(読了10分、今回はやや長め、後半に対策を載せています)
地銀大手のファースト・リパブリックが破綻し、
最大手のメガバンクである
JPモルガンが救済のための買収を行いました。
(預金は全額保護)
去年から続く急速な利上げですが、
半世紀ぶりの異例なペースだったために、
債券の含み損が拡大し、
銀行(の経営=金融システム)が不安定になっています。
改めて、2022~今年の利上げ規模を振り返ってみましょう。
利上げ幅が大きい順(年間、%)
(ChatGPT先生に聞いたので、不正確かも)
1980:6.5
1974:4.75
1981:4.5
1979:4.25
2022:4.25
1982:3.5
利上げ幅の大きい順(継続した期間ごと。出典 第一生命研究所)
https://www.dlri.co.jp/report/macro/184013.html
どちらを見ても、オイルショックの頃に
大きく利上げされています。
特に1980~1981年は11%→19%という消費者金融なみの金利になっており、
物価上昇+景気後退というスタグフレーションが
いかに経済に大きな悪影響を与えるかがわかります。
この頃のアメリカ経済はダメダメで、
失業者があふれかえり、
日本車をハンマーで叩き潰すアメリカ人労働者がいました。
「今回は安全策が整備されたから大丈夫ですよー」
と米政府や専門家たちは口をそろえているわけですが、
「いつまで破綻が続くの?」
という不安の答えにはなっていません。
ネット送金時代において、
「あそこの銀行がヤバそうだよ」という信用不安がSNSで拡散された場合、
すぐに現金の引き出しに応じなくてはならず、
預金という名の借金を資金にして
長期債券で利ざやを稼ぐビジネスモデルは、
もはや通用しません。
本来なら、不良債権でない限り
債券を満期まで持っていれば100%元金が保証されます。
しかし、当局は今まで不良債権しか監視しておらず
こうした新しい事態に対応するまでに時間がかかりそうです。
どこを監視すべきかといえば、
第一にキャッシュフロー、
つまり、短期債と長期債の資産配分や、
運用における期間管理(デュレーション)が適切かどうかが
問われています。
デュレーション│初めてでもわかりやすい用語集│SMBC日興証券
たとえ適切であったとしても、
心理面で
金融不安が広がって信用収縮が一度起きてしまえば、
あちこちを幅広く巻き込んでの連鎖的な倒産へと
拡大してしまいます。
これは心理的な災害なので、
数値でのコントロールは不可能です。
こうした緊張(リスク)を招くこと自体が、
危険だと認識できましたね。
これを理解していないのは
もうMMT論者だけでしょう。
民間銀行は資金に余裕を持たようとし、
貸し出しを渋り始め、
金融政策はオーバーキルになってしまい、
景気は後退していく……
というのが
これまでの歴史の流れだと思います。
となれば、FRBはもう利上げしなくていいはずなのですが、
4月PCEはインフレが市場予想よりも悪く上昇、
5月ISM製造業景気指数は市場予想より良かったので、
5月4日(日本時間。間違えていたので訂正しました)のFOMC利上げの公算が大きく、
その後も強気のタカ派発言が相次ぐかもと個人的に予想しています。
1970年代~1980年代のオイルショック時代のように
歴史は繰り返すのか?
前回と違い、今回はシェールガス革命によって、
アメリカが世界一の産油国になっているため、
問題は石油よりも資金の供給量だと思います。
膨れ上がったマネーサプライを
インフレ退治のために
引き締める必要があり、
破綻した銀行に公的資金の注入を繰り返していれば
国民の反発が出てきて、
誰も望んでいない結果、
下手したら暴動や内戦や米中戦争が勃発するんじゃないでしょうか。
半導体はともかく、
民生品物資分野で
資源やモノの供給が潤沢なロシアの方が
持続可能な経済かも。
(注意 米債券ホルダーの超悲観論者による思いつきの妄想です)
「ロシアがデフォルトするぜー」
とキャッキャしていたら
米国がデフォルトしちゃったでござる
という可能性が出て来たので
笑えないです。
(アメリカは増税余地もあり、
定期的な民主党と共和党の政治的な駆け引き、
プロレスショーなので、
本当の破綻というわけではないです)
6月に米債券テクニカルデフォルトが発生した場合、
米国債が格下げされ、全般的に債券の利率が上がり、
銀行はさらに含み損を拡大させるため、
注意が必要です。
(米地銀の株・債券はダメ絶対!
日本の地銀もこれから世界景気後退と
外債損失、
ネット銀行による競争激化でオススメしません。
10年くらいならメガバンクは大丈夫だろうと個人的に思っています)
対策
これから景気後退が来る場合、今年に限れば債券やgoldかなと。
普通にサラリーマンとして労働するほうが、確実かも。
以下、個別に投資対象を見ていきます。
株への影響
インフレがしつこく続いたり、
70年代のように ぶり返してきた場合、
ハイテク小型株は完全にアウト。
持っていても株価が上がらない成長グロース株なんて
そもそも成長していないし
配当金も出ないので意味ないですよね。
なぜインフレでハイテク株が弱いのか?――その理由 - ほぼ日記
私は年内の利下げは無いんじゃないかな……と。
Goldへの影響
Goldも債券の利率が上がり続けると微妙なのですが、
ブロック経済化による
反米国の実需によって
しばらくGoldが高値圏で推移すると思われます。
また基軸通貨のドルが安くなれば、Goldが高くなる逆相関の動き。
債券への影響
債券も利上げが続いてしまうと、
より高利率で魅力的な債券が
あとから登場してくるため、
債券価格は下落(一時的に含み損)
なので、
30年くらいの超長期で見た場合、
ベストの最高利率さえ捨ててしまえば、
かなり割安でお得に買えると思います。
(AGGやTLTなどのETFではダメで、
個別の生債券の話)
この時期の債券は途中売却すると元本割れする可能性が高いので、
あくまでも余裕資金で運用してください。
株が爆上げすると機会損失になるので、
ハイリターン志向の人には向かないです。
数ヶ月だけ様子を見たい人は、外貨建てMMFか外貨預金のほうが扱いやすいです。
投資の鉄則
自分がよくわからないモノには投資しない
最初は少額で、
元金が手元に返ってくるまでが投資
鵜呑みにしない、自己責任
以上です。