誰もが「ひよこ」は知っている。誰もが「鶏」も知っている。
でも、ひよこと鶏の「中間」の時期について知っている人はそう多くないだろう。
I家の母もそれを知らない一人であったが、今回鶏を飼うことになり、初めてその神秘の扉を開けるチャンスを得ることになったのだ。
というわけで、ひよこと鶏の中間を見ようと、毎日、毎日、かわいいひよこのピッピを観察していたが、ゼンゼン変化なし。
それで、この子は永遠にひよこのままなのかと錯覚してしまい、ちょっと気を許して観察を怠ってしまっていた。
そうして、何日かたった或る日、ふと見ると、気のせいか、ピッピの首と足が少し長くなっているように思われる。
あれと思いつつも、またうかうかと何日か過ごした或る日、ダンボールから、飛び出して寄ってきたピッピを何気なく見ると、いつのまにか首と足はさらにグググーンと伸びており、黄色い頭には紅しょうがのようなちっこいトサカがちょこんとついているではないか。!
あの、ひよこの愛らしさは、跡形も無く消えているのだが、だからといって、まだ鶏というような堂々としたものでもない。人間で言えば、薄っすらひげの生えかけた中学ニ年生がはにかんでいるような落ち着かない風情の、なんとも奇妙な生き物が目の前に立っていたのである!
ついにひよこと鶏の「中間」をみることが出来たのだ・・・と母は悟り、鶏飼育の意義はここに有り!と、日頃の糞掃除の疲れも忘れ、快心の笑みをもらしたのであった。
形態の変化についてはこのように水面下でじょじょに進行していたのであるが、あのひよこの「ピヨピヨ」から鶏の「コケコッコー」への音声の変化はどのようになされていくのか?
形態変化の観察をさぼっていたため、もう少しで、ひよこと鶏の中間を見逃しそうであった母は、こちらに関しては、気を許さず、毎日きちんと確認するようにしていた
「中間」時、鳴き声は、まだ、ピヨピヨであった。
可愛くないひげの生えた中学生が、「まんま、くだちゃい」などとと言っているのである。
これは許せない、君はもう「コケコッコー」と言うべきだよと、言い聞かせてみても知らん顔であった。
その後何日も、ピッピは日々限りなく鶏に近づいていきながら、しぶとく、「ピヨピヨ」と鳴きつづけていた。
八割くらい「鶏」になっても、「ピヨピヨ」言っているので、もしかしたら、これは大人になっても「ピヨピヨ」としか鳴かぬ突然変異鶏では?と母が疑い始めたある朝、ピッピはいつものように「ピヨピヨ」と鳴こうとしたらしいのに(?)、何故か「コケーッ」と太い声で鳴いてしまった。
そして、その日から、「ピヨピヨ」のピの字も出なくなり、、「コッココッコ」と鳴きながら庭中駆け回る、どこにでもいる普通の鶏になったのである。

ひよこピッピ

中間ピッピ

普通の鶏ピッピ
でも、ひよこと鶏の「中間」の時期について知っている人はそう多くないだろう。
I家の母もそれを知らない一人であったが、今回鶏を飼うことになり、初めてその神秘の扉を開けるチャンスを得ることになったのだ。
というわけで、ひよこと鶏の中間を見ようと、毎日、毎日、かわいいひよこのピッピを観察していたが、ゼンゼン変化なし。
それで、この子は永遠にひよこのままなのかと錯覚してしまい、ちょっと気を許して観察を怠ってしまっていた。
そうして、何日かたった或る日、ふと見ると、気のせいか、ピッピの首と足が少し長くなっているように思われる。
あれと思いつつも、またうかうかと何日か過ごした或る日、ダンボールから、飛び出して寄ってきたピッピを何気なく見ると、いつのまにか首と足はさらにグググーンと伸びており、黄色い頭には紅しょうがのようなちっこいトサカがちょこんとついているではないか。!
あの、ひよこの愛らしさは、跡形も無く消えているのだが、だからといって、まだ鶏というような堂々としたものでもない。人間で言えば、薄っすらひげの生えかけた中学ニ年生がはにかんでいるような落ち着かない風情の、なんとも奇妙な生き物が目の前に立っていたのである!
ついにひよこと鶏の「中間」をみることが出来たのだ・・・と母は悟り、鶏飼育の意義はここに有り!と、日頃の糞掃除の疲れも忘れ、快心の笑みをもらしたのであった。
形態の変化についてはこのように水面下でじょじょに進行していたのであるが、あのひよこの「ピヨピヨ」から鶏の「コケコッコー」への音声の変化はどのようになされていくのか?
形態変化の観察をさぼっていたため、もう少しで、ひよこと鶏の中間を見逃しそうであった母は、こちらに関しては、気を許さず、毎日きちんと確認するようにしていた
「中間」時、鳴き声は、まだ、ピヨピヨであった。
可愛くないひげの生えた中学生が、「まんま、くだちゃい」などとと言っているのである。
これは許せない、君はもう「コケコッコー」と言うべきだよと、言い聞かせてみても知らん顔であった。
その後何日も、ピッピは日々限りなく鶏に近づいていきながら、しぶとく、「ピヨピヨ」と鳴きつづけていた。
八割くらい「鶏」になっても、「ピヨピヨ」言っているので、もしかしたら、これは大人になっても「ピヨピヨ」としか鳴かぬ突然変異鶏では?と母が疑い始めたある朝、ピッピはいつものように「ピヨピヨ」と鳴こうとしたらしいのに(?)、何故か「コケーッ」と太い声で鳴いてしまった。
そして、その日から、「ピヨピヨ」のピの字も出なくなり、、「コッココッコ」と鳴きながら庭中駆け回る、どこにでもいる普通の鶏になったのである。

ひよこピッピ

中間ピッピ

普通の鶏ピッピ