どうでもいい四百字 第二中間貯蔵施設

どうでもいい四百字 3494

我々の日常は微妙なバランスの上に成り立っている。普段それに気付く事も無いが、その均衡が破れればあっという間に崩れ落ちる事を、心に銘じておきたい。都市部の再開発をしたりすると、必ず建つのがタワマンである。最近は60階建てとか絶対に停電して欲しくない高さの物件も登場している様だが、そう云う所に住む人は健康管理にも気を付けているだろうから、昇り降り程度なら難なくこなせるのかも知れない。しかしどのタワマンにも共通している欠陥があり、「上層階の住人が一斉にトイレを流す」事を想定していないそうである。暇を持て余したセレブ達が示し合わせて脱糞した時に、下層階を襲う悲劇は想像に余りある。ただ途中でつっかえないと云う保証も無いので自爆する危険性を考えればやらない方が身の為だし、物件価値を好き好んで下げる必要も無いだろう。ヨノナカに遍在する、そんな「当たり前の奇跡」は恐らくそれが喪われるまで分からないのである。

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