めざすべき自然共生社会像(長期目標としての 2050年ビジョン)「『2050年までに、生物多様性が評価され、保全され、回復され、賢明に利用され、生態系サービスが維持され、健全な地球が維持され、全ての人々にとって不可欠な利益がもたらされる』自然と共生する社会」を実現します。
「生物多様性国家戦略2023-2030(~ネイチャーポジティブ実現に向けたロードマップ~)」・「生物多様性地域戦略」のめざす2050年以降の姿
持続可能な社会を構築するためには、自然が安定し、変化に対するしなやかさを保ち、将来にわたりその恵みを受けることができるよう、共生と循環に基づく自然の理に則った行動を選択することが重要であり、自然資本を次の世代に受け継ぐべき資産として捉え、その価値を的確に認識して、自然資本を守り持続可能に活用する社会に変革していくことが必要で、これらを通じて、自然の仕組みを基礎とする真に豊かな社会を構築します。
‣豊かな生物多様性に支えられた健全な生態系が確保された社会
‣自然を基盤としてその恵みを持続可能に利用する社会
‣生物多様性の主流化による変革がなされた社会
を実現します。
「生物多様性国家戦略2023-2030(~ネイチャーポジティブ(自然再興)実現に向けたロードマップ~)」の基本戦略は、「生物多様性に係る取組を支える基盤整備と国際連携」・「生活・消費活動における生物多様性の価値の認識と行動」・「 生態系の健全性の回復」・「自然を活用した社会課題の解決」・「ネイチャーポジティブ経済の実現」です。
里山、森林、河川、農地、都市、湖沼、里海、沿岸域、地下水盆などをつなぐ水循環は、国土における生態系ネットワークの重要な基軸であり、そのつながりが、在来生物の移動分散と適正な土砂動態を実現し、それによって栄養塩を含む健全な物質循環が保障され、沿岸域においてもプランクトンのみならず、固有の動植物の生息・生育・繁殖環境が維持されています。健全な水循環を維持し、人間活動に必要な水資源を持続的な方法で利用していき、適正な水量と水質の確保し、生物の良好な生息・生育・繁殖環境を確保し、さらに生態系の健全性を回復し、生物多様性の損失を止め、反転させ、生物多様性の状況を回復軌道に乗せていきます。生態系の健全性を回復し、生物多様性の損失を止め、反転させ、生物多様性の状況を回復軌道に乗せるための緊急な行動をとっていき、2050年までに、自然共生社会を構築していきます。
生物群集全体の保全に向けた場の保全・再生とネットワーク化をおこなっていきます。
それぞれの地域の生物多様性や生態系が、人と自然の関係も含めた地域の特性に応じて、地域ごとの知恵や技術も活かしつつ保全・再生され、次の世代に受け継がれるようにしていきます。
「30by30」 2030年までに、生物多様性の損失を止め、人と自然との結びつきを取り戻すために、陸と海の30%以上を「保護地域とそれ以外で生物多様性保全に資する地域(OECM:Other Effective area-based Conservation Measures)」とし、健全な生態系として効果的に保全し、劣化した生態系の再生などを推進し、自然資本を軸とした国土のストックとしての価値の向上の視点を踏まえ、国土全体にわたって普通種を含めた生物種の生息・生育・繁殖地の確保と連結性の向上を図っていきます。
生態系のレジリエンス(回復力)を高めていきます。地域の個体群をそれぞれに保全し、遺伝的な多様性も確保し、自然災害や気候変動などの様々な変化に対してレジリエントである健全な生態系を確保し、より豊かな生物多様性の基盤としていきます。種、とりわけ絶滅危惧種の絶滅を⾷い⽌めながら、種の回復と保全を行っていきます。
豊かな生態系を維持し回復させる社会経済活動を拡大していきます。
開発で失われる以上に、自然・生物多様性を増やしていきます。
野生生物の保全を進めていきます。
海洋と沿岸の生態系に関する重大な悪影響を回避するため、強靱性(レジリエンス)の強化などによる持続的な管理と保護を行い、健全で生産的な海洋を実現するため、海洋と沿岸の生態系の回復のための取組を行う。
水産環境を整備していきます。生態系全体の底上げを図ります。
・多自然川づくり、多自然河口・干潟・藻場・サンゴ礁・浅海づくり
・モリタニングによる統合的・順応的な取組
・水産生物の動態、生活史に対応した良好な生息環境空間の創出
・森里川海の物質循環の把握・正常化
・貧酸素水塊の消滅
・藻場・干潟の保全・造成、底質改善
・漁港等の構造物の有効活用
・沖合域における湧昇流漁場の整備
・ブルーカーボンの活用
豊かな生態系を育み水産資源の増大に必要不可欠な藻場・干潟の実効性のある効率的な保全・創造対策を推進するための基本的な考え方をとりまとめた「藻場・干潟ビジョン」が公開されています。
藻場・干潟の持続可能な保全体制の構築を促し、藻場・干潟のカーボンニュートラルへの貢献を推進していきます。
ブルーカーボン生態系は、平均して年間2~7%が失われている。この重要な生態系を維持するためにさらなる措置が講じられなければ、今後20年以内にほとんど失われてしまう可能性があると警告されています。(国連環境計画報告)
湿地、干潟、藻場を保全・再生することで、多様な生物が生息する環境が形成されるとともに、CO₂を光合成で吸収し炭素を貯留するブルーカーボン生態系の形成につながります。
湿地・干潟の重要性を認識します。
「生物多様性なごや戦略実行計画2030 ~ネイチャーポジティブの実現に向けて~」には、「重点的・優先的に取り組むべき事柄 重点方針1生物多様性に配慮したまちづくりの推進」に、「❾藤前干潟の保全」が、「重点方針2社会変革につながる取り組みの促進」に、「➋藤前干潟を通した人づくり」が掲げられています。
干潟を賢明に利用し、2030年までに、自然再興を実現していきます。
将来にわたり、「サンゴ礁生態系、高緯度サンゴ群集域、それに連続する砂浜や磯浜などの沿岸環境や隣接する藻場や砂泥底、干潟やマングローブ林などとの空間的なつながりと、そこに分布する生物群集それぞれとのつながり」が健全な状態で維持され、その恵みを享受できる自然と共生する社会の実現をめざして、「サンゴ礁生態系保全行動計画2022-2030」が策定されています。「SDGsアクションプラン等の関連する行動計画」・「海洋基本計画」・「昆明モントリオール生物多様性枠組・国連生態系回復の 10年・国連海洋科学の 10 年等の国際的動向」・「生物多様性国家戦略2023-2030(~ネイチャーポジティブ実現に向けたロードマップ~)・海洋生物多様性保全戦略」・「ネイチャーポジティブ経済移行戦略」・「気候変動適応計画」、サンゴ礁生態系を取り巻く状況も踏まえ、効率的かつ効果的な評価・見直しに努めます。
「利用可能な最良の科学的根拠に基づき、世界の海洋とその資源の保護・保全・再生・持続可能かつ公平な利用に関する世界的な取組を主導し、きれいで健全な生産的かつ回復力のある生態系を有する海洋の実現を図ります。」( G7気候・エネルギー・環境大臣会合コミュニケ)
きれいで、健全で回復力があり、生産的で、安全な海・森・里・川・湿地にしていきます。豊かな海・きれいな海・親しめる海にしていきます。
生態系を回復して、自然環境と人とのよりよい関係を構築していきます。
陸域と海域の利用・管理において、生物多様性への負荷を軽減していきます。
汚染の減少、投棄廃絶と有害な化学物質や物質の放出の最小化、未処理の排水の割合半減および再生利用と安全な再利用の世界的規模での大幅な増加させることにより、水質を改善していきます。
2030年までに水と衛生の利用可能性と持続可能な管理をすべての人に確保します。
2025年までに、海洋堆積物や富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減していきます。
生態系を回復して温暖化に対する緩和策・適応策を推進していきます。
炭素を隔離・貯蔵して気候変動影響に適応する自然の力を強めるようにします。
生物多様性の損失や生態系サービスの低下を軽減するために、温室効果ガス排出量の削減、生態系ネットワークの再生や気候変動に対する順応性の高い健全な生態系の保全と回復などを行います。
農業生産活動は、自然環境の保全などに大きく寄与する側面と環境に負荷を与える側面があることにかんがみ、生物多様性の保全、有機農業の推進、温室効果ガスの排出削減などにより、環境と調和のとれた食料システムの確立を図ります。
自然を活用した社会課題の解決(生物多様性国家基本戦略)
生物多様性が、国際社会が現在直面している開発上と社会的な緊急の課題に対する解決策を提供してくれます。
持続可能な社会に向けた意思決定に、自然の価値と自然を活用した社会課題の解決を組み込みます。健全な生態系を確保する基盤的・統合的アプローチである「30by30」の2030年目標を達成し、地域の環境・社会・経済の問題の同時解決につながる NbS(Nature based Solution)を進めます。生態系が多様な機能を発揮することにより、気候変動緩和のための吸収源の確保や災害リスクに対する強靱性(レジリエンス)の強化に加え、観光や農林水産業などを通じた地域の活性化、健康や福利など、直面する社会課題を解決していきます。自然環境を社会・経済・暮らし・文化の基盤として再認識し、自然の恵みを活かして気候変動緩和・適応、防災・減災、資源循環、地域経済の活性化、人獣共通感染症、健康などの多様な社会課題の解決につなげ、人間の幸福と生物多様性の両方に貢献する「自然を活用した解決策」(NbS)を進めていきます。
生態系が有する機能の可視化や、一層の活用を推進していきます。
環境・社会・経済の課題解決の基盤として、自然の多様な機能を、資本財(自然資本財)として取り入れ、社会資本整備やまちづくりなどに、その多様な機能を持続的に活用していきます(グリーンインフラ)。
森・里・川・海のつながりや地域の伝統文化の存続に配慮しつつ自然を活かした地域づくりを推進していきます。都市に関する持続可能な開発目標の達成には、「自然を活用した社会課題の解決」が費用対効果に優れ、地球規模での持続性に極めて重要です。
気候変動緩和・適応にも貢献する自然再生を推進するとともに、吸収源対策・温室効果ガス排出削減の観点から現状以上の生態系の保全と活用を進めていきます。
環境政策(自然再興・循環経済・脱炭素など)を統合的に実施し、相乗効果(シナジー)を発揮させ、経済社会の構造的な課題の解決にも結びつけていきます。気候変動対策と生物多様性保全のシナジーの強化を図ります。
沿岸生態系においてブルーカーボンの隔離・貯留機能を持つ藻場・干潟や、自然由来で炭素蓄積される湿地などの保全・再生を推進します。
再生可能エネルギー導入における生物多様性への配慮を推進していきます。
野生鳥獣との軋轢緩和に向けた取組を強化していきます。
「一条堤」浜松市沿岸域防潮堤
宮脇方式で木を植える「いのちの森づくり」は、地域の人々とともに植樹し、植樹する人々の心の中に、いのちを植え、 混植による自然林の再生をおこなうもので、 「自然を活用した社会課題の解決」で、防災力を強化し、自然再興に貢献します。
沿岸域の総合的な管理により、多様な関係者の参画により魅力ある自立的な地域を形成し、良好な環境の形成、安全の確保および多面的な利用の調和を図り、美しく安全で生き生きした姿の沿岸域を復元・創造して子孫に引き継いでいきます。
里海は、生態系の回復、生物多様性の維持・向上、沿岸域環境向上、土地劣化防止、資源循環、気候変動対策に貢献するとともに、災害リスクを低減する「グリーンインフラ」の役割を果たしていきます。
暮らしを守り、地域ににぎわいをつくる海辺の風景(「グリーンインフラ実践ガイド」から)
流域治水プロジェクト2.0 豊川水系流域治水プロジェクト2.0 ~日本の東西をつなぐ「交通の要衝」を水害から守る流域治水対策~
◎グリーンインフラの取り組み『下流域の多様な生物の生息環境の再生と環境学習による地域振興』
〇豊川河口域の減少した干潟を再生することにより、多様な生態系の回復を図るため、2028年度(令和10年度)までにアサリやハマグリ等の底生生物が生息できる河川環境の再生や、環境学習・自然体験の場の創出など、自然環境が有する多様な機能を活かすグリーンインフラの取組を推進する。
干潟を賢明に利用し、2030年までに、自然再興を実現していきます。
ハマグリ蛤 国ランク:絶滅危惧Ⅱ類 愛知県ランク:準絶滅危惧
種、とりわけ絶滅危惧種の絶滅を⾷い⽌めながら、種の回復と保全を行っていきます。
ハマグリは、三河湾からの資源でした。内田貝塚は、縄文時代後期中葉から晩期(約3000年前)の貝塚で、ハマグリばかりの貝層(2メートル余)で、窯跡もあり、かまゆで加工したハマグリを、中部高地(現在の長野県)などに出荷、交易していました。
農林水産業や事業者による原材料調達などの活動は、生物多様性への影響にも配慮した持続可能な方法で行われ、地域に固有の希少種の保護など生物多様性の保全の取組と両立する形で国内の自然資源の有効活用を進めます。
人間によって引き起こされる既知の絶滅危惧種の絶滅が阻止され、2050年までに、すべての種の絶滅率とリスクが10分の1に削減され、在来の野生種の個体数が健全かつ強じん(レジリエント)な水準まで増加されるようにしていきます。野生種と家畜・栽培種の個体群内の遺伝的多様性が維持され、その適応能力が保護されるようにしていきます。
人々の暮らしについて、「ウェルビーイング/高い生活の質」が実感できるよう、連関する3つの危機:生物多様性の損失、汚染、気候危機による環境への危機<生物多様性損失・汚染・気候危機との闘い>などに対処し、地球を破壊から守っていき、ライフスタイルのイノベーションを創出しつつ、安全・安心、健康で心豊かな暮らしを実現していきます。
地域SDGsの生物多様性主流化をして、「生物多様性保全機能」を中心にして、地域・流域・沿岸域の重要な機能:①生物多様性保全機能、➁水循環機能、③二酸化炭素の吸収・環境負荷の低減機能、④生産機能、⑤保健・レクリエーション機能、⑥景観形成、地域文化の保存・継承機能、⑦国土保全機能を、統合的・複合的に発揮し、地域の持続可能な社会を構築していきます。
2030年、統合的自然再興(生物多様性の損失を止め、反転させ、自然を回復軌道に乗せる)を実現し、2050年までに、自然共生社会を構築していきます。
「生物多様性国家戦略2023-2030(~ネイチャーポジティブ実現に向けたロードマップ~)」・「生物多様性地域戦略」のめざす2050年以降の姿
持続可能な社会を構築するためには、自然が安定し、変化に対するしなやかさを保ち、将来にわたりその恵みを受けることができるよう、共生と循環に基づく自然の理に則った行動を選択することが重要であり、自然資本を次の世代に受け継ぐべき資産として捉え、その価値を的確に認識して、自然資本を守り持続可能に活用する社会に変革していくことが必要で、これらを通じて、自然の仕組みを基礎とする真に豊かな社会を構築します。
‣豊かな生物多様性に支えられた健全な生態系が確保された社会
‣自然を基盤としてその恵みを持続可能に利用する社会
‣生物多様性の主流化による変革がなされた社会
を実現します。
「生物多様性国家戦略2023-2030(~ネイチャーポジティブ(自然再興)実現に向けたロードマップ~)」の基本戦略は、「生物多様性に係る取組を支える基盤整備と国際連携」・「生活・消費活動における生物多様性の価値の認識と行動」・「 生態系の健全性の回復」・「自然を活用した社会課題の解決」・「ネイチャーポジティブ経済の実現」です。
里山、森林、河川、農地、都市、湖沼、里海、沿岸域、地下水盆などをつなぐ水循環は、国土における生態系ネットワークの重要な基軸であり、そのつながりが、在来生物の移動分散と適正な土砂動態を実現し、それによって栄養塩を含む健全な物質循環が保障され、沿岸域においてもプランクトンのみならず、固有の動植物の生息・生育・繁殖環境が維持されています。健全な水循環を維持し、人間活動に必要な水資源を持続的な方法で利用していき、適正な水量と水質の確保し、生物の良好な生息・生育・繁殖環境を確保し、さらに生態系の健全性を回復し、生物多様性の損失を止め、反転させ、生物多様性の状況を回復軌道に乗せていきます。生態系の健全性を回復し、生物多様性の損失を止め、反転させ、生物多様性の状況を回復軌道に乗せるための緊急な行動をとっていき、2050年までに、自然共生社会を構築していきます。
生物群集全体の保全に向けた場の保全・再生とネットワーク化をおこなっていきます。
それぞれの地域の生物多様性や生態系が、人と自然の関係も含めた地域の特性に応じて、地域ごとの知恵や技術も活かしつつ保全・再生され、次の世代に受け継がれるようにしていきます。
「30by30」 2030年までに、生物多様性の損失を止め、人と自然との結びつきを取り戻すために、陸と海の30%以上を「保護地域とそれ以外で生物多様性保全に資する地域(OECM:Other Effective area-based Conservation Measures)」とし、健全な生態系として効果的に保全し、劣化した生態系の再生などを推進し、自然資本を軸とした国土のストックとしての価値の向上の視点を踏まえ、国土全体にわたって普通種を含めた生物種の生息・生育・繁殖地の確保と連結性の向上を図っていきます。
生態系のレジリエンス(回復力)を高めていきます。地域の個体群をそれぞれに保全し、遺伝的な多様性も確保し、自然災害や気候変動などの様々な変化に対してレジリエントである健全な生態系を確保し、より豊かな生物多様性の基盤としていきます。種、とりわけ絶滅危惧種の絶滅を⾷い⽌めながら、種の回復と保全を行っていきます。
豊かな生態系を維持し回復させる社会経済活動を拡大していきます。
開発で失われる以上に、自然・生物多様性を増やしていきます。
野生生物の保全を進めていきます。
海洋と沿岸の生態系に関する重大な悪影響を回避するため、強靱性(レジリエンス)の強化などによる持続的な管理と保護を行い、健全で生産的な海洋を実現するため、海洋と沿岸の生態系の回復のための取組を行う。
水産環境を整備していきます。生態系全体の底上げを図ります。
・多自然川づくり、多自然河口・干潟・藻場・サンゴ礁・浅海づくり
・モリタニングによる統合的・順応的な取組
・水産生物の動態、生活史に対応した良好な生息環境空間の創出
・森里川海の物質循環の把握・正常化
・貧酸素水塊の消滅
・藻場・干潟の保全・造成、底質改善
・漁港等の構造物の有効活用
・沖合域における湧昇流漁場の整備
・ブルーカーボンの活用
豊かな生態系を育み水産資源の増大に必要不可欠な藻場・干潟の実効性のある効率的な保全・創造対策を推進するための基本的な考え方をとりまとめた「藻場・干潟ビジョン」が公開されています。
藻場・干潟の持続可能な保全体制の構築を促し、藻場・干潟のカーボンニュートラルへの貢献を推進していきます。
ブルーカーボン生態系は、平均して年間2~7%が失われている。この重要な生態系を維持するためにさらなる措置が講じられなければ、今後20年以内にほとんど失われてしまう可能性があると警告されています。(国連環境計画報告)
湿地、干潟、藻場を保全・再生することで、多様な生物が生息する環境が形成されるとともに、CO₂を光合成で吸収し炭素を貯留するブルーカーボン生態系の形成につながります。
湿地・干潟の重要性を認識します。
「生物多様性なごや戦略実行計画2030 ~ネイチャーポジティブの実現に向けて~」には、「重点的・優先的に取り組むべき事柄 重点方針1生物多様性に配慮したまちづくりの推進」に、「❾藤前干潟の保全」が、「重点方針2社会変革につながる取り組みの促進」に、「➋藤前干潟を通した人づくり」が掲げられています。
干潟を賢明に利用し、2030年までに、自然再興を実現していきます。
将来にわたり、「サンゴ礁生態系、高緯度サンゴ群集域、それに連続する砂浜や磯浜などの沿岸環境や隣接する藻場や砂泥底、干潟やマングローブ林などとの空間的なつながりと、そこに分布する生物群集それぞれとのつながり」が健全な状態で維持され、その恵みを享受できる自然と共生する社会の実現をめざして、「サンゴ礁生態系保全行動計画2022-2030」が策定されています。「SDGsアクションプラン等の関連する行動計画」・「海洋基本計画」・「昆明モントリオール生物多様性枠組・国連生態系回復の 10年・国連海洋科学の 10 年等の国際的動向」・「生物多様性国家戦略2023-2030(~ネイチャーポジティブ実現に向けたロードマップ~)・海洋生物多様性保全戦略」・「ネイチャーポジティブ経済移行戦略」・「気候変動適応計画」、サンゴ礁生態系を取り巻く状況も踏まえ、効率的かつ効果的な評価・見直しに努めます。
「利用可能な最良の科学的根拠に基づき、世界の海洋とその資源の保護・保全・再生・持続可能かつ公平な利用に関する世界的な取組を主導し、きれいで健全な生産的かつ回復力のある生態系を有する海洋の実現を図ります。」( G7気候・エネルギー・環境大臣会合コミュニケ)
きれいで、健全で回復力があり、生産的で、安全な海・森・里・川・湿地にしていきます。豊かな海・きれいな海・親しめる海にしていきます。
生態系を回復して、自然環境と人とのよりよい関係を構築していきます。
陸域と海域の利用・管理において、生物多様性への負荷を軽減していきます。
汚染の減少、投棄廃絶と有害な化学物質や物質の放出の最小化、未処理の排水の割合半減および再生利用と安全な再利用の世界的規模での大幅な増加させることにより、水質を改善していきます。
2030年までに水と衛生の利用可能性と持続可能な管理をすべての人に確保します。
2025年までに、海洋堆積物や富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減していきます。
生態系を回復して温暖化に対する緩和策・適応策を推進していきます。
炭素を隔離・貯蔵して気候変動影響に適応する自然の力を強めるようにします。
生物多様性の損失や生態系サービスの低下を軽減するために、温室効果ガス排出量の削減、生態系ネットワークの再生や気候変動に対する順応性の高い健全な生態系の保全と回復などを行います。
農業生産活動は、自然環境の保全などに大きく寄与する側面と環境に負荷を与える側面があることにかんがみ、生物多様性の保全、有機農業の推進、温室効果ガスの排出削減などにより、環境と調和のとれた食料システムの確立を図ります。
自然を活用した社会課題の解決(生物多様性国家基本戦略)
生物多様性が、国際社会が現在直面している開発上と社会的な緊急の課題に対する解決策を提供してくれます。
持続可能な社会に向けた意思決定に、自然の価値と自然を活用した社会課題の解決を組み込みます。健全な生態系を確保する基盤的・統合的アプローチである「30by30」の2030年目標を達成し、地域の環境・社会・経済の問題の同時解決につながる NbS(Nature based Solution)を進めます。生態系が多様な機能を発揮することにより、気候変動緩和のための吸収源の確保や災害リスクに対する強靱性(レジリエンス)の強化に加え、観光や農林水産業などを通じた地域の活性化、健康や福利など、直面する社会課題を解決していきます。自然環境を社会・経済・暮らし・文化の基盤として再認識し、自然の恵みを活かして気候変動緩和・適応、防災・減災、資源循環、地域経済の活性化、人獣共通感染症、健康などの多様な社会課題の解決につなげ、人間の幸福と生物多様性の両方に貢献する「自然を活用した解決策」(NbS)を進めていきます。
生態系が有する機能の可視化や、一層の活用を推進していきます。
環境・社会・経済の課題解決の基盤として、自然の多様な機能を、資本財(自然資本財)として取り入れ、社会資本整備やまちづくりなどに、その多様な機能を持続的に活用していきます(グリーンインフラ)。
森・里・川・海のつながりや地域の伝統文化の存続に配慮しつつ自然を活かした地域づくりを推進していきます。都市に関する持続可能な開発目標の達成には、「自然を活用した社会課題の解決」が費用対効果に優れ、地球規模での持続性に極めて重要です。
気候変動緩和・適応にも貢献する自然再生を推進するとともに、吸収源対策・温室効果ガス排出削減の観点から現状以上の生態系の保全と活用を進めていきます。
環境政策(自然再興・循環経済・脱炭素など)を統合的に実施し、相乗効果(シナジー)を発揮させ、経済社会の構造的な課題の解決にも結びつけていきます。気候変動対策と生物多様性保全のシナジーの強化を図ります。
沿岸生態系においてブルーカーボンの隔離・貯留機能を持つ藻場・干潟や、自然由来で炭素蓄積される湿地などの保全・再生を推進します。
再生可能エネルギー導入における生物多様性への配慮を推進していきます。
野生鳥獣との軋轢緩和に向けた取組を強化していきます。
「一条堤」浜松市沿岸域防潮堤
宮脇方式で木を植える「いのちの森づくり」は、地域の人々とともに植樹し、植樹する人々の心の中に、いのちを植え、 混植による自然林の再生をおこなうもので、 「自然を活用した社会課題の解決」で、防災力を強化し、自然再興に貢献します。
沿岸域の総合的な管理により、多様な関係者の参画により魅力ある自立的な地域を形成し、良好な環境の形成、安全の確保および多面的な利用の調和を図り、美しく安全で生き生きした姿の沿岸域を復元・創造して子孫に引き継いでいきます。
里海は、生態系の回復、生物多様性の維持・向上、沿岸域環境向上、土地劣化防止、資源循環、気候変動対策に貢献するとともに、災害リスクを低減する「グリーンインフラ」の役割を果たしていきます。
暮らしを守り、地域ににぎわいをつくる海辺の風景(「グリーンインフラ実践ガイド」から)
流域治水プロジェクト2.0 豊川水系流域治水プロジェクト2.0 ~日本の東西をつなぐ「交通の要衝」を水害から守る流域治水対策~
◎グリーンインフラの取り組み『下流域の多様な生物の生息環境の再生と環境学習による地域振興』
〇豊川河口域の減少した干潟を再生することにより、多様な生態系の回復を図るため、2028年度(令和10年度)までにアサリやハマグリ等の底生生物が生息できる河川環境の再生や、環境学習・自然体験の場の創出など、自然環境が有する多様な機能を活かすグリーンインフラの取組を推進する。
干潟を賢明に利用し、2030年までに、自然再興を実現していきます。
ハマグリ蛤 国ランク:絶滅危惧Ⅱ類 愛知県ランク:準絶滅危惧
種、とりわけ絶滅危惧種の絶滅を⾷い⽌めながら、種の回復と保全を行っていきます。
ハマグリは、三河湾からの資源でした。内田貝塚は、縄文時代後期中葉から晩期(約3000年前)の貝塚で、ハマグリばかりの貝層(2メートル余)で、窯跡もあり、かまゆで加工したハマグリを、中部高地(現在の長野県)などに出荷、交易していました。
農林水産業や事業者による原材料調達などの活動は、生物多様性への影響にも配慮した持続可能な方法で行われ、地域に固有の希少種の保護など生物多様性の保全の取組と両立する形で国内の自然資源の有効活用を進めます。
人間によって引き起こされる既知の絶滅危惧種の絶滅が阻止され、2050年までに、すべての種の絶滅率とリスクが10分の1に削減され、在来の野生種の個体数が健全かつ強じん(レジリエント)な水準まで増加されるようにしていきます。野生種と家畜・栽培種の個体群内の遺伝的多様性が維持され、その適応能力が保護されるようにしていきます。
人々の暮らしについて、「ウェルビーイング/高い生活の質」が実感できるよう、連関する3つの危機:生物多様性の損失、汚染、気候危機による環境への危機<生物多様性損失・汚染・気候危機との闘い>などに対処し、地球を破壊から守っていき、ライフスタイルのイノベーションを創出しつつ、安全・安心、健康で心豊かな暮らしを実現していきます。
地域SDGsの生物多様性主流化をして、「生物多様性保全機能」を中心にして、地域・流域・沿岸域の重要な機能:①生物多様性保全機能、➁水循環機能、③二酸化炭素の吸収・環境負荷の低減機能、④生産機能、⑤保健・レクリエーション機能、⑥景観形成、地域文化の保存・継承機能、⑦国土保全機能を、統合的・複合的に発揮し、地域の持続可能な社会を構築していきます。
2030年、統合的自然再興(生物多様性の損失を止め、反転させ、自然を回復軌道に乗せる)を実現し、2050年までに、自然共生社会を構築していきます。