先日、こっぴどくやっつけてしまった映画、SEX AND THE CITY
あれだけ好きなことを書かせていただくと、これまた気持ちいいもんですわ(笑)
「また蒸し返そう…」と言うのではありません(いや、そうとも言い切れないか~)
しかし「元々のドラマも、そんなに好きでもないんだったら、なんでこの映画を観にいったの!?」なんて言われそうなんですが…ちょっと気になることがありまして…
この主人公のCarrieというのはDreiserが1900年に発表した小説、SISTER CARRIE(シスター・キャリー)から来ているのではないかと言われることがあるものですからね。
例えば、
“It is also hard not to see that Carrie seems named for another urban arriviste, the Sister Carrie of Dreiser’s creation”(New York Times)
また、Reading Sex and the Cityという本にもSISTER CARRIEへの言及があるようです。
私は、このSISTER CARRIEが大変好きで、相当の思い入れもあるのです。(このブログでもよく取り上げています) ですから「はっ!こんな映画とあの小説を同じにしないでくれ!!」と、ちょっとテンションが上がったというのもあります。
あっ、このブログタイトルのAnd This Is Not Elf Landというのも、この小説のChapter 44のタイトルですよ。
SEX AND THE CITYとSISTER CARRIEの比較研究のようなことは、日本ではアメリカ文学を専攻している人が研究テーマとして選ばれているのを時たま見かけます。しかしながら、この小説自体、日本ではアメリカ文学を専門に勉強している人ぐらいしか読んでいませんし、実際にこの本も、今は廃刊になってしまっています。日本で「もしかして、サラ・ジェシカ・パーカーのキャリーって名前はドライサーの小説から来てる?」なんて思う人は限られているでしょう。(ていうか、「いない」か~)
で、このSISTER CARRIEは「表面だけ見れば」確かにSATCと共通したものがあるかもしれない。時代の動向とモノに敏感な女性が大都会の波に揉まれながら生きていく。男性は、ある意味「踏み台」
田舎から都会へ出てきたキャリー
「(キャリーは)おっとり刀の可愛らしい騎士という風情で、謎に満ちた都会の偵察に乗り出しつつ、はるかな高みに上るという、何かはっきりしないながらとてつもない夢を抱いていた。高みに立ちさえすれば、都会など御しやすいもので、すぐに降参するはず―悔悛の情をちゃんと示して、女性の足下にひれ伏すはずなのだ」
しかし、思ったような生活はできない。
「キャリーは富の流儀―富がまとう皮相の姿―について敏感な研究者だった。ある品物を見るとすぐに、それをうまくものにできたら自分はどう見えるか考え始める。言うまでもなくこれは、高尚な反応ではないし、分別のあることではない。立派な精神を持っている人たちは、こんなことで心を悩ませはしない。だが反対に、極めて低級な精神の持ち主も、こんなことで心を動かされはしないのだ。キャリーとってきれいな衣服はしたたかな説得力を備えていた」(いずれも村山淳彦訳)
私はDreiserが若干29歳でこの作品を書いたというのが信じられないのです。さらに、29歳でこういう小説が書ける人生を送っていながら、彼はちゃんと天寿をまっとうしている。これは尊敬に値すると思う。
さて、SEX AND THE CITYというのは、日本でも社会現象になっていると言っていいくらいに、女性たちに大きな影響を与えているようで…ネットを見ていても、大絶賛される方も多いのにびっくりするやらビビるやら(笑)でした…
そんなみなさま、『シスター・キャリー』を読んでみませんか?
いや、読んでくださいよ!(岩波さん、ぜひ復刊を!)

廃刊になってはいますが、古書店には置いてありますし(結構高い値がついている)図書館にもあると思います。私も、あまり先入観を持たずにSATCを観てみます。
ホントのバトルはそれから(おいおい…)