友人であり、元カレでもあるオノ。
小学校の頃から知っていた。
やっぱり彼も、同じクラスになることはなかったけど近くにいた。
中学生になった頃、男女4人で交換日記をしていたことがある。
それぞれ別のクラスなのに。
中学生の頃の悪い仲間の中に時々いたくせに、高校は地元で一番の進学校へ。
今思えば、(友達としてではなく)勉強の邪魔をしに行っていたんだと反省する。
当時流行っていた爆風スランプの『ひどく暑かった日のラブソング』を歌うだけのためにオノん家に行っていた。
6~7人で「はーしーっててもっ♪」とジャンプしながら歌ったっけ。
歌い終わった後は、何事もなく全員帰宅。
きっとオノは母ちゃんからひどく怒られたに違いなく。
そんなオノが彼氏というポジションになったのはたった1週間。
勢いで付き合ったが、一瞬で私の恋心を散らした。
ある日、起きた事故。
思い出しただけでも痛々しい。
私はオノが運転する自転車の後に座っていた。
現在は厳重に取り締まわれている二人乗りだ。
自宅へ送ってもらっている途中、工事用の看板があった。
オノは自転車のハンドルの幅しか頭にない。
そう、看板を通り過ぎる時に自転車の幅より出ていた私の足に看板が当たった。
転倒防止のために、脚におもりが乗っていた看板をも倒す力でぶつかったのだ。
膝の側面に赤紫色の楕円形のアザを私にくれたのだ。
しばらく痛くて動けなかった。
サヨナラ、オノ。
今、どこで何をしているんだろう。
中学生の頃の友人、ユウコ。
同じ小学校でもなく、中学3年間同じクラスにもなることの無かったユウコ。
なのにあの3年間、ユウコはいつもそばにいた。
趣味・嗜好とも共通点がなかったユウコ。
どのように知り合って遊ぶようになったのかは不明。
どちらかと言えば、悪い仲間だったのかもしれない。
私には「いい仲間」と「悪い仲間が」いる。
解説しよう
*いい仲間・・・クラスでもトップクラスの頭脳を持つイイコチャン
主に、委員会や部活を共通している同級生。
親にも紹介できる。
*悪い仲間・・・同じクラスではないが、休み時間になると廊下で集会。
未成年には必要のない大人の時間を共有。
おおっぴらには公表できない。
その「悪い仲間」の中にユウコはいた。
そんなユウコは蔵に住んでいる。
自宅の離れにある蔵を改造し、そこで寝起きし勉強していた。
ある日、ユウコの蔵に招待された。
そこで見たもの。
【うしろの百太郎】ほかホラー漫画満載の本棚。
この薄暗い蔵で、このホラー漫画を読んでいるのか。
こちとら表紙を見ただけでも目を覆いたくなるほどなのに。
そして私を一番に虜にさせた青いヤツ。
ドラえもん
彼の口の下は非常に汚れており、それはポケットまで伸びている。
ユウコに「なぜこんなことになっているのか」問いただした。
「ご飯、食べさせたかったんだ」
なんてかわいい子なんだろう。
思わず抱きしめたくなった。
秋、そろそろ山のてっぺんが白くなるだろう季節…
ユウコとふたり、近所を散歩をしていた。
そのあたりではあまり珍しくないが、牛小屋を発見。
今思えばあれが世の中の舌を震撼させている
『米沢牛』だったのだ。
近寄っていくユウコと私。
そこに現れたのは一人のヨレたじいさん。
ユウコは話しかけた。
「かじる?」
じいさんは答えた。
「牛には奥歯しかないから、手を置くに突っ込まない限り大丈夫」と。
そ う だ っ た ん だ !
中学を卒業し、それぞれ違う高校を選び進学した。
卒業した後も交流は続いた。
仲間(悪いほう)の家の近くで泣いている男の子を発見。
「どうしたんだ?」と声をかけると
「ネコを拾ったがお母さんが飼う事を許してくれず、どうしていいのかわからない」
ということだった。
仕方なく、預かることにした。
が、実は当時住んでいた自宅は賃貸。
当然飼えるわけでもなく、『ねこ』と命名しユウコに託した。
その頃、ユウコはペットを飼っていた。
見せてもらおうと蔵へ。
クローゼットから出てきた小さなペット。
ミドリガメ 名前は亀ちゃん。
しばらくして様子を見に行った。
そこにいたのはかわいらしさの欠片もないデブネコが1頭。
どんな手段を使うとこれだけ太れるのか。
亀ちゃんは夏でもクローゼットの中で生活をしていたため、
暑さに負けて天国へ旅立ったそうだ。
あれから20年、ユウコとは会っていない。
今どこで何をしているんだろう。