花の天蓋の下で

よしなし ごとなど   よしな しごとなど
始からはじまる  始からはじめる

垂直

2007年04月29日 | 詩集 地衣の緑
「おれの傾斜の上におれはひとりで
垂直に立つ」*と聡明な詩人が書いた
「樹木が軟らかに呼吸する」その夕暮れには
ちいさな森をもつ地平線もかすかに傾斜していくのである
垂直に立つためには
目眩さえ感じるかもしれないが
植えられたパセリのように静かに夜をまたなければならない

若い闇の中で突然と香りだす
女の呼吸
ことばを失った女はすばらしい

垂直に立つために
男は傾斜をつづける闇のなかで
新しい言葉をうみつづけなければならない




                 *西脇順三郎
                 「内面的に深き日記」より




   詩作品に関してはその権利を放棄するものではありません。
   Hajime Tanakaにそのすべてが帰属します。



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