今日は『台風の新婦』からこのセリフを選びました。このセリフは…
サンドゥルにふられたパダは薬を飲んで自殺を図り、入院騒ぎを起こしました。が、それはサンドゥルの気を引き、ソヨンと別れさせるためにパダと母親のインスンが一芝居打ったものでした。その話を部屋の外で聞いたヨンジャは激怒して、持っていたハエ叩きで、詐欺じゃないか、と二人を追い回し、ハエ叩きで叩きました。しかし二人は謝罪するどころか、詐欺ではなくちょっと演技しただけ、と言いましたから、更に怒ったヨンジャの言葉になります。
見事なセリフです。このセリフを大ベテランのキム・ヨンオクさんが言うものですから、より一層引き立つセリフになっています。確かにハエは手足を擦り合わせますね。それは、きれいな手で食べるために、擦り合わせて清潔に保っているのだとか。一方、人の手はゴキブリより汚れているというような研究もありますし、こうなるとデパートやスーパーなどに消毒液があっても素知らぬ顔で入っていく人の手より、ハエの方が余程ウイルスに対する意識が高いのでは(笑)
それはともかく、ハエが手を擦り合わせるのが謝罪のように見えるのは、今も昔も変わらないようで、小林一茶にこんな句がありますね。
「やれ打つな蠅が手をする足をする」
この句を海の向こうのヨンオクさんがご存知なのかどうかはわかりませんが、ハエがクオリティの高い衛生状態を保つ為に行う手の擦り合わせが謝罪に見える、という感性は素晴らしいですよね。