
夕方頬づえ 中札内村 '11.6.10 ~ 十勝 夏慕情 ~ by 青い翼さん
その日、
梅雨のしぐれから飛び立って、一路北へ向かう空の旅は、
白銀と青の輝く 遥か雲の旅となりました。
の前に、東へ向かう旅の空。
蒸暑さと水冷えを同時に感じる 6月の雨を追い越して、
飛行機は、総てを地上においていってくれる はずだったのに、行けど 飛べど 窓に飛び散る水蒸の嵐。
やがて、時間も動きも止まり モノトーンの世界で 白灰に煙ってしまいました。
時おり、途切れる雲間にのぞく地界のジオラマが、空にいることを思い出させてくれます。
ため息をつくのをやめ、座席に深く座りなおして、JALの機内誌を手にすると、
表紙に 「十勝 北の大地の言葉」という特集文字がありました。
北海道の夏は 爆発的に 命が増えます
帯広周辺の 森と平原 緑の実りと食材 人と動物の触れ合い
大きな自然の厳しさと恵みに活かされる 生き物たち。
人も然り。
コンサートの息吹が、
私をいざなってくれてるようで、少し嬉しくなりました。
羽田で乗り換えたら、朝が苦手で 4時半起きの私は、まどろむために目をつむって 暫し ・・ 。
思い出した 始発 特急列車の窓の外。
空に 薄紅の月ひとり 朧に灯っておりました。
・・ と、気がついて 外を見れば、眼下に 白銀隆々輝く 雲の大巨魁。
海の底から、地の果てから湧き起こった八百万の白凄が、まるで 意思を持って立ち昇るかのようです。
さらに、光に霞む青が なお我れ高く 天海にたなびいておりました。
やがて近づく、北海の大地。
縦横に真っ直ぐ伸びる道の 行く末。
寄り添う幾条もの 新緑の防風林。
点在する牧畜サイロと 大農場。
the 北海道
正に 想い描いてきた風景が広がっていきました。
☆ 夢の出逢い ~
滑走路脇には、白い花びらの緑草が一面に咲いておりました。
何という名前なのでしょう。

飛行機から降りて、到着ロビーへ足を踏み入れると、札幌から来られたお仲間が、出迎えてくださいました。
青いポロシャツだったので、すぐ分かったとか。
昨年の多摩パルテノン以来の再会に、嬉しく 有難く ごあいさつをして、これからの頬づえ道草に胸が高鳴ります。
ちょっと失礼してトイレへ行って 出てみたら、お仲間が
来てる
て、
えっ
て
前を見たら、目の前の円陣の正面に 窈ちゃんが!
こちら向き。
彼女は、白の旅行ケースとアイボリーバックを傍らに置いています。
短い髪を後ろで束ね、茶色の帽子をかぶり、紫群青のワンピースのお姿です。
哲郎さんの背中 紗衣さんの横顔 カースケさん? & 事務所のかなちゃんも。
こんにちは
コンサートに来ました
話しかけると、彼女は驚いたように顔を上げて 私に目をパチリ。
愛媛と札幌から来ました
お仲間も声をかけることが出来ました。
頷いた窈ちゃんと一行は、おもむろに出口へ向かわれ、
紗衣さんは、歩きながら にっこり 私たちに振り向いてくれました♪
と いうことは、羽田から一緒の飛行機に乗ってたということ。
私の少し後に、到着ロビーへ出て来られたんだとか。
何という天啓でしょう。
私たちも負けずに出発です。
空港レンタカーに荷物を積んだら、先ずは 花畑牧場への道を南下します。

途中、コンサート会場の 中札内村文化創造センターへ下見に立ち寄りました。

外には、千葉ナンバーのトラックが2台♪
もう 機材は、運び込まれたようです。

玄関ロビーに入ると、私たちだけの靴音が響きます。
左奥のホールロビーに入る大扉は閉じられていましたが、中でグッズ販売の準備をされていました。
係りの方に販売開始時間を尋ねると、午後4時からだとか。
白い館内と木々の若葉の明るさに、清々とした生吹を感じつつ、
カーナビとお仲間の道案内で、再び車で 広い 々 道を走ります。
風 ・・・・
緑 ・・・・
大地 ・・・・
機内から見た風景が、水平に何処までも続いていきます。

訪れた花畑牧場は、平日のためか 閑散としていましたが、
チーズやキャラメル菓子の製造工程を見学することができました。
売店軒で、ラスクを土産に買って、バニラソフトクリームを頬張りました。
コクがあって、甘すぎない 香り豊かなクリームです。
昼食はどうしましょう。
食事軒は営業していないようだったので、コンサートホールへの戻り道を右に入った森林コテージのレストランへ入りました。

別荘地の一軒家の風情です。
そして、豚肉丼を洋風にしたような料理をいただきながら、互いの近況の花を咲かせることができました。
壁に掛かったアンティークな地図模様に、今日の想いを重ね
過ぎていく 一つ ひとつの貴重な時間を惜しみつつ、ごちそうさま。
の後は、北の聖隷と窈ちゃんの待つ、晴れのホールへと向かいました。
☆ 夢の正夢 ~
ホール玄関ロビーには、他にお二人が。
ほどなくグッズ販売が始まったので、一番乗りで コーナーへ。
ひとしきり、HPのネット販売に申し込んでいたのですが、うめしそのり と ツアーパンフを購入しました。

開場までは、まだ時間があります。
なので、館内廊下に佇むと、何処かから リハーサルの唄声と演奏の音がしてきます。

歩いていくと、奥中庭に面した回廊のテーブル席があります。

そのガラス越しの対角線、係りの方が扉番をされてる視聴覚室から、聴こえてくる曲は、話し声も入って 次々と。
時代
らぶれたぁ
うれしいこと
ホチキス
うんとしあわせ
etc ♪
・・・ 私たちだけの特等席となりました。
リハーサルの音が止んだ 開場30分前。
ブラインドが空いてる対面の控室1には、哲郎さんのじっと立ち、本番モードに入る横後ろ姿がありました。
さすがに、控室2の中は見えません。
私たちも、客席本番モードに突入しましょう。
ホールへの中扉の前には、うって変わって たくさんの人の列ができています。
嬉しくなりました。
先ずは座席に向かいます。
A列20~21番は、最前列の右端ちかくで、
ホール前方の席は、ひじ掛けパイプ椅子が並べられたものでした。
ステージ左右に来てくれる窈ちゃんなので、満足です。
辺りには、中国語の男性歌手のソウルバラードが流れています。
彼女が好きな デイビッド・タオさん? と思ったり、かなったり。
ステージ左右に、黒の大きなジャバラ箱スピーカー。
間には、幾つかの床スピーカー。
目の前で、大きく唸ってくれそうです。
客席への階段が左右に二つ付いた舞台には、
左からピアノ・キーボード、ベース、ドラムス、ギター類が並べられ、係りの方が点検されています。
真ん中にはパイプ高いすとペットボトルも準備されています。
おもちゃのピアノやラッパの蓄音機、シーソー遊びと 一青通りの街路灯。
無音を奏でる楽器たちの間からは、すでに小さな物語が始まっています。
見上げれば、客席側両壁にはオペラ席、
舞台から高天井の後方まで、皆んなの顔が分かる 程よい木の空間です。
後ろの年配女史の皆さまのお喋りも、浮き立つ気持ちに 花を添えてくれます。
晴宴 18時30分
淡々と過ぎて、照明がしぼられると 夢闇に白いライトが降り立ち、
舞台左袖に 心が募ります。
☆ 青の夢 ~
期待と甘い焦燥の空気の中から、
瀞々楚々と歩み出る 素足の女 ひとり 一青窈
カラフル肩紐に大柄の白いワンピース。
オレンジと翡翠色のイアリング。
目が一層印象的で、口元の紅もくっきりと 朱い花も咲いた彼女が、素足で舞台を立ち結びます。
続いて、紗衣さん。
明るいグレーのブラウスワンピースでピアノ席へ就くと、
逆光の蔭となったお顔が、神秘的です。
ニコリともせずに、窈ちゃんは 舞台の上を 探し物。
置かれたビデオカメラを手に取って、客席を覗いて いたずら娘。
の次は、私たちの心を指でなぞり 手を触れて、辿り着いたのは、白いおもちゃのグランドピアノ。
その前に 女の子座りした彼女が、 人差し指で ゆっくりと紡ぐ 響きの懐かしさ。
隣席のお仲間が、大きく頷きます。
青いライトに 瞳を上げて、
♪ うれしいこと ~
♪♪♪♪ ♪ ♪ ♪
あたしね ちゃんと考えてたんだよ
どうか きいて
あのね きいて
大好きなあなたの詩う姿
が うれしくて
唄うあなたに たくさんの幸せがあることが、嬉しくて。
おもちゃの調べは、紗衣さんのピアノへと昇華し、
窈ちゃんの声は、聴く人 一人ひとりの胸に 暖かな光を灯していきます。
時に顔を傾け、懐かしむように かみしめるように。
私たちを見やりながら
気づいてみたら
すごく 愛されてたよ
初曲を聴き終えて、何だかほっとした気持ちになった処へ、
男性3人が登場します。
楽器に向かうのではなく、それぞれにマイクを持って、二人の横に 五線譜となって並びます。
♪ うえを向いて歩こう ~ 坂本 九
オクターブの異なる 男声音階が 次々と発っせられ、アカペラの世界が広がっていきます。
重ねる彼女の素声
涙が こぼれないように
思い出す 春 の 日
一人ぼっ ちの 夜 ・・・
月影に 星かげに、この曲に託す彼女の気持ちが、ヒシと伝わってきます。
しょてっぱち の姿も、少しだけ描くことができました。
明日に向かって 照らされる舞台の光の中へ、
望春風の独唱とも違う、唯一無二の彼女がコーラスする声のハーモニア。
伝えたい という気持ちが、真っ直ぐに伝わってきます。
たらりらと、
歌い終えた合唱メンバーが、それぞれの楽器の位置に就いたなら、
君と僕の
♪ 夢なかば ~
はらりら
はじめてをとって なんどてをとって
君から好き になれ
窈ちゃんの詩創りの楽しさが、ひと目でわかる 花野駆け巡るかのような言葉たち。
うつつの次の瞬間、日本語の百里先を飛んで跳ねる 縦横夢心。
メンバーのフル演奏の♪に片足のせながら、
唄う彼女も ひらりら と、
衣の裾を左手でつまんで 左へ 右へ、ダンスのステップも軽やかに、大人の色香のしなやかさ。
私の気持ちも浮き立ちます。
舞台の右端に来てくれた時、目があって。
最前列の お仲間と私を見比べて、一層にっこりと見つめてくれました。
憶えていてくれたんでしょうか。
ふたり 夢 な か ば♪
照明が、ベージュのような淡い光に変わっていきながら、新しいページがめくられていきます。
柴犬を飼った彼女が巡る 物語
♪ 一思案 ~
舞台左の床スピーカーに腰かけた彼女。
紗衣さんのキーボードが、頬づえ時光を 淡く夕焼けに染めていきます。
の ごっこ遊び
言問橋で 落としてしまった娘
やっと やっとで沈丁花
うまれて よかった
只是藍々 是誰揺々
恋し家路までに 我思量
胸芯が震えるほどに、甘酸っぱさでいっぱいになった 電車の行き交う都会の風景。
舞台に座り、語りを歩き、そして ふっ 彼方を見やるその瞳には 素足の君の あわせ成れ。
彼女独特の芙悠感と、陽水さんのメロディの醸し出す浮遊感が この上なくマッチして、
その魅力を余すところなく解き放ってくれた 命曲です。
舞台中央、両足をそろえて マイクを右手、
正面を向いた彼女と客席、張りつめていた心が和む くもの糸が結ばれます。
みなさま こんばんは
中札内村に来ることができました
帯広空港からラーメンを食べて
途中の 幸福駅へ行ってきました
もう たくさんの願い事が貼られてあって
私も何か と思ったのですが
物議をかもすといけないと思って やめました
そこのおみやげ屋さんで こういうのを買いました
お父さんが喜びそうな耳かき
っていうやつです
右へ 左へ 舞台のメンバーにも、手にかざして見せてくれます。
女性の姿に彫られてあって けっこう 艶めかしくて
と、てらわず はにかまず、理知的な自然体で話すところが、何とも 窈ちゃんらしい魅力です。
小物を仕舞って、一呼吸
ツアーは 震災前から決まっていたのですが
3月11日以来 気持ちが鬱々として 何も考えられない気持ちになりました
2か月過ぎたころ
本屋さんで手にとった 谷川俊太郎さんの トロムソコラージュ という詩に励まされました
私は立ちどまらない
戦車は 森の木陰で 止まっているのがいい
錆びて 古びて ひっそりと
小鳥たちが その周りで さえずり 飛びまわっているのがいい
という言葉があって
前へ進む力をもらえました
立ち止まらないで わたしの出来ることを 積み重ねていければと 思いました
他人の哀しみに共鳴する彼女の心の肌は、かくも繊細で 強いものなのでしょう。
そして、彼女への光を絞り、青いライトに廻る水模様が浮かびます。
紗衣さんの 優しいピアノの
♪ かざぐるま ~
あれは 十四 五の
ほのか 照れ隠し
どこ吹いた風でした
左手は、手のひら上の 親指立てたぐう結び
詩情の高まりが転ずるごとに、左目つぶりのお顔に 哀愁がつのります。
僕と 沈むまで
きれいに泳げたのぉ
舞台中央の小さなテーブルに置かれた飲料ボトルを口にして、
左手 床にすわった窈ちゃん。
少しうつむき加減のうなじに、夜のとばりが降りると、
遠い星空の光が、彼女に降り注がれます。
誰かにいわれて 父に 逢いたくなる
よみうりランドの 観覧車を 憶えてる
郷愁をさそうメロディにのせて、私たちに 亡きご両親へ
そして 自身へむかって語りかけます。
♪ 大家 ~
故郷を出ようか
so she tear
墓 通ってみよか
男らしい娘の 美しい人生。
彼女の声の抑揚に ギターの弦が震え、私が彼女を知った頃 逢いたい窈ちゃんへの記憶を 呼び覚まします。
ライトも曲も転調し、彼女の根源的な孤独に発する 渇望の心象風景が浮かんできます。
なだらかに昇る ピアノに続いて
♪ 「ただいま」 ~
運命につねられた
赤い目の 私がいて
少しだけ 後ろ髪
ひかれてる幼き 夢
自分の真ん中でささやく
曲の後半部から、ピアノもベースも、ドラムスもギターも 音圧の個性を強め、
唄う彼女の真影とともに、
異次元から吹き透る風のように、舞台ホール全体を 群青に染め上げていきます。
「ただいま」 をうまく伝えたい
その日、
梅雨のしぐれから飛び立って、一路北へ向かう空の旅は、
白銀と青の輝く 遥か雲の旅となりました。
の前に、東へ向かう旅の空。
蒸暑さと水冷えを同時に感じる 6月の雨を追い越して、
飛行機は、総てを地上においていってくれる はずだったのに、行けど 飛べど 窓に飛び散る水蒸の嵐。
やがて、時間も動きも止まり モノトーンの世界で 白灰に煙ってしまいました。
時おり、途切れる雲間にのぞく地界のジオラマが、空にいることを思い出させてくれます。
ため息をつくのをやめ、座席に深く座りなおして、JALの機内誌を手にすると、
表紙に 「十勝 北の大地の言葉」という特集文字がありました。
北海道の夏は 爆発的に 命が増えます
帯広周辺の 森と平原 緑の実りと食材 人と動物の触れ合い
大きな自然の厳しさと恵みに活かされる 生き物たち。
人も然り。
コンサートの息吹が、
私をいざなってくれてるようで、少し嬉しくなりました。
羽田で乗り換えたら、朝が苦手で 4時半起きの私は、まどろむために目をつむって 暫し ・・ 。
思い出した 始発 特急列車の窓の外。
空に 薄紅の月ひとり 朧に灯っておりました。
・・ と、気がついて 外を見れば、眼下に 白銀隆々輝く 雲の大巨魁。
海の底から、地の果てから湧き起こった八百万の白凄が、まるで 意思を持って立ち昇るかのようです。
さらに、光に霞む青が なお我れ高く 天海にたなびいておりました。
やがて近づく、北海の大地。
縦横に真っ直ぐ伸びる道の 行く末。
寄り添う幾条もの 新緑の防風林。
点在する牧畜サイロと 大農場。
the 北海道
正に 想い描いてきた風景が広がっていきました。
☆ 夢の出逢い ~
滑走路脇には、白い花びらの緑草が一面に咲いておりました。
何という名前なのでしょう。

飛行機から降りて、到着ロビーへ足を踏み入れると、札幌から来られたお仲間が、出迎えてくださいました。
青いポロシャツだったので、すぐ分かったとか。
昨年の多摩パルテノン以来の再会に、嬉しく 有難く ごあいさつをして、これからの頬づえ道草に胸が高鳴ります。
ちょっと失礼してトイレへ行って 出てみたら、お仲間が
来てる
て、
えっ
て
前を見たら、目の前の円陣の正面に 窈ちゃんが!
こちら向き。
彼女は、白の旅行ケースとアイボリーバックを傍らに置いています。
短い髪を後ろで束ね、茶色の帽子をかぶり、紫群青のワンピースのお姿です。
哲郎さんの背中 紗衣さんの横顔 カースケさん? & 事務所のかなちゃんも。
こんにちは
コンサートに来ました
話しかけると、彼女は驚いたように顔を上げて 私に目をパチリ。
愛媛と札幌から来ました
お仲間も声をかけることが出来ました。
頷いた窈ちゃんと一行は、おもむろに出口へ向かわれ、
紗衣さんは、歩きながら にっこり 私たちに振り向いてくれました♪
と いうことは、羽田から一緒の飛行機に乗ってたということ。
私の少し後に、到着ロビーへ出て来られたんだとか。
何という天啓でしょう。
私たちも負けずに出発です。
空港レンタカーに荷物を積んだら、先ずは 花畑牧場への道を南下します。

途中、コンサート会場の 中札内村文化創造センターへ下見に立ち寄りました。

外には、千葉ナンバーのトラックが2台♪
もう 機材は、運び込まれたようです。

玄関ロビーに入ると、私たちだけの靴音が響きます。
左奥のホールロビーに入る大扉は閉じられていましたが、中でグッズ販売の準備をされていました。
係りの方に販売開始時間を尋ねると、午後4時からだとか。
白い館内と木々の若葉の明るさに、清々とした生吹を感じつつ、
カーナビとお仲間の道案内で、再び車で 広い 々 道を走ります。
風 ・・・・
緑 ・・・・
大地 ・・・・
機内から見た風景が、水平に何処までも続いていきます。

訪れた花畑牧場は、平日のためか 閑散としていましたが、
チーズやキャラメル菓子の製造工程を見学することができました。
売店軒で、ラスクを土産に買って、バニラソフトクリームを頬張りました。
コクがあって、甘すぎない 香り豊かなクリームです。
昼食はどうしましょう。
食事軒は営業していないようだったので、コンサートホールへの戻り道を右に入った森林コテージのレストランへ入りました。

別荘地の一軒家の風情です。
そして、豚肉丼を洋風にしたような料理をいただきながら、互いの近況の花を咲かせることができました。
壁に掛かったアンティークな地図模様に、今日の想いを重ね
過ぎていく 一つ ひとつの貴重な時間を惜しみつつ、ごちそうさま。
の後は、北の聖隷と窈ちゃんの待つ、晴れのホールへと向かいました。
☆ 夢の正夢 ~
ホール玄関ロビーには、他にお二人が。
ほどなくグッズ販売が始まったので、一番乗りで コーナーへ。
ひとしきり、HPのネット販売に申し込んでいたのですが、うめしそのり と ツアーパンフを購入しました。

開場までは、まだ時間があります。
なので、館内廊下に佇むと、何処かから リハーサルの唄声と演奏の音がしてきます。

歩いていくと、奥中庭に面した回廊のテーブル席があります。

そのガラス越しの対角線、係りの方が扉番をされてる視聴覚室から、聴こえてくる曲は、話し声も入って 次々と。
時代
らぶれたぁ
うれしいこと
ホチキス
うんとしあわせ
etc ♪
・・・ 私たちだけの特等席となりました。
リハーサルの音が止んだ 開場30分前。
ブラインドが空いてる対面の控室1には、哲郎さんのじっと立ち、本番モードに入る横後ろ姿がありました。
さすがに、控室2の中は見えません。
私たちも、客席本番モードに突入しましょう。
ホールへの中扉の前には、うって変わって たくさんの人の列ができています。
嬉しくなりました。
先ずは座席に向かいます。
A列20~21番は、最前列の右端ちかくで、
ホール前方の席は、ひじ掛けパイプ椅子が並べられたものでした。
ステージ左右に来てくれる窈ちゃんなので、満足です。
辺りには、中国語の男性歌手のソウルバラードが流れています。
彼女が好きな デイビッド・タオさん? と思ったり、かなったり。
ステージ左右に、黒の大きなジャバラ箱スピーカー。
間には、幾つかの床スピーカー。
目の前で、大きく唸ってくれそうです。
客席への階段が左右に二つ付いた舞台には、
左からピアノ・キーボード、ベース、ドラムス、ギター類が並べられ、係りの方が点検されています。
真ん中にはパイプ高いすとペットボトルも準備されています。
おもちゃのピアノやラッパの蓄音機、シーソー遊びと 一青通りの街路灯。
無音を奏でる楽器たちの間からは、すでに小さな物語が始まっています。
見上げれば、客席側両壁にはオペラ席、
舞台から高天井の後方まで、皆んなの顔が分かる 程よい木の空間です。
後ろの年配女史の皆さまのお喋りも、浮き立つ気持ちに 花を添えてくれます。
晴宴 18時30分
淡々と過ぎて、照明がしぼられると 夢闇に白いライトが降り立ち、
舞台左袖に 心が募ります。
☆ 青の夢 ~
期待と甘い焦燥の空気の中から、
瀞々楚々と歩み出る 素足の女 ひとり 一青窈
カラフル肩紐に大柄の白いワンピース。
オレンジと翡翠色のイアリング。
目が一層印象的で、口元の紅もくっきりと 朱い花も咲いた彼女が、素足で舞台を立ち結びます。
続いて、紗衣さん。
明るいグレーのブラウスワンピースでピアノ席へ就くと、
逆光の蔭となったお顔が、神秘的です。
ニコリともせずに、窈ちゃんは 舞台の上を 探し物。
置かれたビデオカメラを手に取って、客席を覗いて いたずら娘。
の次は、私たちの心を指でなぞり 手を触れて、辿り着いたのは、白いおもちゃのグランドピアノ。
その前に 女の子座りした彼女が、 人差し指で ゆっくりと紡ぐ 響きの懐かしさ。
隣席のお仲間が、大きく頷きます。
青いライトに 瞳を上げて、
♪ うれしいこと ~
♪♪♪♪ ♪ ♪ ♪
あたしね ちゃんと考えてたんだよ
どうか きいて
あのね きいて
大好きなあなたの詩う姿
が うれしくて
唄うあなたに たくさんの幸せがあることが、嬉しくて。
おもちゃの調べは、紗衣さんのピアノへと昇華し、
窈ちゃんの声は、聴く人 一人ひとりの胸に 暖かな光を灯していきます。
時に顔を傾け、懐かしむように かみしめるように。
私たちを見やりながら
気づいてみたら
すごく 愛されてたよ
初曲を聴き終えて、何だかほっとした気持ちになった処へ、
男性3人が登場します。
楽器に向かうのではなく、それぞれにマイクを持って、二人の横に 五線譜となって並びます。
♪ うえを向いて歩こう ~ 坂本 九
オクターブの異なる 男声音階が 次々と発っせられ、アカペラの世界が広がっていきます。
重ねる彼女の素声
涙が こぼれないように
思い出す 春 の 日
一人ぼっ ちの 夜 ・・・
月影に 星かげに、この曲に託す彼女の気持ちが、ヒシと伝わってきます。
しょてっぱち の姿も、少しだけ描くことができました。
明日に向かって 照らされる舞台の光の中へ、
望春風の独唱とも違う、唯一無二の彼女がコーラスする声のハーモニア。
伝えたい という気持ちが、真っ直ぐに伝わってきます。
たらりらと、
歌い終えた合唱メンバーが、それぞれの楽器の位置に就いたなら、
君と僕の
♪ 夢なかば ~
はらりら
はじめてをとって なんどてをとって
君から好き になれ
窈ちゃんの詩創りの楽しさが、ひと目でわかる 花野駆け巡るかのような言葉たち。
うつつの次の瞬間、日本語の百里先を飛んで跳ねる 縦横夢心。
メンバーのフル演奏の♪に片足のせながら、
唄う彼女も ひらりら と、
衣の裾を左手でつまんで 左へ 右へ、ダンスのステップも軽やかに、大人の色香のしなやかさ。
私の気持ちも浮き立ちます。
舞台の右端に来てくれた時、目があって。
最前列の お仲間と私を見比べて、一層にっこりと見つめてくれました。
憶えていてくれたんでしょうか。
ふたり 夢 な か ば♪
照明が、ベージュのような淡い光に変わっていきながら、新しいページがめくられていきます。
柴犬を飼った彼女が巡る 物語
♪ 一思案 ~
舞台左の床スピーカーに腰かけた彼女。
紗衣さんのキーボードが、頬づえ時光を 淡く夕焼けに染めていきます。
の ごっこ遊び
言問橋で 落としてしまった娘
やっと やっとで沈丁花
うまれて よかった
只是藍々 是誰揺々
恋し家路までに 我思量
胸芯が震えるほどに、甘酸っぱさでいっぱいになった 電車の行き交う都会の風景。
舞台に座り、語りを歩き、そして ふっ 彼方を見やるその瞳には 素足の君の あわせ成れ。
彼女独特の芙悠感と、陽水さんのメロディの醸し出す浮遊感が この上なくマッチして、
その魅力を余すところなく解き放ってくれた 命曲です。
舞台中央、両足をそろえて マイクを右手、
正面を向いた彼女と客席、張りつめていた心が和む くもの糸が結ばれます。
みなさま こんばんは
中札内村に来ることができました
帯広空港からラーメンを食べて
途中の 幸福駅へ行ってきました
もう たくさんの願い事が貼られてあって
私も何か と思ったのですが
物議をかもすといけないと思って やめました
そこのおみやげ屋さんで こういうのを買いました
お父さんが喜びそうな耳かき
っていうやつです
右へ 左へ 舞台のメンバーにも、手にかざして見せてくれます。
女性の姿に彫られてあって けっこう 艶めかしくて
と、てらわず はにかまず、理知的な自然体で話すところが、何とも 窈ちゃんらしい魅力です。
小物を仕舞って、一呼吸
ツアーは 震災前から決まっていたのですが
3月11日以来 気持ちが鬱々として 何も考えられない気持ちになりました
2か月過ぎたころ
本屋さんで手にとった 谷川俊太郎さんの トロムソコラージュ という詩に励まされました
私は立ちどまらない
戦車は 森の木陰で 止まっているのがいい
錆びて 古びて ひっそりと
小鳥たちが その周りで さえずり 飛びまわっているのがいい
という言葉があって
前へ進む力をもらえました
立ち止まらないで わたしの出来ることを 積み重ねていければと 思いました
他人の哀しみに共鳴する彼女の心の肌は、かくも繊細で 強いものなのでしょう。
そして、彼女への光を絞り、青いライトに廻る水模様が浮かびます。
紗衣さんの 優しいピアノの
♪ かざぐるま ~
あれは 十四 五の
ほのか 照れ隠し
どこ吹いた風でした
左手は、手のひら上の 親指立てたぐう結び
詩情の高まりが転ずるごとに、左目つぶりのお顔に 哀愁がつのります。
僕と 沈むまで
きれいに泳げたのぉ
舞台中央の小さなテーブルに置かれた飲料ボトルを口にして、
左手 床にすわった窈ちゃん。
少しうつむき加減のうなじに、夜のとばりが降りると、
遠い星空の光が、彼女に降り注がれます。
誰かにいわれて 父に 逢いたくなる
よみうりランドの 観覧車を 憶えてる
郷愁をさそうメロディにのせて、私たちに 亡きご両親へ
そして 自身へむかって語りかけます。
♪ 大家 ~
故郷を出ようか
so she tear
墓 通ってみよか
男らしい娘の 美しい人生。
彼女の声の抑揚に ギターの弦が震え、私が彼女を知った頃 逢いたい窈ちゃんへの記憶を 呼び覚まします。
ライトも曲も転調し、彼女の根源的な孤独に発する 渇望の心象風景が浮かんできます。
なだらかに昇る ピアノに続いて
♪ 「ただいま」 ~
運命につねられた
赤い目の 私がいて
少しだけ 後ろ髪
ひかれてる幼き 夢
自分の真ん中でささやく
曲の後半部から、ピアノもベースも、ドラムスもギターも 音圧の個性を強め、
唄う彼女の真影とともに、
異次元から吹き透る風のように、舞台ホール全体を 群青に染め上げていきます。
「ただいま」 をうまく伝えたい