映画から自己実現を!

映画を通して 人間性の回復、嫌いな自分からの大脱走、自己実現まで。 命をかけて筆をとります。

『ベルリン・天使の詩』 ~人生につまづいた時、君のそばには天使がいるよ~

2023-09-11 04:55:58 | 日記

『ベルリン・天使の詩』

 

 

 

1.はじまりはじまり


これは天使と人間とそして世界の語り部の物語です

あなたにこの作品から感じてほしい事は、

「悩みがいっぱいな日常でも、子供の頃の純粋な気持ちを思いだせば、とても美しいよ」ということです

「生活に追われる大人になっても、子供の頃の知らないことだらけな、あのドキドキ感をもう一度取り戻せば、楽しくて幸せだと感じるよ」ということです

ちょっとここで、ヨーロッパ映画を簡単にお伝えします

アメリカ映画のようにストーリーがきちんとしていたり、不自然でない展開だったりしないんです

だから、あなたには自分の思うように、自由に感じてほしいんですね

主人公は自分です、登場人物ではないんです

登場人物の行動や言葉に自分に当てはめてみて、「そういう感覚あるね」って感じで見てください

では、物語に入りましょう

 

2.天使、詩を歌う


映画のはじめに、天使のすばらしい詩が奏でられています

 


天使:
「子供が子供だった頃、腕をぶらぶらさせ、小川は川になれ、川は河になれ、水たまりは海になれと思った」

「子供が子供だった頃、自分が子供とは知らず、すべてに魂があり、魂はひとつだと思った」

「子供が子供だった頃、何も考えず、癖も何もなく、あぐらをかいたり、飛び跳ねたり、小さな頭に大きなつむじ、カメラを向けても知らぬ顔」


 

子供の頃のあなたのお気に入りの想像は何でしたか?

僕は両腕で目を押さえつけた時に広がる、宇宙のような漆黒と星のような光が網膜に入ってくるのが大好きでした

時間がぴたり止まったような無限と自分だけの世界を感じました

同時に、暗闇で怖かったですし、一人でいたくないと思いました

ゆっくりとした流れる音が聞こえたりもしました

子供ってこういった感覚に敏感なんですよね

あなたにもきっとあるでしょう?

作品に戻りましょう

 

3.天使の仕事って?


舞台はベルリンの街、二人の天使が街を見守っています

やさしいやさしい天使の目で、女神像の肩からベルリンの街を俯瞰しています

天使という異世界の存在なので、映る景色をモノクロにしてあるんですね

でも、冷たく明暗のはっきりとしたモノクロではなく、少し緑がかったやさしい色なんです

天使たちは人間の心の中が分かるんです

そんな悩んでいる人の肩に手をそっと乗せて、少しささやいて癒やしてあげている

そういう仕事をしてるんですね

もし、あなたが急に楽しくなってきた時、天使がささやいてくれたかもしれませんよ

 

4.人は悩む、恐れる、後悔する


そうしていると、女の子が天使のやさしい眼差しに気づき、交差点で立ち止まります

立ち止まった女の子に冷たくぶつかる大人、群衆

子供には天使が見えるんですね

ピーター・パンや星の王子さまの世界のようです

一方、大人には天使が見えません

子供と大人が対比して描かれます

飛行機の中、疲れて眠りこける大人たち

天使に気づいた女の子はキラキラした目でウインクします

別の女の子はきれいなお家の絵を描いたことを事細かく天使に教えてあげています

自分のスキなこと、夢中になっていることならいくらでも話せるんですね

心の中での順番が子供と大人ではまったく違うんですね

子供は驚きや楽しみに夢中ですが、大人は不安や予定で頭がいっぱいです

ここから少し、人々の苦悩、心の中が分かるシーンが出てきます

 


・ごちゃごちゃした街中の広告文字
・実家に帰ってきた男は、昔と変わらず散らかった部屋を見て、物を捨てられない母親を嘆く
・失恋した男
・老夫婦は、孫がロックに夢中で呆れ返っている。そのうえ楽器を買えとせびられる
・お金のことを心配している女性「今月の支払いどうしようか」
・救急車のけたたましいサイレン
・混雑した高架橋の車の流れ
・運転中に喧嘩する夫婦
・後部座席の子供のうるささにうんざりする父親


 

そして、対称的に子供の純粋なシーンが出てきます

 


・笑顔で天使を見つめる、歩行器をつけた歩行障害の女の子


 

その上で、やわらかな詩が歌われます

 


ナレーション:
「子供が子供だった頃、いつも不思議だった。なぜ僕は僕で君でない?なぜ僕はここにいて、そこにいない?」

「時の始まりはいつ?宇宙の果てはどこ?」
「見るもの聞くもの嗅ぐものは、この世の前の世の幻?」
「悪があるって本当?悪い人がいるってほんと?」
「いったいどんなだった?僕が僕になる前は」
「僕が僕でなくなった後、僕はいったい何になる?」


 

僕らの子供の頃って、知らないことだらけでしたよね

でも、それを夢想するのが楽しかったりしました

救急車の中、女性が出産でとても苦しんでいる場面です

 


女性:
「お腹で息をするの、赤ちゃんのために」
「痛いけどもうすぐよ」
「もう大丈夫、楽しみだわ」
「どんな顔かしら」


 

一人の天使、ダミエルが体にそっと触れると、女性の苦痛がやわらぎ、安心します

 

5.天使はどんなことを考えている?


二人の天使が車の中で話し合っています

ダミエルとカシエルです

その内容がとても面白く、スピリチュアルな出来事や美しい光景を報告しているんです

 


・日の出、日没、月の出の時刻、川の水位
・過去の今日の日に起こったこと(ソ連軍の戦闘機が湖に墜落、オリンピック、熱気球飛行)
・人が壁に頭をぶつけて死ぬ前に「今だ!」と叫んだこと
・地下鉄の車掌が「動物園前」というところ「火の島」と言い間違えたこと
・老人がオデュッセイアを読んでいると、そばにいた子はまばたきしなかったこと
・雨の中で女が傘をたたみ、ズブ濡れで歩いていたこと
・小学生が先生にシダの発生を説明して感心させたこと
・盲目の女性がダミエルに気づき、時計を探したこと


 

そんな天使ダミエルにも望みがあります

人間になりたいんですね

人間になって、五感を使って世界を感じたいと思っています

 


ダミエル:
「永劫の時に漂うよりも自分の重さを感じたい」

「僕を大地に縛り付ける重さを、歩くごとに、風が吹き付けるごとに、今だと言いたくなる。永遠の昔からとか永久にではなく」

「トランプに加わり、うなずくだけの挨拶をされてみたい。僕らはいつだって永遠に幻なんだから」

「誰かと夜中に格闘した、あれも幻、魚をつかまえたのも幻、テーブルについて酒を飲んだのも幻、食べたのも幻」

「子羊の肉を焼き、酒を注いだ、荒野の天幕の外、あれも幻」

「子供を作り、木を植えるとまで言わないが、いいもんだろうな。長い一日の後、家に帰りフィリップ・マーローのように猫に餌をやる」

「体温を持ち、新聞で手が汚れる」

「霊でいるだけでなく、食事をしたりうなじに見とれ、耳に触れる」

「真っ赤なウソを付く」

「歩くと骨の動くのを感じる」

「全知ではないから予感を味わえる」

「”ああ”とか”おお”とか言う。アーメンではなく」

「きっと気持ちいい。靴を脱ぎ足の指を伸ばす。裸足の感触を味わう」


 

当然ですが、人間だからこんなことができるんです
いつの間にか僕たちが慣れてしまった、こういった感覚を感じてみたいって言ってます

 

6.マリオン登場


さて、もう一人の主人公である、人間の女性が登場します

マリオンというサーカスのブランコ乗りです

ダミエルはこの女性に恋をします

映画の伝道師の淀川長治さんによると、

天使が空中曲芸の人間に恋をするのは、よくある題材なようです

飛んでいる姿に親近感が湧くからですかね

「この子、美しい!」って思っちゃったんです

マリオンの空中ブランコの練習をじっとじっと見つめるダミエル

ここで、すばらしいとても綺麗なカラー映像になるんです

この作品、こういう色使いやカメラワークがとてもよく登場人物の心情を表現しています

まさに天使の心が人間になったようです

このマリオンという女性にも悩みがあります

サーカス団が不況で客入りが悪くて、解散になってしまうんですね

次が最後の公演

打ちひしがれ、人生、孤独、自分の存在価値にマリオンは苦しみます

そんなマリオンにダミエルは寄り添います

すると、象が逆立ちなんかしたりして、マリオンは少し笑顔になるんですね

それでも、まだ不安に襲われるマリオンを癒せないことに、ダミエルは苦しみます

ダミエルは衣装を脱ぐマリオンに肩を触れます

その瞬間また、綺麗なカラー映像になります

人間の肌に触れちゃいます

ダミエルのマリオンへの愛情が現れたシーンですね

ダミエルたち天使の救済の仕事はまだまだ続きます

男が交通事故で死にかけているんですね

瀕死の男性はこれまでの人生を悔やみ、泣き悲しみます

ダミエルは男性に、美しいもの、楽しいこと、愛すべきものを思い起こさせて、心を安心させようとします

ここで天使の本気を発揮します

 


ダミエル:
山に登り
霧の谷から光の屋根に
草原に火
灰の中の芋
はるか湖の艇庫
南十字星
極東の地
北極圏
ワイルドウエスト
ヘーレン湖
トリスタン・ダ・クーニャ
ミシシッピーの三角州
ストロンボリ
シャルロッテンブルクの古い家並み
アルベルト・カミュ
朝まだきの光
子供のまなざし
滝の中の水浴び
雨の一滴のひろがり
太陽
パンと葡萄酒
けんけん跳び
復活祭
葉脈の息づき
風にそよぐ草
石の色
川底の小石
戸外の白い卓布
家の夢
隣に眠る親しき隣人
のどかな日曜日
地平線
室内の光がこぼれる庭
夜間飛行
手放しで乗る自転車
美しい未知の女
わが父
わが母
わが妻
わが子


 

みなさんはどれくらい心安らぐシーンを思い出すことができるでしょうか?

多ければ多いほど、豊かな人生になりそうですね

そのようなきれいで神秘的なシーンを映像で見たい方に

アンドレイ・タルコフスキー監督の『鏡』『ノスタルジア』を見ていただきたいです

 

7.母国ドイツへの思い


この映画の監督、ヴィム・ヴェンダースはドイツ人です

母国への思いが作品に込められているんですね

作品中に様々な第二次世界対戦中や戦後のシーンがあります

戦死者たち、瓦礫の山、途方に暮れる市民、いまだに残るユダヤ人差別、ちらつくナチスの鉤十字旗

ドイツ国民に対する怒り

彼らが選んだ孤立、疑心暗鬼、他者排斥、利己主義に対する怒り

とても怒りに満ちた映像です

映像作家として言わなければいけないという責任を全うしているかに思えます

はっきりと、戦時中の母国にNO!を叩きつけています

 

8.最後のサーカス劇場、悲しみを吹き飛ばして


さて、最後のサーカス公演が始まります

公演がとてもとても待ち遠しい子どもたち

そこにサーカス団が大行進でわいわい演奏しながら登場します

観客の子どもたちは大喜び

イタリアの映画監督フェデリコ・フェリーニが描いた映像を思い出させます

きっと、彼の作品をオマージュしているんでしょうね

子どもたちは団員たちの追いかけっこ、ナイフ遊び、玉乗り、曲芸に拍手喝采します

フィナーレにたくさんの風船が現れると、子どもたちは一気に客席から飛び出して、割りに行きます

 

9.人はいつから大人になってしまった?


ここで、大人視点の詩が流れます

 


ナレーション:
「子供が子供だった頃、ほうれん草や豆やライスが苦手だった。カリフラワーも今は平気で食べる。どんどん食べる」

「子供が子供だった頃、一度他所の家で目覚めた。今はいつもだ。」

「昔は沢山の人が美しく見えた。今はそう見えたら僥倖」

「昔ははっきりと天国が見えた。今はぼんやり予感するだけ」

「昔は虚無など考えなかった。今は虚無に怯える」

「子供が子供だった頃、子供は遊びに熱中した。今はあの熱中は自分の仕事に追われる時だけ」


 

『虚無』って何でしょう?

作中のセリフに何度か出てきます

大人になるにつれて、『虚無』はどんどん膨れ上がるんですね

未来に待っている死、存在のちっぽけさ、自己肯定感の欠損、他者と決して分かり合えないということでしょうか

舞台は変わって、ダミエルとカシエルが今までの歴史の変遷を語ります

海からはじまって、川になり、植物、自然、動物が生まれ、そして人間が現れた

そこには笑顔、言葉があったが、同時に争い、戦争、都市が出現した

ダミエルは自分たちが何も関与していないことを嘆きます

 


ダミエル:
「我々は少数で、傍観者でさえなかった!」

「自分の歴史を手にする!天上で眺めながら得た知恵をこれからは地上で生かしていく」

「間近に見、聞き、嗅ぐ事に耐える。外はもう十分だ。不在はもういい。外の世界はもういい。世界の歴史に入っていく。りんごを掴むのさ」

「世界の背後の世界など御免だ!」


 

次に天使たちの無力感を象徴するようなシーンが映し出されます

自殺願望の男性が、他者、自己、世界を呪いながら、ビルの屋上から飛び降りようとしているます

カシエルはとっさに肩に触れ、ささやきますが、その甲斐なく男性は飛び降りて死んでしまいます

カシエルは自分の無力さに発狂し、打ちひしがれます

その心理描写がすさまじく、そのカメラワークと効果音が心に刺さります

(フラッシュ、早送り、激しいカメラ揺れ、大量のコマ送り、子供の叫ぶ声、夫婦喧嘩、戦闘機が爆弾を落とす、空襲警報、火事、逃げまとう人々)

 

10.サーカス団解散、別れ、そしてひとり


ついにサーカス団が解散してしまいます

団員たちは不安を持ちつつも、陽気にふるまい歌い踊ります

すごく物悲しくもあり、同時に陽気にふるまう姿に人の強さを感じます

団員に別れを告げ、マリオンはあてどなくさまよいます

とあるライブ会場に入るマリオン

そこは、メランコリックなロックバンドとその音楽に一体となる観客がいます

まるで中世ヨーロッパの『カタコンベ”』のような、不安・恐れ・逃避・眠り・救済など、様々な感情が伴った麻薬的な薄暗い雰囲気です

やがて寝床につき、マリオンは夢を見ます

夢の中にダミエルの姿が現れます

鎧をまとい、翼で浮遊し、両腕を広げ、心配ないよと見つめています

夢の出現は偶然なのか、ダミエルの力なのか分かりません

寝言でマリオンは一言、「いっしょにいて」とささやきます

 

11.人間界への誘い、決意


場面変わって、ダミエルはカフェでアメリカから来た俳優のピーターを観察しています

「この人いつも楽しそうだな」「美味しそうにコーヒーを飲むなあ」と思います

すると、見えないはずのダミエルにピーターが話しかけます

 


ピーター:
「見えないがいるな?感じてる。ずっと感じてる」

「君の顔が見たい。こっちがどんなにいいか教えてやりたい」

「冷たいものに触る。いい気持ちだよ」

「煙草を吸う。コーヒーを飲む。一緒にやれたら言う事なしだ」

「絵を描くのもいい」

「鉛筆を持ち、太い線を引く。それから細い線。二本でいい感じの線になる」

「手がかじかんだら、こすり合わせる。これがまたいい気持ちだ!」

「素敵なことが山ほどある」

「でも君はいない。僕はいる。こっちに来たらいいのに。話ができたらいいのに。友達だからさ、兄弟!」


 

そして、見えないダミエルに手を出し握手をします

ダミエルもまた手を出し握手し、不思議そうに立ち去ります

いよいよ、ダミエルは人間になる決意をします

カシエルに人間になったらしてみたいことを楽しそうに話します

 


カシエル:「それで?」

ダミエル:
「流れに降りるよ」

「ことわざの意味がようやく分かった」

「瀬に降りるべし 岸などない 流れに降りてこそ瀬があるのさ」

「時の瀬 死の瀬に立つ」

「天使の望楼から降りるんだ 見下ろすのでなく、目の高さで見る」

「まずは風呂に入る」

「それから床屋に行く トルコ人の店がいい」

「指の先までマッサージをしてもらう」

「新聞を買い、一面から星占いまで読む」

「最初の日は特別待遇だ」

「頼み事は断り、誰かが僕につまづいたら謝ってもらう」

「ぶつかられたらぶつかり返す」

「満員の酒場で悠々と席につく」

「公用車が止まり市長が僕を同乗させる」

「誰も僕を他人とは思わない 僕は黙って耳を傾けるだけ 初日はそんな具合だ」

カシエル:「そんな絵空事を!」


 

瀬とは川の浅いところっていう意味ですね

つまり、岸辺で傍観していないで、川に入り、流れを感じ、身を任せたいということですね

その瞬間また、辺りは鮮明なカラー映像に変わります

どんどんどんどん、ダミエルは人間に近づいていくんですね

 

12.誕生、世界初体験!


そしてついに、ダミエルは気を失い、カシエルに抱き抱えられます

今、一人の天使が死にました

そして、一人の人間が誕生しました

背後のベルリンの壁には、ムーミンのようなキャラクターが無数描かれています

先程までのモノクロとは全く違った、カラフルた色彩で描かれているのが見えます

これから楽しいことがどんどん現れるよっていう暗示でしょうか

歴史の暗部であるベルリンの壁に、今生きる人によって希望に満ちたデザインでペイントされています

悲惨な過去を今から乗り越えていくよって感じがしていいです

そして、意識をなくして倒れているダミエルの頭上に「ゴツン」と、中世の鎧が落ちてくるんですね

天使が死んだというメタファーでしょう ユーモアがあります

さあ、いよいよ人間ダミエルが世界を歩きはじめます

けたたましいヘリコプターの騒音にダミエルは起こされ、楽しさのあまり苦笑します

鎧がぶつかった頭の血に気づいたダミエルは

「これが血か!」

血の鮮やかさ、味を五感で感じることによって、生命を得たとダミエルは感動します

私達にとってもなぜだか喧騒の中の街の看板や広告が、とても人間くさく、温かみをもって感じられます

ダミエルは驚きと嬉しさのあまり、通りすがりの男性に声をかけて、血を見せ、質問責めです

 


ダミエル:
「これは赤い?」

「あなたは元気ですか?」

「このパイプの色は?」

「あの壁の犬の落書きは?」

「隣は?」

「その隣は?」

「とても寒い?」

「コーヒーいいだろうな」

「今日は実にいい日だ」


 

そして、救急車のサイレンや看板広告の色の鮮やかさに感動しながら、カフェに行きます

そのカフェには優雅なBGMが流れています

ダミエルは、さっそくコーヒーを注文します

匂いを感じ、カップの温かさ、まん丸い形を確かめながら、口に含みます

さっそく手を擦り合わせ、肌の感覚を楽しみます

ここで、喜びの詩が流れます

 


ナレーション:
「子供は子供だった頃、リンゴとパンを食べればよかった。今だってそうだ」

「子供は子供だった頃、ブルーベリーがたくさん降ってきた。今だってそう」

「胡桃(クルミ)を食べて舌を荒らした。今も同じ」

「山に登る度にもっと高い山に憧れ、町に行く度にもっと大きな町に憧れた。今だってそうだ」

「木に登りサクランボを摘んで得意になったのも、今も同じ」

「やたらと人見知りをした。今も人見知り」

「初雪が待ち遠しかった。今だってそう」

「子供は子供だった頃、樹をめがけて槍投げをした。ささった槍は今も揺れている」


 

大人だって『今も』子供といっしょだよと教えてくれています

さあ、子供の頃の感覚を再び思い出そうと歌っています

ダミエルは、アンティークショップで鎧を売ります

この辺りが後悔なくて潔くて気持ちよく、ユーモラスです

躊躇なくカラフルなジャケット、ネクタイ、時計、帽子を揃えて、店から出てきます

このように人物の気持ちを映像で分かりやすく見せるのがよくできていますね

とってもバエてます!

すると通りすがり、男の子に道を尋ねられます

言葉遊びを楽しもうとダミエルは、男の子にいじわるをします

わざとたくさん固有名詞を列びたて、男の子を困惑させますね

こういうユーモアな描写が、物語の雰囲気をとっても明るくしてくれています

 


男の子:「アカシア通りはどこ?」

ダミエル:
「クライスト公園を右に行き、グルネヴァルト通りを行き、ゴルツ通りを右でなく、左に折れたところだ」

男の子:「オー・マイ・ガー」


 

13.元天使と元天使


人間になったダミエルは、この感動をピーターに早く伝えたくて、会いに行きます

 


ダミエル:「兄弟!」

ピーター:
「君か、嬉しいな!」

「どうだい?」

「なぜだか、ノッポだと思ってた」

「いつから人間になった?」

ダミエル:
「いつだって?」

「分、時間、週、月、タイム!これが時間か!」

ピーター:「金が要るだろう」

ダミエル:「金はある!物を売った」

ピーター:「鎧だな?いくらで?」

ダミエル:「200マルク」(※13500円くらい)

ピーター:
「安売りしたな。いいかい、30年前の事だがニューヨークの23番街の角の質屋で500ドル(※47500円くらい)だったよ」

ダミエル:
「あなたが?」

「あなたも?」

ピーター:
「結構たくさんいる」

「君だけじゃない」

ピーター:「で、これから?」

ダミエル:「恋人がいるんだ」

ピーター:「恋人。いいねえ!」

ダミエル:「もっと話を!」「知りたいんだ、何もかも」

ピーター「自分で発見しろ。面白いよ」


 

そうなんです、ピーターは元天使だったんです

ダミエルの先輩ですね

人の肖像をスケッチするのが大好きな人です

さっそく、ダミエルはマリオンを探しに行きます

 


ダミエル:
「空の太陽とは別の太陽があるんだよ、カシエル」

「夜の深みに明けていく春。僕らが知らない新しい翼。びっくりするような翼」


 

惑星の太陽というより、陽光や夜明けという意味の陽ということでしょうか

マリオンは夢でのダミエルとの出会いから、徐々に希望を膨らまします

 


マリオンの心の中:
「自分が誰か分からない、素性の知れない誰か。過去も国もないけどそれがいい」

「私はここ。私は自由。何でも思い描ける。すべてが可能」

「目を上げるだけで世界に溶け込む。今、ここで感じる、いつでも感じられるはずの幸せ」


 

鮮やかなカラー映像に変わります

キラキラした瞳で希望に満ちた顔をしています

夢に天使を見るという効力でしょうか

明らかにマリオンが霊的な力で満ち溢れていますね

マリオンもダミエルを探し求め始めます

カフェで偶然ピーターと出会います

名刑事のコロンボに人探しを依頼するところが、粋ですね

 


マリオン:「刑事さん、人を探すのが得意なんでしょ?」

ピーター:
「迷宮入りの事もあるけど」

「誰かを探してる?」

マリオン:「誰かを探したい気分なの」

ピーター:
「誰を?男の子?女の子?男性?女性?」

「男だね」

「名前は?」

「住んでいるところは?」

マリオン:「何も分からない」

ピーター:「そりゃ難事件だ」


 

ピーターは気配を感じ取って、ひとり寂しそうなカシエルに話しかけます

 


ピーター:
「見えないがいるな?」

「感じるよ」

「君の顔が見たい。君には話す事がいっぱいある。友達だからさ、兄弟!」


 

そう言って、ダミエルと同様に握手をします

マリオンは夢の中のダミエルがいると確信しているようですね

 

14.互いに惹かれ合って


一方、必死に互いを探すダミエルとマリオン

やがて、ライブ会場に行き着きます

そばのバーの椅子に腰を掛けるダミエル

観客を掻き分け、ダミエルがいるのを感じます

そして吸い込まれるようにダミエルのもとに近づいて、はじめて二人は出会います

 


マリオン:
「いつか一度は真剣になる」

 

「私はほとんど一人だった」

 

「でも完全に一人じゃなかった」

 

「人と一緒にいたし楽しかったけど、偶然のせいだと思ってきた」

 

「私の両親にしても、他の人でなかったのは偶然」

 

「なぜ、弟が茶色の瞳の子で、向かいのホームの緑の瞳の少年じゃない?」

 

「タクシー運転手の娘と親友だった」

 

「彼女と肩を組んだけど、馬が友達でもよかった」

 

「恋人がいたこともあるけど、彼をおいてきぼりにして、ゆきずりの男に付いて行かなかったのも偶然」

 

「私の目を見つめる?」

 

「私の手を握る?」

 

「いえ、手も握らず、目も見つめないで」

 

「今夜は新月。かつてない静かな夜。街に流血のない夜」

 

「今までだって遊びではなかった。でも今度こそ真剣って気になった事もなかった」

 

「ようやく今、真剣」

 

「そんな年になれたのね」

 

「私ひとり真剣でなかった?」

 

「時だって真剣だわ」

 

「ひとりでも人といても、私は寂しくはなかった」

 

「寂しさを感じたかった」

 

「寂しさって自分をまるごと感じることだから」

 

「今、ようやくそれが言える。寂しさが分かる」

 

「偶然はもうおしまい」

 

「新月は決断の時。先の運命が分からなくても決断する時。決断するの。私達、今がその時よ」

 

「私達の決断は、この街のすべての世界の決断なの」

 

「今、私達ふたりはふたり以上の何か」

 

「私達は広場にいる 無数の人々が広場にいる。私達と同じ願いの人々」

 

「すべてが私達次第」

 

「私は決心している。今はあなたの決心次第よ」

 

「今しか時はないわ」

 

「あなたは私が要る。私が必要になる」

 

「ふたりが作る歴史はきっと素晴らしいわ」

 

「男と女の大いなるものの歴史。目に見えなくても伝わっていく、新しい始祖の歴史」

 

「見て、私の目を、写っているでしょう?必然が、広場の人々の未来が」

 

「昨夜、夢に知らない男の人が現れたわ。私の夫」

 

「その人と初めて寂しさが分かり、私は初めて私のすべてで迎え入れた」

 

「その人をそっくり迎え入れ、迷宮をはりめぐらせた一体でいる幸福の迷宮を、分かってる」

 

「あれはあなた」


 

このマリオンの独白の中に、人間の孤独・寂しさ・時の流れ・情熱・歴史・共存・未来が語られているように感じます

今まで、大人より子供でしたが、ここにきて必然を感じるくらい成長し、孤独を自覚した大人が幸福を作り出すと言っています

そして、偶然から必然へ、寂しさを感じれることができるから、誰かと一体になれる

今から世界の歴史が始まろうとしています

とてもとても、女性らしい世界観だと思います

女性がこういう風に考えているってことを、男性は知らないとダメですよね

そして、ダミエルは、天使だけではなく人間の中にも、『永遠』『無限』完全なものがあることを知ります

 

15.ダミエルとマリオン、その後


屋敷の中で、マリオンがロープを掴んで、空中芸の練習をしています
ダミエルは下でロープをピーンとひっぱって、補助しています

まるでフィギュアスケートのペア競技みたいに、ふたりは一体となっています

 


ダミエル:
「何かが起こった。今も起こり続けている。抗い難い力で」


「起こったのは夜。それが昼の今もますます鮮明だ」


「誰が誰?僕は彼女の中。彼女は僕をくるんだ」


「一体だったなんて誰が本気で言うかな。僕は一体だ」


「ふたりは有限の生命の子でなく、永遠のイメージを孕んだ」


「驚くという事も知った」


「彼女は僕を家に連れ帰った。僕にも家がある」


「昔々あったとさ。昔々あった事。だからこれからもあるだろう」


「ふたりで孕んだイメージ、それは僕の命。一生の伴侶だ」


「ふたりだという事の驚き。男と女の驚き。それが僕を人間にした」


「僕は今、知っている。いかなる天使も知らない事を」


 

恋した時のあの何とも言えないせつない不安感と、相手といる時の心地よい安心感とが入り混じった感情というのでしょうか

相手が自分の利き腕のように、何本もの運動神経で繋がっていて、離れてしまうといてもたってもいられなくなる

S極とN極が引っ付いた2つの磁石のように、科学証明のように絶対に覆すことができない一体感

そのなかにダミエルは天使とは違う形の完全体を見たのでしょう

 

16.生きるって何でしょう?


言葉にし辛いですが、人間にはもっと奥深さというか可能性があると思います

人間は一人で生まれ、一人で生を終えます

それは孤独で、不条理で、とても不安定な状態です

寿命が限られているからこそ、見るもの、聞くもの、触るものすべてを美しく、いとおしく思うことができます

寿命が限られているからこそ、永遠なるもの、完全なるものを求め、心の中にそれを作りだしていく気がします

それを動物の本能なんじゃないのと思ってしまうとなんかもったいない気がするのです

何か貴重な体験をした時のあの恍惚感は本能的なものでしょうか

僕は霊的なものだと信じます

食物とは別の生きるエネルギーだと感じます

全身の神経信号が走り回り、全筋肉が震えるような感動と情熱、その高揚感

自分は最高だと思える、この場所は最高だと思える、自分に関わってくれる仲間は最高だ思える、この時間は最高だと思える

そういうエネルギーをどんな悲惨な時でも発電できる力を僕たちは持っていると思います

そして、そういったエネルギーは人から人へ伝播します

年上の世代が、エネルギッシュに楽しく生きることで、下の世代もああなりたいなと思い、早く年をとって、色んな世界を知りたいと思うようになります

楽しみましょう、限りある生命を

 

17.語り部とは

 

さて、この作品にはもう一人、登場人物がいます

老人が語り部として、思いを綴っているところです

この語り部というのは、作者が理想とする天使なんだと思います

人間の悩みを理解し、共感し、癒やす者

歴史、過去、現在、未来に思いを馳せ、深く考え、人間のために、よりよく伝える者

人間という生き物を哀れみ、慈しみ、ともに生きる者

そういった存在が、どの時代にも必要だったですし、これからも大切だということです

さあ、彼の思いを聞いてあげましょう

 


老人:
「語れ、詩の女神よ。世界の果てに流れ着いた、幼児にして老人。万人の鏡である語り部ホメロスを」


「わが聞き手は時とともに読み手となり、もはや車座にならず、孤独に机に向かい、他人に意を介さない」


「私は老い、声もしゃがれたが、物語は今もなお深淵より立ち昇る」


「開かれた口は力強く繰り返す」


「万人に意味があますところなく理解され、伝わりゆく物語を」


 

語り部とは、鏡のように世界を言葉やイメージなどの手段をもって、語り尽くす者であり

孤独に耐え抜き、万人のために、世界の優美を語り尽くす者です

芸術作品だけなんて言いません

仕事でもSNSでも地域活動でも、手段は何でもいいので、五感をもって人々を感動させる人

「ああ!」「これか!」「そういうことか!」のように、僕たちに感嘆符をくれる人

あなたもたくさん見つけて教えてください

次は、語り部が語り続けなければならないものは何かを力説します

 


老人:
「世界は黄昏れていくようだが、私は語りつづける。」


「昔と変わらぬ歌の調子で。」


「歌に支えられ、物語は現在の世の混沌に足をとられず、未来に向かう。」


「幾世紀をも往来する、かつての大いなる物語はもう終わった。」


「今は一日一日を思うのみ。」


「勇壮な戦士や王が主人公の物語ではなく、平和なもののみが主人公の物語。」


「乾燥たまねぎでもいいし、沼地の渡り木でもいい。」


「誰一人、平和の叙事詩をまだうまく物語れないでいる。」


「なぜ平和だと誰も昂揚することがなく、物語が生まれにくいというのか。」


「諦めろだと?」


「私が諦めたのでは人類は語り部を失う。」


「語り部を失うという事は人類の子供時代もなくなる事だ」


 

悲惨を語るのでなく、美しさを語ろう、過去を語るのでなく、未来を語ろう、孤独を語るのでなく、一体を生み出そうということでしょうか

そして彼は、人々が多大な犠牲を払った戦争に対して、無力だったと後悔しています

 


老人:

「ポツダム広場が見つからない。ここか?」

 

「こんなところじゃない。」

 

「ポツダム広場ならカフェ・ヨスティがある。」

 

「午後はみんなで歓談しコーヒーを飲み、道行く人を眺め、葉巻をくゆらせた。」

 

「広場の向かいのローゼ・ヴォルフ商会のあの葉巻。」

 

「これがポツダム広場なものか!」

 

「誰に聞いたって違うというよ。」

 

「にぎやかな広場だった。」

 

「市電や乗り合い馬車が行きかい、自動車も二台、私のとチョコレート屋のと。」

 

「ヴェルトハイム百貨店もここにあったのに、ある日突然、旗だらけになった。」

 

「広場が旗でうずまってしまった。それ以来、人が人を嫌い始めた。」

 

「警察は言うまでもない。」

 

「私は決して諦めないよ。」

 

「昔のポツダム広場を見つけるまで。」

 

「私の主人公たちよ、子らよ、どこへ行った?」

 

「私の人物たちはどこに消えた?」

 

「物語の最初の主人公たちは?」

 

「詩の女神よ、哀れな不死の詩人たる私を呼べ。」

 

「かつて詩を聞いた人々に棄てられ、声を失い、かつて語りの天使であったのに。」

 

「今は無視され、あざけられつつ、無人地帯のはざまで歌う、この辻音楽師」


 

戦争のために『孤立、疑心、排他、利己、無関心、偏見、差別』が生まれてしまった

これらに対して語り部はなにをしていたのだと嘆いています

それほど、世界は痛めつけられ傷つき、今も傷跡が残っている現状

そして、おおらかに語り部の復活を宣言しているんですね

まさに、ルネッサンス、復古です

 


老人:
「いつの日か私を探す、男、女、子らの名を、語り部にして歌い手たる私に告げよ」

「人々には語り部が要る この世の何よりも」

「乗船完了!」


 

18.希望をもって


この乗船完了!っていうナレーションの声がまた、すごくいいんです

ぜひ、聞いてみてください

ダミエルが人となり、地に降り立って、世界を感じ始めました

マリオンがやっと自分自身を本当の意味で見つけました

語り部がもう一度、世界のために語り始めます

さあ、これから世界の船は出発します

希望を持ちましょう!

人生を歩んでいるとたくさんの不安があります、悲しみがあります

『寂しさ、孤独、苦悩、恐れ』

負な面が一気に私達に襲いかかってきます

それでも、生きることは素晴らしい

『暖かさ、希望、ユーモア、つながり、変化、共存、一体』

正の面がたくさん待っています

限りある命があるからこそ、傷つけば、痛い思いをするからこそ、

その感覚がたくさんであればあるほど、この不安定な寂しい人間が、とってもいとおしく感じられます

自分と同じように、世界も永遠なものでないことを知ると、貴重で儚くて美しく思えます

そんな思いをさせてくれる作品です

ぜひ、この素晴らしい語り部の、ヴィム・ヴェンダースの本編を見てください、見直してください

生きることがつらい人、必ず心を何か動かされると思います

天使の目で感じてください

どれだけこの世界が貴重なものかを、楽しいものかを

織田裕二さんの名言「地球に生まれてよかったー!!」って、なるかもです

いっしょに、スキなことをたくさん思い出してみませんか?

私はというと、

 


・雨の日に、カフェでコーヒーを飲みながら、外を眺める
・夏の日の急な夕立のアスファルトの匂い
・図書館の本の匂い
・本屋のポップ広告
・昔、電気屋さんに展示してあったオーディオコンポを眺める
・雨の日に、ハンバーグなどジュウジュウ音を立てるグリルを食べる
・近所のガソリンスタンドのアポロの顔が怖かった
・朱色が怖かった
・洗剤のにおいが残るタオルが
・スーパーボールのバウンドについて行けず、アタフタするのがスキ
・ラジオ体操第二がスキ
・猫のゴロゴロとウインク
・キスした時のような少し厚みのあるマグカップ
・柔道の受け身
・長髪の女性
・たこ焼きを串でひっくり返している時
・カルピスの原液
・田んぼの畦道
・川に飛び込む
・焚き火
・休みの終わりを告げる笑点がさみしい
・土曜夜市
・花火大会
・地域のクリスマス会でのプレゼント交換
・藁の上で寝たらかゆいこと
・毛布がスキすぎて、夏でも愛用
・他の枕で寝れない
・友人と肩を組み合うこと
・UNOでドロー4連発
・300円までの遠足のおやつ選び
・筋トレ中のインターバル休憩
・首をひねって関節を鳴らすこと
・ニット帽
・ひざかっくん
・バスのアナウンスの完コピ
・列車、電車のガタンゴトンの音
・駅の切符をわざわざ、駅員から買う
・後ろ歩き
・新学年の教科書をもらった時



まだまだ出てきそうです


あなたの乗船切符をたくさんみつけてください


それを僕に教えてください


「友達だからさ、兄弟!」


ではまた次回まで


サヨナラ
 

 

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19.関連作品


 『時の翼にのって』ヴィム・ヴェンダース監督
『東京画』ヴィム・ヴェンダース監督
『パリ、テキサス』ヴィム・ヴェンダース監督
 
『ストーカー』アンドレイ・タルコフスキー監督
『鏡』アンドレイ・タルコフスキー監督
『ノスタルジア』アンドレイ・タルコフスキー監督
『サクリファイス』アンドレイ・タルコフスキー監督
 
『早春』小津安二郎監督
『東京物語』小津安二郎監督
『秋刀魚の味』小津安二郎監督
 
『アメリ』ジャン・ピエール・ジュネ監督
 
『道』フェデリコ・フェリー二監督
『道化師』フェデリコ・フェリー二監督



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