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And This Is Not Elf Land

WEST BANK STORY


今年のアカデミー賞、短編実写映画部門でオスカーを獲得した約20分のコメディ・ミュージカル。WEST SIDE STORY(ウェストサイド物語)を下敷きにして、West Bank(ヨルダン川西岸)を舞台に、イスラエル軍兵士とパレスチナ人女性の恋を描いたバリバリのパロディーです。

これ…笑ってもいいんですよね(…)

とにかく、歌も踊りもチープそのものなのに、細かいところが妙に元ネタの「ウェストサイド~」にそっくりなんですよ!(爆笑)特に最初…。

これ、歌やダンスをグレードアップして1時間ぐらいの作品にふくらませて舞台化すればいいのに、なんて思ったりするんですが…でも、テーマがあまりにも危うすぎるか…

West Bankに2軒のファストフード店が隣り合って建っていました。どちらも、とってもアメリカンな店。(このあたりへのアメリカの影響の大きさを皮肉っているみたいです)イスラエル人が経営するのはKosha King。Koshaとはユダヤ教の教えにのっとった食事のこと。Burger Kingを捩った店名です。

一方、パレスチナ人が経営するのはPizza Hutならぬ、Hummus Hut。Hummusというのはパレスチナ料理に使われるソースのことらしいですが、何せ発音がHamas(イスラム原理主義のグループ)に似ているのが何とも…

とにかく、この2軒のお店の従業員たちをめぐる空気は一触即発。

まず、両者譲らずOur People Must Be Fedなんて歌を歌って気勢を上げます。これ、途中に「プロデューサーズ」のKing of Broadwayのメロディーがそっくりそのまま出てきます(笑)(There was a time~♪から後のフレーズ)イスラエル人の店の屋根の上には、しっかりバイオリン弾きもいますし。この部分は、双方の民俗音楽に詳しい人であれば、さらに面白いでしょうね。

イスラエル軍兵士のDavid君は何気に若き日のBen Stiller似ています。Hummus Hutで働くFatimaはMariaのナタリー・ウッドとおもざしが似ている美しい女性なんですが、かわいい顔に似合わず、カウンターで銃をぶっ放したり、自爆パイなんてパイを売ったりしてるんですよ。

でも、全体のストリーは政治的にどちら寄り…ってことでもなく、公平に作られていると思いました。最後にFatimaが争いの愚かさを訴えるところなんか、本当にジーンときてしまいましたよ。

イスラエル人の店の小麦粉をこねる…これまた大そうなマシーンが、境界の柵を越えてパレスチナ人の店の敷地に入ってきたのです。怒ったパレスチナ人は機械に石を投げつけ、その報復として、イスラエル人は壁を作ってパレスチナ人の店を包囲してしまおうとします。

決闘に発展するのを止めようとするDavidとFatimaでしたが、パレスチナ人が火炎瓶を造ってる途中(おっと…)に、ふとしたはずみで店が炎上してしまいます。それを見て「いい気味!」と大喜びするイスラエル人の店の従業員。でも、その火が飛び火して、イスラエル人の店も炎上すると、今度はパレスチナ人の店の従業員が大喜び。

結局、双方の店とも焼け落ちてしまうのですが、瓦礫の山となっているところに、どちらのお店にも身なりのいい客(いかにもお偉いさんのような…)が「今日は開店してないの~?」なんて呑気にやって来るのです。この人たち、全く空気が読めてなくて、双方の従業員は呆れかえります。実際、どちら側の指導者たちも現実に起きていることを理解しきれていない!…っていうのを痛烈に皮肉っているシーンかなと思いました。

結局、両者が力を合わせて店の再建に取り組むことになり、ハッピーエンドとなります。現実はこんなにた易くはないでしょうが、争いの愚かさ加減は似通っているのかもしれませんね…

これ、例の動画サイトで観ることができます。

言葉、音楽、政治情勢にもっと詳しい人が見れば、またまた隠された風刺や皮肉がわかるだろうと思いますね。おそらく、ここに書いたものの10倍ぐらい(?)の小ネタがあるものと思われます。

実際わたくし…〝Jews in construction.”のどこが可笑しいのかよくわかりませんでした。

Davidが"Let me come to your balcony tonight to annoy your parents and neighbors by singing you a really overly-dramatic song about feelings and love." と大真面目に言うところなども、痛烈な皮肉なんでしょうね。
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