
[1] 元素名としての塩素
・・・周期表に載っている「Cl」。100種類以上ある元素の1つ。
(この感覚はつかみにくい。分からなければ、今は気にしなくてOK!)
[2] 塩素原子のこと
・・・陽子が17個で、電子配置が K(2)L(8)M(7)な原子のこと。
[3] 塩素分子のこと
・・・[2]が2つ共有結合したCl2 という分子。塩素の「単体」と言ったら、これのこと。
[1]~[3]のどれを指しているのかは、文脈より判断しなくてはなりませんが、
たとえば、「○○と塩素が反応すると~」のような場合、かなりの高確率で、[3]の塩素分子を指します。
なぜならば、反応に使っているということは、ふつうに存在できる形の物質であると判断できるからです。
塩素原子は電子配置が中途半端すぎるので、原子1粒のままでは不安定すぎて存在できません。
塩素の他、フッ素F2 、臭素Br2 、酸素O2 、窒素N2 、水素H2 、なども、同じパターンです。
なので、たとえば、「ナトリウムと塩素が反応すると塩化ナトリウムができる」の反応式を書けといわれたら、
2Na + Cl2 → 2NaCl
となります。
(間違いパターン1) Na + Cl → NaCl
や
(間違いパターン2) Na+ + Cl- → NaCl
ましてや
(間違いパターン3) Na2 + Cl2 → 2NaCl
ではありません。
なぜならば、(パターン1)は塩素が原子状態だし、(パターン2)は勝手にイオンにしてるし、(パターン3)は Na2 という謎の分子が出てくるからです。
ちなみに、「ナトリウム」と言ったら、
[1] 元素名としてのナトリウム「Na」
[2] ナトリウム原子
・・・塩素原子と同じように、ナトリウム原子も1粒のままでは安定に存在できない。
[3] 単体のナトリウム
・・・ナトリウムは金属元素なので、Na原子が金属結合によって三次元的に無数に繋がった金属結晶をつくります。
金属結晶なので、分子式ではなく組成式で表しますが、Na原子100%なので、組成式は Na なります。
の3つの可能性がありますが、反応の話題で出てきた場合は、やはり、[3]と考えるのがふつうです。
でも、さっきから度々出てくる「ふつう」というところが難しくて、ある程度勉強して知識を増やさないと、判断できなかったりします。

がんばれ!

