5月21日:謡曲に思うこと
最近お弟子さんに「鵜飼」の稽古をしていて思います。
前段では禁漁の地で漁をする自分の姿があらわになる為、月の光を厭う鵜使いですが、
後段では地獄に落ちることを免れた象徴として、月が煌々と照らします。
暗闇を灯す松明の火、山之端を出た月の光、千里の先まで照らす月の光と
この曲の景色として、闇と光があると思います。 永島 充
5月15日:謡曲に思うこと
最近「頼政」をお弟子さんに稽古していましています。老境に至って権力に反旗を翻した武士の物語として、興味深い作品です。
最後は戦に敗れて自害しますが、悲壮感ばかりが伝わってくるわけではありません。
物語を語り始める頃は、初夏の緑鮮やかな景色が背景にあります。
そのうち月が出、山も川も朧として幻想的な景色が広がります。
在りし日の姿で戦物語をする段では、負け戦ながら敵方の見事な渡河の有様を語りつつ、川に流される武士たちの鎧の様々な色合いで川が錦のように見える様などを語ります。
能では装束の上で、年を重ねると色無しという、鮮やかな色を避ける方法をとりますが、物語の中ではあえて色鮮やかに描こうとする意図もあるように思えます。 永島 充
1月11日:「翁」を勤めさせて頂きました
昨日観世九皐会に於きまして、「翁」を勤めさせて頂きました。
様々な方に御支援を頂き、無事勤める事が出来ました。心より感謝申し上げます。
コロナ禍の中、勤める事に不安はありましたが、舞台上ではその時々に集中して勤める事が出来ました。
大変おこがましい申しようですが、一年の平穏に繋がる「翁」であれば良いと思います。
本当にありがとうございました。 永島 充