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And This Is Not Elf Land

全米公開まで10日!【追記・訂正あり】



6月20日に全米公開される映画版JERSEY BOYS。日本でも9月27日公開が公式に発表され、音楽ファン、映画ファン、舞台ファンがともに盛り上がっているようすをネット上で目にするにつけ…なんかこう…ありきたりな言葉しか出てきませんが…「感無量」です。

で、ここで、これまでに明らかになっていることを簡潔に(←頑張ります)まとめてみましょう。

★R指定
アメリカでは、Rに指定されました。これについては、数々の疑問の声も上がっています。理由は”language throughout”. つまり、「野卑な言葉遣いが多い」ということのようですが、こういう理由で「R」というのは珍しいようです。例えば、「シカゴ」「レミゼラブル」などは、流血、暴力、性描写も含んでいたのにPGでした。

日本ではちょっと考えられないことですが、向こうでは、F-wordが4,5回程度含まれていれば、もう「R」なのだそうで…舞台版を思えば、まぁ…これは仕方がないかな~と思いますよ。今さら「お上品な」言葉遣いに変えられてしまったら、もうJERSEY BOYSじゃなくなりますしね。

「R」指定になれば動員に影響するのでは…と懸念する声もあるようですが、私としては、あまり影響はないと思います。実際、「そんな理由でR指定になる映画って、どんなんなのか興味がある」(!?)なんて声さえ聞かれるほど(笑)だいたい、友だち同士でJERSEY BOYSを観に行こうと思っている中高校生なんていないでしょうしね(笑)向こうの映画人口の厚さは日本とは比較になりません。(日本みたいに、お子さまに見放されたら終わり…みたいなことはありません)ベビーブーマー世代を中心に、映画館はどこもいっぱいになるでしょう。



★映画はブロードウェイの観客動員を引き上げてくれるか?
ブロードウェイミュージカルの映画化と舞台の観客動員の関係を分析した記事がありました。こちら私は、もちろん、再びオーガストウィルソン劇場が満席になってほしい!

現在のところは70~80パーセントの入りです。(ロングラン作品としては、まぁ平均的な数字ではあります)私の記憶では2005年のオープンから2010年ぐらいまでは、毎日完売していました。チケットを取るのが本当に大変でした!でも、そのあとは、ハイシーズンを除いては、80~90パーセント台ぐらいになり、ここ半年ぐらいは、さらにダウンしています。JERSEY BOYSはロングラン作品のひとつなので、観光客が大きなターゲットになってきます。しかし、舞台ミュージカルそのものが英語圏の、ほんの数カ国でしかやっていないので、知名度はいま一つ。日本人観光客でも、ブロードウェイでミュージカルを見るとなれば、言葉の壁もありますし「日本でもやっている」「映画で観たことがある」ものを選ぶ傾向があるでしょう。映画が成功して、作品そのものが世界中に知れわたれば、動員にも好影響を与えると思います。

ただ、この記事の分析が今一つだと思うのは、それぞれのミュージカル(舞台も映画も)に、それぞれの特徴があることを考えに入れてないことですかね…例えば「MAMMA MIA!は、映画はヒットしたけれど、舞台の動員を引き上げる結果にはならなかった」とありますが…MAMMA MIA!の場合は、華やかなハリウッド俳優たちを起用して、ホントに「映画」にしてしまっていて、「元は舞台」ということを感じさせない作りになっていました。美しいギリシアの海を余すところなくスクリーンで見せる一方で、出演者は(アマンダ・サイフリッドを除いては)歌もダンスも下手そのもの。(ハリウッド俳優を起用する限界でしょうね)とにかく、あの下手さに舞台ファンはみんなそっぽを向いてしまいました。それでも、この世の中…数的には「映画ファン>>>舞台ファン」でしょうし、あのハッピーな感じの映画が好きな人は少なくありませんでしたが、「ぜひ舞台版も観たい!」と感じた人は少なかったでしょう。それが「レミゼラブル」「シカゴ」「オペラ座の怪人」との違いです。

JERSEY BOYSも「分類的には」MAMMA MIA!と同じジュークボックス・ミュージカルなのですが、私は、やはり「舞台版も観てみたい!」と思わせる仕上がりになっていることを望んでいます!



★上演時間は134分

フランキー・ヴァリ氏が昨年、イギリスのインタビューで、上演時間は100分程度になるという話をしていたのを覚えているのですが、それよりも長くなっています。舞台も1幕2幕合わせると130分ぐらいなので、まぁ舞台と同じぐらいの尺、あるいは、最近のミュージカル映画(「レミゼラブル」のような長編は除く)と同じくらいの尺になります。

「映画化」の話が出たときは、まず「だらだら長いのはダメだよね~映画らしい工夫をして、ぴしっと簡潔に決めなきゃ」などと思っていたのですが、「100分程度」と聞いたときは、普通のミュージカル映画と比べても、明らかに短めですし「どこ削るんだよ!」と焦ってしまいました(笑)思えば、あのシーンもあのシーンの、みんな大事~

とにかく、134分というのは、適正な長さに思えます。ただ、ミュージカル映画というのは、エンドクレジットがやたらと長いのが多いんですよね。JERSEY BOYSも、まさかとは思いますが…エンドクレジットがCD一枚分ぐらいとか…そんなことはないでしょう(笑)



★コミカルなシーンの扱い
フォーシーズンズのプロデューサー、ボブ・クリュー役のマイク・ドイルは、実際のボブ・クリュー氏と非常によく似た雰囲気を持つ、ダンディな感のスクリーン映りもいい人です。一方、舞台でのこの役は、ブロードウェイでオープン以来この役をやっているピーター・グレガスさんに象徴されるように、「笑いを取る」役どころになっています。

舞台でのボブ・クリューは、演劇でいう「コミック・リリーフ」の役割を果たしています…つまり、重苦しい話の中で、観客をなごませる重要な役も担っているわけです。実際に、ボブ・クリューが登場すると、観客は「今度はどんなギャグをかましてくれるのか」自然に期待してしまって、笑う準備をしているようなところがあります。それでもって、「期待にこたえて」…どころか、「期待以上の」ことをしてくれることで、観客は大いに盛り上がる。

しかし、こういう「笑い」のシーンというのは、劇場という、演者と観客が、お互いの「呼吸」のタイミングがダイレクトに伝わり合う場所にいるからこそ成立するわけで、これをスクリーンで一方的にやると失敗することが多いと思います。

それでも、あのTHE PRODUCERSなどは「力技」でやってのけてましたが(私は好きでしたけどね…)「レミゼラブル」でも、宿屋の夫婦の扱いは何となく中途半端だったし…で、このJERSEY BOYSの映画でも、これまでのトレーラーを見ている限りでは、ボブ・クリュー役には特にコミカルな演技は求められていないような感じがします。【事実⇒映画としての適正なかたちで、しっかりコミック・リリーフの役割を果たしています】

しかし、あのWalk Like a Manのレコーディングのシーンで、トミーが曲のタイトルにいちゃもんをつける場面の”It’s a ME・TA・PHOR!”ぐらいは残してほしいです。【事実⇒残してます】
【追記:NYプレミアで観た人によれば、映画のボブ・クリューもけっこう笑えたそうです】

また、ハンク・マジェウスキー役もクレジットされているということは、I Go Apeのシーンもあるのかなぁと予想するのですが、あそこのシーンでの、トミーの「ボケ倒し」…私的には(昔のクレイジー・キャッツを彷彿とさせる)好きなシーンなのですが、あれやってほしいですね。映画でトミーを演じるヴィンセント・ピアッツァ君、あそこは可愛らしく決めてくれそうな気がしますが。【事実⇒ここはありませんでした。ハンク役らしき人は出ていましたが、このシーンはカットされたのでしょう。】

いずれにしても、舞台のJERSEY BOYSは笑いの絶えないショーでもあるので(脚本が上手いのですよ)コミカルな台詞がどこまで映画に反映されているのか、とても興味があります。【アメリカの映画館では笑いが絶えませんでした】



★マイケル・ロメンダがイケてる件
日本でも、この映画のことがいろいろ取り上げられるようになり、中には「えっ?あのイーストウッドがミュージカル???」という反応も目にしたりしますが、私は…イーストウッド氏についてはそんなによく知っているわけではないのですが…それでも、そんなに「意外な」組み合わせではないと思います。

向こうでも紹介されているように、このJERSEY BOYSというのは、基本的には「ブラザーフッド」あるいは「ブラッド・ブラザーズ」というテーマが根底にあり…もっと言うと、非常にホモソーシャルな話であります。このあたりは、イーストウッド氏のこれまでの作品と共通するところがあるような気もしますが。

こういうホモソーシャルな世界というのは、非常に閉鎖的な環境の中で成立するものなのだと思いますが、ニュージャージーの閉鎖的なイタリア系の社会を舞台にしたJERSEY BOYSの世界も、まさにそのものです。そして、こういう世界においては、女性は幸せにはなれません…フランキーはトミーに悩まされ続けるわけですが、それでも恋人にトミーを批判されると、激高してトミーをかばってしまう…結局、恋人は「あなたはトミーと結婚するべきね」と捨て台詞を吐いて去っていってしまいます。

舞台のJERSEY BOYSでは、カーテンコールのときに、最前列の高齢の男性が嬉々として舞台に駆け寄り、俳優とハイタッチをするシーンを見かけますが、多くの場合「お目当て」はトミー役です。

やっぱ…殿方というのは、おいくつになられても、ああいうキャラクターに惹かれるものなのでしょうかね(笑)強くて、やんちゃで、カッコ良くて、可愛いいところもある…という。

で、このテの話は、基本的には、女性からは支持されにくいのですが、その分、フランキー役やボブ役に、ハンサムで繊細な感じがする女性受けしやすい俳優を起用するという「戦略」が功を奏し、JERSEY BOYSを成功させているのだと思います。こういう話は、女性から支持されにくい面がある一方で、一旦女性を味方につけると、これまたそこから起きる化学反応が半端じゃなく(笑)たいへんな盛り上がりにつながる…ってのは、洋の東西を問わず…ですかね。

舞台を観る限りでは、「ニック役」というのは、ひと言でいえば「女性好きのおやじ」でありまして、観客に対しては、特に「女性受け」とか「男性受け」とか…そういうことをあんまり意識させないような役柄ではあります。今回の映画では、ニック役にマイケル・ロメンダを起用したわけですが、この人はJERSEY BOYSのツアーにいた人なのですが、私も知らない人でした。ファンの間でも、それほど話題に上らなかった人だったと思います。「大丈夫なの~?」と一抹の不安もあったのですが…最近、このマイケル君、さまざまなメディアに登場していまして、ファッション誌にモデルとして登場したりもしています。彼って、よく見ると、スクリーン映えもよさそうだし、もちろん写真映えもする、かなり容姿のいい人ですね。とにかく、4人一緒のショットの中でも、ルックスの良さがっ目立っているような感じですかね。動画の中では、話す声も良いし、なかなかの存在感ですよ。まぁ、とにかく、OBCの4人もなかなか「絵になる」面子がそろっていましたが、この映画の4人も、とってもフォトジェニックで…おばさんとしては、なかなか結構なことだと思ってますよ

出演者は皆、この映画をきっかけに、さらにチャンスを広げていくことを考えていると思いますが、今のところ、目立つ露出をしているのがマイケル・ロメンダということになるでしょうか。


※    ※    ※
今ちょうど、NYでプレミア上映が行われていて、友人たちが観に行っています(うらやましい)そろそろ、実際に御覧になった方の感想も聞けるでしょう。

IMDBでは、今のところ「8・4」という高い点がついていますが…私は、基本的には、10点と1点は信用しないのでね(笑)

ということで、みなさんの感想を待ちたいと思います。
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