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旧軍遺構や信号旗とその他雑記

 探索した旧軍遺構や各国海軍の信号旗について記していきます。
 

NATO信号旗

2022-03-11 01:34:07 | 信号旗

 全世界の船舶共通で使用される旗に「国際信号旗」があり、これは民間船、軍艦を問わず使用される。一方「NATO信号旗」(NATO Signal Flags)は主にNATO所属国の軍艦が使い、海上自衛隊も同様である。

 NATO信号旗は0~9まで計10枚の数字旗、第四代表旗(国際信号旗は第三まで)、その他17枚の様々な意味を持つ旗、計28枚で構成されている。

 「Squadron」「Flotilla」「Division」「Subdivision」の訳し方は、中々安定しない。海自では、護衛隊群を「Escort Flotilla」、護衛隊を「Escort DIvision」と呼称している。また、「Flotilla」は数個の「Squadron」で、「Squadron」は数個の「 DIvision」で構成されることがあり、「Squadron」を訳すなら戦隊という感じになる。戦隊を2つに分けたとき、旧海軍では小隊と称した。(海自では戦隊という語は使用されていない。)「Subdivision」は「Division」を更に小さく分ける時に使用と捉えてよいだろう。大きさ順に記せば、Flotilla>Squadron>Division>Subdivisionとなる。尚、上記の単語は、時代・国・陸海空軍の違いによって、適当な日本語訳が変わることがある。(例えば「DIvision」は、陸軍では師団という意味になる。)

 これらNATO信号旗は、「Allied Communcation Publication」(ACP)、「Allied Tactical Publication」(ATP) という信号書に基づいて使用されるが、その内容は公開されていない。(少なくとも日本語での情報は民間に無いと思われる。)

 

尚、先のNATO信号旗以外の通常の信号旗(国際信号旗)もNATO独自の意味で運用されるので、少し紹介したい。尚、1つのアルファベット旗に複数の意味が付与されているものもある。

例えば、

旗:見出し:状態:意味(/状態:意味)※原文は英語、ATPの''CHAPTER 2 Single Flags and Pennants''から。

A旗:潜水員か友軍の爆発物処理員が潜水中:全揚:潜水員か友軍の爆発物処理員が潜っている。この旗に続く数は人員が作業している半径を示す。この海域で他の艦は対機雷戦を行わず、立ち入らないこと。

B旗:武器使用の訓練:全揚:発射が開始された。/降下:発射完了。

   :危険物の移送中:半揚:一時的に移送が停止された。/全揚:燃料、爆発物又は可燃性物質の移送中。/降下:移送完了。

このA,Bは国際信号書の意味と類似しており、そこから派生したと考えられる。

F旗:航空機運用:半揚:風の他は航空機の運用準備良し。/全揚の後半揚:一時的に(約10分)航空機の運用が遅れている。/全揚:本艦は航空機を運用している。/降下:航空機の運用完了。 ※注:H旗は固定翼機とヘリコプターとが同時に運用する場合には揚げる必要は無い。

H旗:ヘリコプター運用:半揚:風の他はヘリコプターの運用準備良し。/全揚の後半揚:一時的に(約10分)ヘリコプターの運用が遅れている。/全揚:本艦はヘリコプターを運用している。/降下:ヘリコプターの運用完了。 ※注:F旗の注を参照。

このF旗は護衛艦「いずも」からF-35Bが発艦する時に揚げられていた(わざわざ掲揚する様子が動画に収められていたから海幕も狙っているのだろう。)と話題になった。H旗も、ヘリコプターの発着艦をする際によくみられる。

I旗:舷付け:半揚:貴艦に接舷する又はされる準備中。/全揚:貴艦に接舷する又はされる準備完了。※接舷する舷にI旗を掲げる。

U旗:入港:半揚:投錨する。/全揚:錨鎖が必要な長さ放出された。/降下:錨固定。

      :係留:半揚:投錨する。/全揚:錨は海中に浮遊中。/降下:錨固定。

      :出港:半揚:抜錨中。/全揚:抜錨。/降下:前進準備良し。

この二つは横須賀などの海自の基地がある港でもよく見られる。

 このようにアルファベット旗に独自の意味を持たせたものもあれば、アルファベットと数字旗を組み合わせたもっと細かい意味を持たせたものもある。この信号書はとても長い上に日本語情報が無いのでここに紹介したものは参考程度に見てもらいたい。そして興味を持った人が居れば、この信号書を日本語に翻訳して下さい...。



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