幻影現実 私的工廠 日記帳(気ままに更新)

たぶん、よろず的四方山話が中心になるでしょう。

砕氷艦「しらせ」見学

2005年09月04日 21時05分57秒 | Weblog
愛・地球博に協賛のおかげで、普段は、なかなか豪華な寄航がない名古屋港にも、今年は 千客万来のようです。

海上自衛隊 横須賀基地の 砕氷艦「しらせ」の一般公開がありました。
世間では、南極観測船 しらせ と呼ぶ方が、知られているでしょうねぇ。
見学に来ていた人の中にも「しらせ って、海上自衛隊の船なんだね」と、初めて知ったという人たちも多々おられたようです。

そりゃ仕方ないでしょうねぇ。
最近は視聴率の低迷している(そうですが)NHKの大晦日の紅白歌合戦の番組中に、南極観測隊から応援電報って届くでしょう?
筆者は、ここ数年ばかり紅白歌合戦を真面目に見ていませんけど、確か 応援電報が届いたら 司会者は、「南極観測船 しらせ」からとか「南極観測隊」からと 紹介していた覚えがあります。
間違っても「砕氷艦 しらせ から応援電報が届きました」なんて言わないでしょう(笑)
天下の公共放送が、南極観測船と呼んでいるんですから、そりゃぁ 民間人は「しらせ」が「船」ではなく、海上自衛隊の「艦」だなんて思わないですよ。
ですから「しらせ」の責任者は、船長ではなく、艦長ですよね。
海上自衛隊も、堅苦しく艦籍どおりの呼び方しなくてもパンフレットや説明の呼称は「南極観測船」に統一してしまった方が、いいんじゃないですかねぇ?

「しらせ」って、何が凄いかというと、クレーンが凄いんですよ。
見学では、クレーンに気がつた人は どれだけいたのか知りませんが、大型クレーンが、艦首に2基、艦尾のヘリ格納庫の上部に2基、その他にも小型のクレーンが幾つか設置されています。
クレーンだらけかも(笑)

四方を海に囲まれた この国ですが、砕氷能力がある船や艦は、やはり少ないようです。
この「しらせ」の他には、本格的な砕氷のあるモノは、海上保安庁の第1管区海上保安本部の巡視船「そうや(2代目)」くらいでしょうか。
ちなみに海保の初代「宗谷」は、灯台巡回船から初代の南極観測船として第1次~第6次南極観測まで活躍して引退しました。
「タロとジローは生きていた」や映画「南極物語」で有名です。
現在は、東京の「船の科学館」に永久保存されています。
(だいぶ痛みが酷くなった為、「宗谷」を修復する募金活動がおこなわれています。
興味のある方は「船の科学館」のHPまで)

博物館になっている初代南極観測船「宗谷」の修理募金活動という話もありますが、この現役の「しらせ」も 実は 1982年に建造ですから、艦齢が23年になります。
次の代わりの南極観測船をという話もでてきておりますが。。。。
今の総理大臣が誕生して、予算削減政策 云々・・・・という時期に、南極観測のHPに、「しらせ」もそろそろ歳だから、継ぎ南極観測船を建造しないと南極観測が継続できないという内容の記載があった時期がありました。
今は、この記載はなくなっております。
と言うことは、新しく継ぎの船が建造できないのなら、「しらせ」を修繕しながら使用し続けるという事でしょうかねぇ。。。。
ついでに、海上保安庁の砕氷巡視船「そうや」も1978年生まれで、引退の目安である船齢25年を過ぎているのですが、後継船の建造予定が立たないとか・・・・海上保安庁にとっては頭の痛い話でしょうね。

見学していて、艦橋に貼ってあったのが、「しらせ」の持っている海上自衛隊 動揺記録更新 の展示物です。
「しらせ」が左に53度傾いたとか!
南緯40付近は、暴風圏だそうです。
この海域を通過しなければ、南極にも南氷洋にも行けません。
かつて、日本が南氷洋捕鯨をしていたころは、この暴風圏を越えて南氷洋までクジラを捕りに行っていたワケです。
「しらせ」とか捕鯨母船とかの大きな船や艦なら、大嵐の海域を越えたと聞いても当たり前のように思えるのでしょうが、クジラを捕まえるために造られたキャッチャーボートは、全長が30mほどです。
波と波の谷間に すっぽりとハマってしまって、仲の船から見えなくなり、一瞬で沈没してしまったと勘違いされたりもしたと、聞き及びます。
当然、こんなに荒れた海域ですから、スクリューが海面から露出するほど揺さぶられて、スクリューの空転に悩まされたりしたそうです。
(これって、船や艦にとっては、機関に悪いらしいですよ)

以前、筆者のプログに 旧日本海軍の戦艦「金剛」の最期について記載した事があるのですが、「金剛」は 敵潜水艦の魚雷攻撃を受けて、浸水しながら航行して、だんだんと艦が傾きだしたそうです。
浸水により機関が停止して、総員退艦命令が出た時は、傾斜が60度だったそうです。
このため、退艦命令が出ても、傾斜した艦内にいた乗組員は、思う様に脱出できず、生存者237名にたいして1300名あまりの乗組員が、「金剛」と共に沈んだそうです。
そう考えますと、「しらせ」の傾斜53度。。。。体験したくはありませんが、超怖すぎです!

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