■このインタビュー記事の内容は、2004年に開催された東京ドームライブ、
『21st Century Boowys VS HIMURO』前に収録された過去のインタビューです。
世界的な東京ドームでのBOφWYトリビュート・ライブが近づいている。
チケットは5分で完売という事実が、期待の大きさを物語っているだろう。
"その日"を1ヵ月後に控え、氷室京介はロサンゼルスのスタジオで新曲のレコーディングを行っていた。
━━ レコーディングはいつ頃からやってるんですか?
「歌入れは1週間くらい前からですけどね。レコーディング自体は、1ヵ月くらい前からですが。
3曲録ってるんですけど、また3曲とも難しい曲を作ってしまったんで
時間がかかりそうという感じですね(笑)。
映画のタイアップがあったりしたんで、イメージ的に合うものを選んでみたんですけど」
━━ 映画のタイアップというのはいつ頃出てきた話だったんですか?
「日本のスタッフに曲を聴かせる段階の前から話は出てたんですね。
『ヴァン・ヘルシング』っていう映画自体は2ヵ月くらい前にこっちで公開されて
かなりすごい宣伝量でやっていて話題にもなって見に行ってたんで、
"話が来てるけどどうする?"っていう時はふたつ返事でした」
━━ 東京ドームの話の前に、少しさかのぼって、昨年のツアーはどんなふうに思い起こすんですか?
「結構、刺激的でしたよね。久しぶりだったせいもあるんでしょうけど。
まあ、いつも久しぶりですけどね。俺の場合。3年ぶりとか(笑)。
それと昔の曲をやったこともあるでしょうね。
『ROXY』とかもやりましたしBOφWY時代の曲もやってましたからね。新鮮でしたね」
━━ ファンの間には語りぐさになってますけど、(昨年の全国ツアーの)代々木の最終日で、
感極まって歌えなくなったあのシーンというのは、いまどういうふうに━━。
「あれはもう恥ずかしいですよ(笑)。
いま思っても恥ずかしいですから、思い出さないようにしてますけど。
パニクってましたからね。自分がコントロールできなくて。
ああいうことはあるんだなって自分でびっくりですよね。
他人のコンサートビデオとか見ていて、ああいうシーンが出てくると、
"よく言うよ"って思ったりしてたんですけど、まさか自分が(笑)」
━━ 去年の代々木のDVDは発売されるんですよね。あのシーンは入るんですか?
「入りますよ。もう『CLOUDY HEART』はあのアレンジ以外やらないでおこうと思ってますね。
あの形には勝てないですから」
━━ 永久保存版ですね。
「そう永久保存版ですよ。
こっちでエンジニアがミキシングしていてもあの場面になると毎回泣くんですよ、スタジオで。
俺はバツが悪くて悪くて(笑)。それってすごいですよね。俺が泣かしているんじゃなくて、
客が歌っているのが泣かせるんですよね。あれは万国共通ですね。
エンジニアがふたりいるんですけど、ふたりとも泣くんですから(笑)。
眼鏡はずして涙拭きながらやってるんですよ。
俺は幸せだと思いましたね。客席といいリレーションシップができたんで。
あれが俺の(ソロ活動の)15年間で一番幸せな場面ですよ」
━━ キャリアがあってもああいうシーンが起きるんだという。
「逆にキャリアがあるからでしょうね、あれは。
15年間、ほんとに勝手にこっちでやってるだけじゃないですか。
なのにあんなに人が集まってくれるということが、ツアーの最終日でもまだピンときてないんですよ。
その感じはきっとわからないと思うんですが。そこはうまく説明できないですけど、
こんなタイプのシンガーっていないと思うんですよ。勝手にやっていて、キチッと生き残れていて。
それは俺が優れているんじゃなくてファンが素晴らしいんだと思うんですね。
そこで感無量になったんですよ。ツアーが終わって、ファンの連中にまた会いたい、
すぐツアーをやりたい気持ちになったりしたことってあんまりなかったですからね」
━━ で、そういう昨年のツアーがあって今回の東京ドームがあるわけですが、
この話はいつ頃やろうと決めたんですか?
「ツアーが終わってからですけどね。
でも、それに関してはあんまり真面目に話ができるがどうか分からないんですけど。
ほんとに思いつきで悪ノリした部分に周りが乗ってきちゃって、
引くに引けないというところもあるんで(笑)。でも、楽しんでできればというのはありますけどね。
ソロになって最初のうちは必要以上にBOφWYに関して壁を作っていたじゃないですか」
━━ ですよね。
「で、そうやって15年間やってきたことと、
前回のツアーで、自分の中で壁が取っ払われた気がすごくするんですよ。
もちろんやってみないと分からないですけど、
きっといま、BOφWYの曲をやっても、決して媚びた形にはならないと思うんですよ。
ソロでやっている音楽がBOφWYとはまったく違いますからね」
━━ このトリビュートは昨年のツアーがあったからといってしまって良さそうですか。
「ですね。昨年のツアーが不満足に終わっていたらそうなってはいないでしょうけど。
ファンとのリレーションシップとか、いろいろな意味で、
もうやっても良いのかなと思ってこうなったんでしょうね。
氷室京介として15年間キチッとできたなと思えた。到達したということではなくてね。
タイトルもふざけて"VS"とかしてますけど、もう比べようがないですもんね。
ソロはまったく違うジャンルになってるし。嘘偽りなく、BOφWYに関してはあんまり興味ないんで。
いまが一番聴いているかもしれないですね。歌詞を覚えないといけないんで(笑)」
━━ 改めて聴くといろいろな感慨とかあるんじゃないですか?
「それなりに新鮮ですよね。すごいざっくりとしたことをやってますよね。若さゆえの。
それがその当時受け入れられたんだろうし。それと同じ事はできないと思うんですよ。いまは。
俺なりの解釈のBOφWYが演出できれば良いなと思いますね」
━━ ということは曲目はもう決まってるんですか?
「決まってますね。『ぴあ』のその※アンケートの結果を見せてもらったんですけど、
だいたい重なっているんで良かったなと思いますね」
━━ お、かぶってますか。
「もちろん全曲じゃないですけど、網羅はできてるかなと。
どちらかと言えば自分も楽しめて、見に来る人たちにも、"なんだったのあれ!?"とは言われたくない。
網羅できていると思います。逆に"VS氷室"と言ってる割には、
自分の曲が少なくなっちゃっているんですけど、でも1日だけのことですからね。
BOφWYの曲が多い方がショーとしては面白いと思いますけどね」
■2004年氷室インタビュー後編につづく
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※2004年当時のぴあ「ヒムロックに歌ってほしいBOφWYナンバー」アンケートランキング

■KYOSUKE HIMURO GIG at TOKYO DOME "We Are Down But Never Give Up!!"
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