蝉しぐれ 藤沢周平
よかった~!
主人公文四郎の尊敬する父が切腹する辺りなんて、号泣しちゃった。
悪い家老たちに苦境に落とされ、つらい日々が続くけれども、
文四郎の周りの友人達との交流は、心を暖かくしてくれた。
最後には、悪いやつらをギャフンと言わせて、
それでも、ああすっきり!という感じではなくて、なんとな~くもの悲しさが残るのは、なんでだろう?
最後の章で出てくる、おふくさまとの密談。せつなくって、うるっときちゃう。
「文四郎さんの御子が私の子で、私の子供が文四郎さんの御子であるような道はなかったのでしょうか」
いきなり、お福さまがそう言った。(略)
「それが出来なかったことを、それがし、生涯の悔いとしております」
「ほんとうに?」
「・・・・・・」
「うれしい。でも、きっとこういうふうに終わるのですね。この世に悔いを持たぬ人などいないでしょうから。はかない世の中・・・・・・」