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96中四レポ10-個人戦本戦2R-

2016年12月10日 16時33分33秒 | 将棋
今回の記事では初手から最後まで棋譜を記し、自戦記っぽく書いてみることにします。

決勝トーナメント2回戦、相手は鳥取大学の1年生、北野さん。

1年生ながら予選を2連勝で通過していて、得意戦法が何であるかすら分からないこともあって、少し怖い部分もありました。

後で師範さんの日記を読んで、団体戦で対戦した相手が全員ベスト16以上を経験したことがある強豪だったにもかかわらず、2-2で指し分けたほどの実力者であったことを知りました。

対局前にそんなことを知る由も無かった私は、力戦に持ち込んで経験の差を生かそうと考えていました。

私が後手で、初手から▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲2五歩△3三角▲4八銀△3二銀▲5六歩△6二銀▲7八銀△4五歩で下図。



図は便宜上先後逆にしてあります。

飛車を振れば普通の振り飛車ですが、前述した通り定跡通りに指すつもりはなかったので、居飛車模様にして角交換を挑みました。

上図以下▲3三角成△同銀▲7七銀△3二金▲6八玉△6四歩▲7八玉△6三銀▲6八金△7四歩▲3六歩△4二飛▲3七銀。



角換わりになり、早繰り銀に対して四間に飛車を振るという糸谷八段が得意にされている形に合流しました。

上図以下△6二玉▲1六歩△9四歩▲9六歩△7二玉▲5五歩△7三桂▲6六銀△4四銀▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2八飛△6五歩▲5七銀△5五銀▲5六歩△6四銀引。



玉を左に囲う手もありますが、右に行きたい気分だったので、右に行きました。(笑)

一歩得し、手順に左銀を右に引きつけることができてまずまずです。

・・・と思っていたのですが・・・

上図以下▲7七角△3三桂▲2六銀△7五歩▲同歩△同銀▲3五歩△6六歩▲同銀△7六銀▲8六角△6四歩▲3四歩。



▲7七角を軽視していました。

対局中は直前の△6四銀引に代えて形にこだわらずに△4四銀と指すべきだったかなと少し後悔しました。

▲7七角に対する△3三桂があまり良くない手で、ここは△2二金と指すべきでした。

△2二金は考えなかったわけではありませんが、▲1一角成を受けただけの手で、手順に玉から遠ざかる上、形があまり良くないと判断しました。

しかし、一旦受ければ△7五歩から角頭を攻める手があり、そちらを選択すべきでした。

本譜も△7五歩から角頭を攻めましたが、3三の桂が目標になってしまい、忙しくなってしまいました。

形の良し悪しに重きを置き過ぎたのが良くありませんでした。

▲3四歩で困ったようですが、勝負手を用意していました。

上図以下△4三角▲3三歩成△8七銀成▲6九玉△3三金▲5五桂△5四角▲6三桂成△同玉▲5五銀△8六成銀▲5四銀△同歩▲7四歩。



△4三角が勝負手。

対して▲7七金△同銀成▲同銀△3四角▲3五銀を読んでいました。

北野さんは△3四角と歩を取られるのを嫌い本譜の順を選んだそうですが、私としては本譜よりもこちらの順のほうが銀を活用されて嫌でした。

本譜の進行は、玉形の差でこちらが劣るものの、8六の成銀が攻防に働き、意外と難しいのではないかと思いました。

上図以下△6五桂▲7三歩成△同玉▲7五銀△7六成銀▲5三角△6二飛▲7四歩△6三玉▲6四銀△7四玉▲7五歩△8五玉▲6二角成△同金▲8一飛。



本譜のように上にするすると抜けられ、成銀もいるから大丈夫だとは読んでいましたが、対局中は読み抜けがないかとひやひやしていました。(笑)

気分は世界貿易センタービルの間を命綱無しで綱渡りしたフィリップ・プティのよう。

25分の持ち時間はとうの昔に使い切り、60秒の秒読みが続いていたこともあり、ずっと苦しさを感じていました。

上図以下△7二金▲9一飛成△8七角▲5九玉△5七銀▲8八香△6八銀不成▲同飛△5七桂成▲9七桂△8六玉▲8七香。



△7二金に代えて△8六玉と入玉を目指したいところですが、▲8三飛成△8五歩▲3三龍で一気に敗勢に陥ってしまいます。

本譜は角を犠牲に入玉&挟撃体勢を築くことができました。

99手目▲8七香に対しては△同成銀を考えていました。

しかし、対局時計が残り10秒を告げた時、一つの筋が見えました。

△同成銀以下▲9五角!△7六玉▲8五銀で詰む!!

残り数秒だったこともあり、慌てて別の手を指しました。

上図以下△7七玉▲8八銀まで101手にて北野さんの勝ち。



▲8八銀を指されて20秒ほど盤面を見続けました。

何度見ても明らかに詰んでいます。

声を絞り出して投了しましたが、まだ呆然としていました。

戻って△8七同成銀に対して▲9五角は△7六玉▲8五銀△6五玉で、6四の銀・5六の歩いずれも浮いており、全く詰んでいません。

何故このような錯覚をしてしまったのか、未だに分かりません。

対岸まであと数歩で渡れるというところで、真っ逆さまに落ちてしまいました。

油断をしたつもりはありませんでしたが、無意識のうちに気が緩んでしまったのかもしれません。

綱渡りは最後の数歩が一番危ないそうですが、今回の私は見事にそれを体現してしまいました。

こんな私ですが、大会で頓死を喰らってしまったのは久しぶりです。

中四最後の対局が最もあっけない終わり方になってしまいましたが、自分らしい将棋を指せた満足感がありました。

同時に、もしこの対局に勝てていればベスト16を賭けて岡大の主力である羽仁さんと対戦することになったのですが、羽仁さんに将棋を教えてもらう機会を失してしまったことを残念に思いました。


結局、ベスト32までで広大生は全員敗れ、ベスト16に一人も残らないという結果になってしまいました。

次回に続きます。

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