にざかな酒店

ブラッディスト二章三話

さらに進みます。展開はやいはやーい。
しかしエルスの扱いがどんどん、ひど…。(略)
そういえば、なまこさんは(ロマンス小説に)「ドアマットヒーローはおらんのか!?」といっておりましたね。うーん。どうだろう。

起きてみると、どこからか甘い香りがただよってきた。
どこか科学的なにおいだ。
これは―――芳香剤。
その時点で、俺はことの重大さを認識した。
これは、俺の狼の鼻を駄目にするため、だ。

「ロッド!ロッド起きろ、エルムがいない!」
どんどん、と扉を叩く。
もしや彼もいないのかと思いきや、いた。
「なんだ…俺は朝弱いんだ。静かにしろ」
まだ夢の中の口調だが、もういい時間だぞ、おい。
「エルムがいないんだって」
「焦ることはないだろ。行き先はわかってるんだ。」
がちゃり、とドアが開いた。
「行き先―――ってやっぱり」
「マゼンダのところだろう。こんな事もあると思って、渡すものは渡しておいた。」
渡すもの?って…。
しばらく考える、と答えは
「例の弾丸だ。」
こんな無為な戦いを、彼女はまだ続けるつもりなのだ。
「眠い…」
「眠いじゃないだろ!もう十時だぞ、じゃなくって、道知ってるんだろ、教えろよ」
教えろよのあたり自分でも口調おかしいと思ったけどやっぱりロッドはかちん、ときたようだった。
「お前に教える義務はあるか?」
「エルムをほっとく気かよ」
「…お前は、本当にこの話の終わりがみたいか?」
「だからやめろよ、そうやって脅すの」
「まあいい。教えてやろう。ちょっと待っとけ」
ロッドのこの態度はもしかしてわざとかも知れない。
だが、しかしこの状態ではロッドを頼るしかない。

一方、エルムはマゼンダの所有する屋敷を目指していた。
「まったくもう、相変わらず、トラップばっかり…」
なれたものですいすいと流しながら歩いていく。
すると、木にくくりつけられたテレビにマゼンダの顔が映った。
エルムと同じ紅の瞳だがそこに宿る妖しさがあきらかに違う。
美しいが、毒々しくもある外見だった。
「やっと来たわね。この一件、長引くとあなたも嫌だと思って、プレゼントを用意したわ。」
「プレゼント?」
どうせろくなものではないだろう、とエルム。
「しっかり育つ前の魔獣化したものを集めたの」
ろくなものではない、が、しかし…
エルムは内心ありがたかった。これ以上、何も考えなくてすむ。
これで全て、終わりだ。
「あなたはきっと勝つでしょう?」
マゼンダが挑発的に笑った。
「さすが、マゼンダね。話が早くて助かるわ」
何人いるのか知らないけど―――。
負ける要素は、ない。
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