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Une rose violette

葡萄染



わすれものを
替わりに届け出た午後

どこまでもつづく
長い朽葉の絨毯の上を
かさかさと音をたてながら
自転車はすすむ

傾斜のある坂道へきて
自転車を降り
押しがけをする

息をきらして
辿り着いた先に
長い長い下り坂が待つ




この坂道を何度
往き来してきただろう?


無機質な住宅街が何処までもつづく
この坂道をゆく度
なにか大切なものを
わすれてきてしまった様な気分を
いつも感じながら
ずっともどかしさの中にいた
けれど昨日
助手席でその答えを見つけた

それは決して
わかってもらおうとか
聞いてもらおうとかじゃなくて
言葉に変換できずにいた
素直な心の内訳だった


寒さが緩みはじめた
春の気配も好きだけど
手先が悴みはじめる
秋の夕映えも嫌いじゃない

ポケットから取り出し
葡萄染の秋を映す

それは
季節を感じられる色であり
時間がつくりだした曲線美だった



帰り道
おなじ道をのぼり
そしてまたくだる

わすれものを届け出た午後
わすれない気持ちで
ペダルを踏み込むわたしがいた
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