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日本で再生可能エネルギー法はうまくいくのか


約3年前に放送されたNHKスペシャル。
ドイツの低炭素社会実現に向けた再生可能エネルギー利用に関する映像を見ました。
この頃の日本では、温暖化対策とやみくもに膨らみ続けるエネルギー需要の救世主は、疑いなく原発と考えられていました。
電力会社は自然由来の再生可能エネルギーを積極的に買おうとはせず、北海道電力では、ある種義務的に、予算内で抽選を行い、少しずつ買い取っているだけでした。
市民ファンドによる風力発電も、抽選に漏れるリスクを負ってまで発電できず、これでは再生可能エネルギーの割合は増えようもないという実態でした。

当時、原発を増やすまでの需要をまかなう主力は火力発電であり、製造業も、家庭も、自主的に一所懸命節電に取り組んでいましたが、大幅な温室効果ガス削減など、自主的努力だけでは数値になどなかなか表れない、そんな状況でした。

97年の温暖化防止京都会議で温室効果ガス削減目標値としたのは1990年比マイナス6%。
でも現状は2007年実績でプラス6%に増えていました。

ヨーロッパ各国の目標値は概ねマイナス8%でしたが、その頃すでにドイツは1990年比マイナス18%になっていました。
日本と何が違っていたのでしょう。

すべての経済活動をする人・企業への環境税負担の導入が1999年。
再生エネルギー法による電力会社の高額全量買い取り制度導入が2000年。

そして約10年後の2011年、福島第一原発の事故をきっかけに、国民投票で「脱原発」に向かうことを選択しました。

もっと背景を探れば、25年前1986年のチェルノブイリ原発事故によって、ドイツ南部では今も高濃度のセシウム等放射性物質が検出される事実から離れられない現実があります。

日本でも2004年に具体的検討が開始された環境税。
でも、産業界の猛反対に遭い頓挫しました。

ドイツでも当初、産業界からは猛反発を受けましたが、環境税の1割を温暖化対策、9割を企業の年金負担分の減額にすることで理解を得、環境税をスタートさせました。
省エネを進めれば進めるほど環境税の負担額よりも年金負担金の補てん分が多くなるという仕組み。

日本の再生可能エネルギー買い取り法には、このような前段のしかけがありません。

5割は環境対策に使えるということで、経産省主導で始めてしまった石油石炭税は、国民すべてが省エネに動くことを意図した環境税とはまったく違う種類のものですが、これを導入したことで、産業界から「すでに石油石炭税があるじゃないか」ということで猛反発を受けました。


東日本大震災の被災状況と、福島第一原発の事故の深刻さ
原発再稼働が各地でストップ
原発以外のエネルギーに頼る=現状では火力発電を増やすしかない
省エネ、節電要請によって、非製造業の省エネ策、働き方の工夫、家庭の節電余地もまだまだあることがわかる

この省エネ・節電を継続させていくインセンティブは?

ドイツの環境税と社会保障費との組み合わせは、絶妙です。
ドイツは環境税導入後もGDPを伸ばし続けており、先進的な環境政策と経済成長は両立できるということを世界に示してきました。

日本にはもはや、徐々に、といったような助走期間は与えられておらず、早急に自然由来のエネルギーを増やすこと、買い取り、送電のしくみを整えていくこと、また、可能であれば高額になっても自然エネルギーを使いたいという企業や家庭への別途の供給は可能かどうか。など、詳細はこれから決まっていくことになります。

ただ、今後常に必要になるのは、すべてのセクターの経済活動が環境を配慮したものになることです。

日本には、その意識を深化させ、継続させていくためのインセンティブとなる制度がありません。
今は、「がんばろう日本」というスローガンがあるだけです。
再生可能エネルギー法と何らかの制度を設ける必要があると思います。



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