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78歳のつぶやき日記

70代も峠に差し掛かりました。これからは下り坂だけかな?いや、青空にくっきりと浮かぶ白い雲をしばし眺めたいものですね。

立切試合(たちきり試合)

2012-01-15 | Weblog
    

          激励の垂れ幕       2時間経過(奥が基立)
「立切試合」、初めて聞く(見る)方も多い事でしょう。
特殊な形の剣道の試合です。
基立(もとだち)と呼ばれる選手に選ばれた剣士が、3時間全く休むことなく33人の挑戦者である剣士を相手に闘い続けるのです。
途中4回審判が入れ替わりますが、その短い間にその場で水分補給をするだけです。
それも面をつけたまま、すきまからストローをさしこんで飲むのでした。

一昨日の日曜日、隣のY市で「第33回3時間立切試合」が行われました。
その基立の選手に孫の高校の剣道部の顧問が選ばれたのです。
基立は男子4名、女子2名、男子は全員六段、女子は五段の選手で岩手、宮城、福島、秋田からの出場でした。
孫の高校の生徒たちは勿論、保護者も全員、お手伝いと応援です。

配られた冊子の「立ち切り試合の由来」によりますと、(抜粋)

『幕末、明治の偉傑で無刀流の開祖である剣豪山岡鉄舟の道場春風館には「誓願の法」という掟があり門人はこの法を堅く守って稽古の完成を期した。
その方法は3期に分けられ、
1期目は3年間の稽古を積み、最終日には立切り200回の試合をし、無事果たした者は初等科卒業となる。
2期目はさらに数年の稽古の後、3日間立切り600回の試合をし無事済ますと、師から無刀流の目録が与えられる。
3期目は更に幾多の稽古や苦行を重ねて、7日間立切り1400回の試合をやり抜き、免許皆伝の剣士となる。
その試合は血気の猛者や、選び抜かれた新手を次から次へと相手に悪戦苦闘、筆舌に記し難い苦行で、排泄は血尿血便となり四肢五体は腫れ上がる。やがて無厳無心の姿と化して、その動きは真の妙境に入る。
これを果たした者はわずか数名にすぎないという。』とあります。
その精神を少しでも今に伝えたいとこの試合が続けられているのだそうです。

順調に勝ち上がっていく顧問のM先生、20回目を過ぎた頃から足が攣ったような様子が見えたり、竹刀を落したり、転んだりしてはらはらしました。面で顔は見えませんが苦痛に歯を食いしばっていたのではと思います。
喘ぎながらも一本、また一本、審判の白旗が上がる度に力を振り絞っている様子が分かり感動しました。拍手もだんだん大きくなってきます。
終了の太鼓の音が響き、周りからも安堵の声が聞こえました。
「27勝3敗3引き分け」がM先生の成績でした。

面を外した先生は、労いにきてくれた周りの大勢の人たちに膝まづいてお辞儀をしていました。
さわやかな笑顔でした。体力、気力の極限までやり抜いた満足の笑顔でした。

孫たち部員が先生を囲んで記念写真を撮るのをギャラリーから見ながら、貴重な時間をいただいたことを感謝していました。

          

無事終了 花束を抱いて

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
体力気力の極限を。 (yattaro-)
2012-01-17 19:18:28
立切試合・・・確か司馬遼太郎さんの小説でお目にかかったよな・・・。
3時間の長丁場を33人相手にする。まさに体力気力の極限に挑む荒修行の一つですね。
こういったことを乗り越えてこそ初めて達人などと呼べるのでしょうか。
全くこのような修行の場に立ち会わなかったこの身は、やはりまだまだ甘いようです。
それにしても、すごいシーンを目の前で見られましたね。
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立ち切り試合 (kaoruko)
2012-01-17 22:18:57
去年もy市で「立ち切り」試合が行われたのではないですか私の感違いでなければ、去年テレビで中継されていて主人が夢中で見ていて私も一緒に見て、すさましい試合に引き込まれるように見入った記憶があります、

目の前でご覧になったらさぞ感動なさった事でしょうね。これもお孫さんのおかげですね。
横手高校剣道部にも素晴らしい先輩がいらしゃるのですね、さすが伝統校ですね
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Unknown (matsu)
2012-01-17 22:24:43
時代小説の中でよく見かけた「免許皆伝」、深く考えることもなく単なる言葉として受け止めていたのでしたが想像もできない経緯があっての結果だったのですね。

剣道だけでなくスポーツで窮めようとする人は自分との闘いなんでしょうね。

教え子たちはあの後、更に先生に対する尊敬の気持ちを大きくしたようです。
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極限まで… (kei)
2012-01-18 00:06:05
教え子達の前で、けれど共に真剣に剣術の道を進む師弟なのですね。
見守るお孫さん始め部員の皆さんが、どれ程の感動を得たことかと想像します。


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kaorukoさん (matsu)
2012-01-18 21:09:41
この試合はおっしゃるように毎年Y市で行われているそうです。ニュースで何回か見たことがありました。
目の前で見るのはおそらく最初で最後だろうと思っています。

広い体育館は震えるほどの寒さでしたが、選手の気迫に圧倒され長い時間我慢することができました。いい経験でした。

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keiさん、まだ楽しみが・・・ (matsu)
2012-01-18 21:19:30
また一つ知らなかった世界をのぞかせてもらいました。
感動する気持ちがあることも嬉しいことですし、
これからまだ感動出来る場面に巡り合うかと思うと楽しみになってきます。。
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