今日も『棚ぼたのあなた』から四字熟語をご紹介します。このセリフは…。
ある晩、ジョンベは果物が食べたくなりオクに、何か食べ物がないか?、と訊ねました。すると、ごめんなさい、今月は余裕がなくて、と一旦は謝ったオクでしたが、2階(義父母の住まい)にマクワウリがあったわ、と言うと2人は2階へと急ぎました。ところが2階では祖母も交えた3人で、グィナムに買ってもらったというノートパソコンで向かいに住むグィナムとの会話に熱中し、明日はグィナムの勤め先の病院で健康診断を受ける、と自慢してきました。これで頭にきたジョンベはマクワウリどころではなくなり、グィナムを呼び出すと表に出ました。
そしていきなり、鶴の恩返しの話は知ってるか、と訊ねました。米国育ちのグィナムが、よくは知らない、と答えるとジョンベは、恩を返す鶴の話だ、鶴だって恩返しをするのに優秀なお前が恩返しをしないのは変だ、違うか?、と更に訊ねました。ところがグィナムがなんのことかわからない、と答えましたから、一体誰のお陰で家族と一緒にいられるのか?、家族と再会できたのは誰の手柄だ?、と問い詰めました。ここでグィナムも気がついて、もちろん叔父さんには感謝しています、と答えました。しかしジョンベは、口だけだろう、と嫌みを言い、更に問いかけたのがこの言葉になります。しかしグィナムは、初耳だ、と答えたものですからジョンベは、話が進まんな、時間があれば「鶴の恩返し」を読んでおけ、人としての礼儀を学べるぞ、恩を受けたらしっかり返すのが当然だ、と諭したのです。
「礼尚往来」。書き下し文にすると、ジョンベの言った通り、「礼は往来を尊ぶ」になります。意味もジョンベが言ってくれますね。礼を受けたら礼を返す、つまり相手が自分をもてなしたら自分も相手をもてなす、相手が自分を訪問したら自分も相手を訪問する、ということです。つまりジョンベは、自分が不動産屋の店員として今の家を斡旋し、結果的に両親の住まいの向かいに住むことができたのだから、それを忘れず自分にも返礼しろ、と言ったわけです(笑)あ、出典はもちろん『礼記』です。
ただ、この言葉、友好的な意味合いだけもっている訳ではなく、やられたらやり返す、裏切られたら復讐する、つまり、目には目を、歯には歯を、の意味合いも持ちますから、注意が要りますね。
今日はバレンタインデーだとか。チョコをもらえば義理だろうがなんだろうがホワイトデーには返す、ということなんでしょうが(笑)商売上とはいえ、こんな習慣を編み出したのも、少し上の世代の日本人には礼節を重んじる精神があったのでしょうね。