有能なスタッフを求める歯科医院経営者たちへ

スタッフが長続きしない トラブルが多い 優秀なスタッフがほしい・・・そんな経営者のためのブログ

宝の持ち腐れ?

2006年09月14日 | 優秀なスタッフを求めるなら
今回紹介するのは、院長と女性スタッフ2人の3人だけの小規模医院。
患者さんに緊張感を持たせないよう、フレンドリーな対応が売りの医院だった。
スタッフの名札には、名前と顔写真だけでなく、愛称まであり、小児患者からも親しまれていた。
この医院は3人が3人とも、スキルの差がありすぎた。
院長は、かなりの自信家に見えた。しかし、医者として上からものを言うような言動にまったく自覚がない。
専門用語は多いし、患者を待たせて携帯で電話などしている。
急ぎの用事もあるかもしれないが、患者側からしてみれば、不愉快この上ない。
この医院の受付スタッフは、笑顔もよく、雑談で患者の心を穏やかにしてくれる優しい女性だった。
しかし、診療室からの呼びかけに対する反応がかなり鈍かった。
待合室にいてさえ聞こえる院長の声に、なかなか返事をしない。
この状態では、こちら側にも院長との不和が嫌でも伝わってくる。
診療室で、一見助手かと思ったのは、この医院の歯科衛生士だった。
助手だと思った理由は、アシスタント技術が素晴らしかったからである。
自分が別の仕事をしているときでも、院長の動きを常に伺い、次々と器具の準備をし、アシストが必要なときには先回りして準備していた。
また、器具の後片付けやチェアーの清掃も進んで行う。
診察の合間に、話しかけてみると、丁寧な言葉遣いで心地よいテンポで話題が豊富である。20代半ばの年相応で慇懃無礼にならない所作に思わず感嘆した。
聞いてみると、歯科で働きながらホテルスタッフのサービスセミナーに参加しているという。それだけに留まらず、短期ながら秘書セミナーも受けた経験があり、近頃ではマーケティングの初歩を学んでいるという。
失礼ながら、この医院で働くにはもったいないと思わずにはいられなかった。
なぜそこまで自分を磨いているのかと思い切って聞いてみた。返ってきた言葉にあきれた。
「院長に言葉遣いがなってない上、上司に対して失礼な態度だと注意されたから」
と彼女は答えたのである。
年若く、経験が浅い社会人であれば、そんなこともあるだろうが、果たしてそれを克服するためにここまで努力できるスタッフがいるだろうか。
先ほどあきれた、と述べたが、それは彼女に対してではなく、院長に対してだった。
スタッフに注意するのは大変重要なことである。しかし、我が身を振り返れない人間が他人を叱るのはどうかと思う。
残念ながら、上に立つ人間ほど、自分が見えていないので、この院長のような上司は世の中に非常に多いのであるが・・・。
恐らく、この院長は自分が手にしている宝に気付いてはいないのであろう。
彼女の働き振りを当然のように思っているのが伝わってくる高慢な態度だった。