オウム:特別手配の菊地容疑者逮捕 「地下鉄サリン」関与 (毎日jp)

この地下鉄サリン事件などに代表されるオウム真理教事件ほど頑張って捜査した事件は他にあまりありません。たぶん、グリコ・森永事件と過激派関係の事件ぐらいでしょう。どれも誰か普通の人が一人被害を受けた事件ではなく、社会全体が揺さぶられたからです。

それはともかく、これだけ頑張ってもなかなか全員を捕まえることができなかったのは、やはり組織的な犯罪だったからかもしれません。よく言われているように、組織的な支援がなければ、なかなか逃げ切ることはできないかもしれません。

しかし、長期間逃亡していたと言えば、英国人女性を殺害した市橋達也(市川市福栄における英国人女性殺人・死体遺棄事件の犯人)が2007年から2011年まで4年間逃亡を続けたという例があります。ほとんど何も持たずに逃げた割りには長期間逃げていました。

こういう例があることを考えると、組織的な支援がなくても、結構長期間にわたって逃亡できるものなのかもしれません。それだけ警察が無能でやる気がないということなのかもしれません。

しかし、これとは違う考えもあるようです。

「あなたが容疑者の立場だったら?」

 果たして、「あなたがニュースで報じられている容疑者の立場であったとしたら、ここまで長きにわたって逃走を続けるか」と。数年前に、カルトから脱退した元信者氏に電話インタビューしてみたので併せて報告したい。

筆 者: オウム真理教の“元”信者(指名手配犯)の一人が逮捕され、相方だったとされるもう一人が逃走を始めた様子がニュースで報じられている。カルト信者のご経験をお持ちのあなたに、心理的な事柄についていくつかお伺いしたいのだが。 

元信者: 元カルトいっても、オウムではないけれど。何でもどうぞ。

筆 者: 端的にお伺いしたいのだが、たとえば、あなたがニュースで報じられている容疑者の立場であったとしたら、ここまで長きにわたって逃走を続けるだろうか?

元信者: 一概には言えないと思うが。心理的に、私が脱退して時のように、元(もと)居た教団に完全に決別する気持があれば、その時、たとえ重罪を背負った身であってもとっくに自首していると思う。

筆 者: つまり、カルト教団からの脱退は、それなりに人生の再出発という意識が有るのか?

元信者: そうそう、私の場合はまったくその通りだった。脱退して真人間に立ち還ろうと思ったら、何時までも自分の忌わしい過去を引きずるような生き方はしない。たとえば、原島嵩(創価学会元教学部長)さんや福島源次郎(創価学会元副会長)さんたちだって、創価学会を出た後は、慙愧の念から「池田大作(名誉会長)の下でこれこれこういう間違いをして来ました、みなさんに申し訳ない」と洗いざらい話して再出発していた。殺人に関与したとはいえ、“元信者”の立場で十七年間も逃走するなんて考えられない。まったく変だ、オウムの指名手配犯の連中は。
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むしろ、「隠れ信者」の心理に近い

筆 者: なるほど、どの辺が変だと思うか?

元信者: たとえ仮名偽装して逃げ回っても、当人たちの精神・経済的な負荷にはもの凄いものがあるでしょう。手助けでも無ければ半年だって無理だと思う。二人で逃げてもそれは変わらないと思う。もっと経済的に大変かもしれないし。

筆 者: ということは、教団とのつながりがあっての、それを物心両面での“支え”として逃げた可能性が有ると。

元信者: そうそう、そうでもなければ考えられないことだ。毒ガスを作ったり、撒いたりするという、そこまではしなかったけれども、滅茶苦茶なF取り(選挙票)や人間関係を無視した折伏(布教)で、自分の家庭はもちろんのこと。他人(ひと)の家庭の安寧をさんざん壊して来たから。図々しく踏み込んでね。何百世帯、何千世帯を標的にそんなことを長い間やって来たから、毒ガスにも負けないほどの罪の深さを感じた。

筆 者: 報道されている菊地容疑者の“供述”をどう思われるか?

元信者: たとえば、高橋(克也)容疑者とは別れてから会っていない(報道要旨)と云っている。もう一人の同棲相手の方は(その後も)高橋容疑者に会っていると証言しているようだ。だが、辻褄が合わない。男女の心理として、本当に別れたのなら、少しでも遠く離れた所に住みたいと思うのが人情ではないか。それが川崎市と相模原市では「目と鼻の先」。変だと思う、やっぱり。菊地容疑者は嘘をついていると思う。

筆 者: なるほど。逆を謂えば、何らかの共通した目的なり、共有するものが有るからこそ「目と鼻の先」に住んでいた。別れた、新しい同棲相手と住んでいたというのも、見せたくない目的のための偽装とでも?

元信者: 私にはそこまでは思いつかないけれども、その可能性は有るかも。気持が悪いですよ。平田信容疑者(現被告)が自首して逮捕された時も、ある警察官が、平田に会って上九一色村のサティアンに捜査に入ったあの時と同じオウムの臭いがして、ああ、平田も本当は未だオウムを止めていないんだなと語ったという。文春か何かに出ていたのを憶えている。単なる“元信者”や“逃走犯”というより、池田先生のために、総体革命のため、広宣流布の暁にはと。いろいろな分野にじっと潜んでいる隠れ信者にむしろ似た心理だと思う。

筆 者: 気がつなかった点だ。貴重なお話に感謝申し上げる。今度は、創価学会の隠れ信者の確認にご協力いただきたい。
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【筆者記】

 なるほど、元カルト信者氏の、脱退者の心理ならこうだ、隠れ信者の心理ならこうだ、との解説は新たな参考になった。オウム“元”信者の容疑者らにとっては、長期間にわたる単なる“逃走”というよりは、背景に組織的なつながりを持った「潜伏」と指摘した方が、より真相に近いのかも知れない。逃走中の容疑者が早期に逮捕されることを願って止まない。カルトが生息できない次世代の日本を。

引用元: 逃走「高橋克也容疑者」考 (博士の独り言 II)

貴重な元オウム真理教信者さんのお話です。しかし、ちょっとどうかと思うところもあります。

まず、確かに、心情としてはそうかもしれませんが、この場合、捕まれば死刑ですから、普通、誰でも逃げると思います。自分から出頭するとしたら、よほど悟りの境地に達したか、他に何か目的があるのでしょう。だから、逃げ続けたからと言って、隠れ信者とは言えないと思います。

それに川崎市と相模原市では、十分に離れていると思います。離婚して10キロぐらい先に住んでいる人もいますから、不自然ではありません。

また、オウム真理教から支援を受けると言っても、警察の目が光っているのに、どうやって支援を続けるのでしょうか?ちょっと物理的に不可能な様な気がします。それとも、それだけ警察が無能だと言うことでしょうか?

菊地直子は逮捕され、高橋克也は未だ逃走しているわけですが、これだけ長期に渡って逃走するというのは、それだけでかなりの罰になっている様な気がします。しかし、たくさんの人が殺されたり、被害を受けた事件ですから、それだけでは足りないですね。

いずれ高橋克也も逮捕されると思いますが、「カルトが生息できない日本」というのも、ちょっと怖いような気がします。歴史を振り返ると、宗教はどれも規模が違うだけで「カルト」と何も変わらないですからね。

カルト [名詞] 狂信的な信者の集まる小規模な宗教団体

cult [noun] a religion regarded as unorthodox or spurious

それよりも、みんなが理性的に正しい道を歩むような社会になればいいと思います。しかし、人間の性質として、それはなかなか難しいことだと思います。




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